死神少女(仮) ~時を求めて、ともに歩む~

五月七日 外

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死神の仕事

死神の仕事④

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「この扉を開ければ、人間の世界だ」
「分かってるって!」

 扉を開けると、先にレインが中に入っていった。
 私も遅れないように中に入ると……

「へ?」

 扉の奥には、地面が無かったようで私は、ドンドン下に落ちていく。
 ……レインめ~!地面が無いなら無いって言ってよね~!……
 私は、心のなかでレインに悪態をつくが、そんなことはお構いなしにどんどん加速していく。
 終いには視界がグルグルと周り始めて、もう自分がどの方向に落ちているのかも分からなくなってきた。


「あいたっ!」
「……」
 
 落ちるとこまで落ちたのか、何か柔らかいものの上に落っこちた。
 
「ここどこだろ?もしかして、また死んでないよね……」
「……おい……」

 さっきまで物凄い早さで落ちていたのだ。死んでしまってもなんらおかしくない。
 ただ、前に死んだときにいた場所とは違う場所にいるから生きているだろう。
 ……それにしても、あんなスピードで落ちて生きてるなんて死神ってかなり丈夫なのかな?……

「なあ……そろそろ降りてくれないか?」
「え!?」

 何故かは、分からないがレインが私の下敷きになっていた。

「あっ、ごめんごめん」
「全く、俺をクッションにしやがって……」

 レインは、少し私を責めるような目で見てくる。

「まさか、レインが下にいるなんて思わなくて……あっ!そんなことより、なんで扉開けたら急に落ちてくのよ。アレが無かったら私だってレインを下敷きになんてしないのに」 
「ああ。それなんだが……」





「私たちって、今どこに向かってるの?」
「ん?それはだな……」

 レインがいうには、普段、扉の奥には短い廊下があり、廊下を渡りきると人間の世界に行くようになっているらしいのだが、今回は故障?かなんかで本来廊下があるはずのところに穴が空いていたらしい。全く、整備くらいきちんとしてもらいたいものだ。
 すぐに修理するだろうということで私たちは、目的地に向かって街中を歩いていた。

「ああ、あそこが目的地だ」

 すると、レインがある建物を指差した。

「あれって、隣街の病院?」
「そう言えば、ここは葵の住んでいた所にも近いか」
「そうそう!なんか見覚えあるなぁって思ってたけど、病院見てやっと思い出したよ~」

 今回の目的地は、この辺りで一番大きな総合病院だった。寿命が近い人を探すなら打ってつけかもしれないが、レインに言われた通りあまりいい気分にはならない。

「大丈夫か?凄い変な顔してるぞ?」
「う~ん……懐かしい気もするけど今から寿命が近い人を探すんだって思うと少しね……」

 それなりに覚悟を決めていたつもりだったが顔に出ていたとは……自分は、やっぱり死神の仕事が向いていないのかもしれない。

「……ん?変な顔ってなによ!」
「なかなかに面白い顔をしていたからな。まあ、そのうち慣れるさ」

 レインは、そう言うが本当に慣れるのだろうか?と言うより、慣れてしまってもいいのだろうか。やはり、自分が生きるためとは言え、寿命が近い人を探すことに慣れたらダメだと思う。それに、この先死が近い人と契約を交わすことにすら慣れてしまうのではないだろうか。そこに慣れてしまったら人間として越えちゃいけないものを越えてしまう気がする。……いや、もう人間じゃないんだけど……

「ねえ。レインは、もう慣れちゃったの?」

 死神は、人間の死に関してなにか思うことはないのだろうか。私は、少し気になったのでレインに聞いてみた。
 けどレインは、私と契約をしたときも色々と配慮してくれたいい人間……じゃなくて、死神だと思うから

「俺は、慣れてしまったのかもしれないな……」
「そっか……」

慣れたではなく "慣れてしまった"とレインは、言った。つまり、仕事に慣れたことに少しは後悔しているのかもしれない。

「じゃあ、レインの分も私が悲しんであげる!」
「悲しむ?」
「きっと慣れる前まではレインも仕事のとき悲しんでたんだよ。だから、私がレイン分も悲しんであげるの」
「ありがとな……」
「え?」
「いや、なんでもない」

 レインは、私の頭を軽くポンポンと叩くと病院の入り口に向かって歩きだした。

「ちょっと待ってよ~」

 私も慌ててレインを追いかける。
 ただ、最後にレインが言った言葉が疑問だった。

『お前は、俺みたいに間違えるなよ』

 一体レインは何を間違えたのだろうか。  

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