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死神の仕事
死神の仕事⑦
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「落ち着いたか?」
一体どれだけ泣いたのだろうか。
私の涙が枯れ果てたころに、レインがそう聞いてきた。
「……うん、ちょっとは落ち着いた」
「そうか」
レインはそう言うだけで、私を急かすこともなくただ抱きしめていた。
全部吐き出したことで、何とか落ち着いてきた。……きっと涙で顔はグッチョグッチョになってるんだろうな。それに、レインのコートも涙でグチャグチャだし……
冷静になると、何だか色々と恥ずかしくなってきた。
「も、もう大丈夫!一旦はなれよ」
「分かったから落ち着け、あまり俺を叩くな」
レインがなかなか離れてくれないからグーパンチを食らわせると、ようやく離れてくれた。
「ご、ごめん。ちょっと恥ずかしくなってきちゃって……さっきのは本当に感謝してるから」
「それくらい分かってる。それよりほら」
レインはそう言って、ポケットティッシュを渡してきた。
何?と視線で問うと、レインが視線を反らしながら一言。
「鼻水垂れてるからチーンしとけ」
「へ?って、あああ!!!」
まさかの鼻水が出ていた。女子高生としてあってはならないことだよ!男の人の前で大泣きしただけでもかなり恥ずかしいのに、鼻水垂らしてるなんて……女の子失格かも。
「それだけ、元気なら大丈夫そうだな。どうする?戻るか?」
「私は、もど……」
戻ると言いたいのに、続きがなかなか言えなかった。
どうしても怖いのだ。あの子の前に立つことが。あの子に死ぬことを伝えることが……
「無理をするな。別にここに居てもかまわないんだぞ」
「でも、それじゃあ!レインだけが……」
「いいさ。その気持ちだけで十分だよ」
「でも……」
私が言い淀んでいると、レインに頭をポンポンと軽く叩かれた。
「葵の気持ちは分かった。だが、今日は止めておけ……」
「うん……」
「では、行ってくる」
レインは、静かに屋上から出ていった。
結局のところ、私はレインと一緒に行くことが出来なかった。
気持ちでは、レイン一人だけにあんな気持ちをさせたくないと思うけど、それでも、あと一歩踏み出す力が私にはなかった。
「……どうして、あの子が死んじゃうんだろうね」
良くない考えだけど、あんな小さい子が死ななくても代わりに……いや、やっぱりこの考えは良くない。
「はあ……人も死神も無力だな……」
神様に生まれ変わってたら、あの子を助けることが出来たのだろうか?けれど、今の私はただの死神だ。そんな私に出来ることなんて……
「あっ!あった……私にも出来ること」
私の中に、ある考えが浮かんだ。それは、死神にしか出来ないことだ。
私の考えでは、あの子を助けることは出来ない。けれど、ほんの少しだけあの子を生き長らえさせることができる。
「そうだよ。私の〈時間〉を分けたらいいんだよ」
私の〈時間〉を分けてあげる。そうすれば、あの子はもう少し生きていられる。もしかしたら、その間に病気が治るかもしれない。
だとしたら、あの子は助かるんじゃないか?
そう思うと、ほんの少しだけ希望が見えてきた。
「よし……私も行かないと」
私は、レインを追いかけるようにして屋上を出た。
一体どれだけ泣いたのだろうか。
私の涙が枯れ果てたころに、レインがそう聞いてきた。
「……うん、ちょっとは落ち着いた」
「そうか」
レインはそう言うだけで、私を急かすこともなくただ抱きしめていた。
全部吐き出したことで、何とか落ち着いてきた。……きっと涙で顔はグッチョグッチョになってるんだろうな。それに、レインのコートも涙でグチャグチャだし……
冷静になると、何だか色々と恥ずかしくなってきた。
「も、もう大丈夫!一旦はなれよ」
「分かったから落ち着け、あまり俺を叩くな」
レインがなかなか離れてくれないからグーパンチを食らわせると、ようやく離れてくれた。
「ご、ごめん。ちょっと恥ずかしくなってきちゃって……さっきのは本当に感謝してるから」
「それくらい分かってる。それよりほら」
レインはそう言って、ポケットティッシュを渡してきた。
何?と視線で問うと、レインが視線を反らしながら一言。
「鼻水垂れてるからチーンしとけ」
「へ?って、あああ!!!」
まさかの鼻水が出ていた。女子高生としてあってはならないことだよ!男の人の前で大泣きしただけでもかなり恥ずかしいのに、鼻水垂らしてるなんて……女の子失格かも。
「それだけ、元気なら大丈夫そうだな。どうする?戻るか?」
「私は、もど……」
戻ると言いたいのに、続きがなかなか言えなかった。
どうしても怖いのだ。あの子の前に立つことが。あの子に死ぬことを伝えることが……
「無理をするな。別にここに居てもかまわないんだぞ」
「でも、それじゃあ!レインだけが……」
「いいさ。その気持ちだけで十分だよ」
「でも……」
私が言い淀んでいると、レインに頭をポンポンと軽く叩かれた。
「葵の気持ちは分かった。だが、今日は止めておけ……」
「うん……」
「では、行ってくる」
レインは、静かに屋上から出ていった。
結局のところ、私はレインと一緒に行くことが出来なかった。
気持ちでは、レイン一人だけにあんな気持ちをさせたくないと思うけど、それでも、あと一歩踏み出す力が私にはなかった。
「……どうして、あの子が死んじゃうんだろうね」
良くない考えだけど、あんな小さい子が死ななくても代わりに……いや、やっぱりこの考えは良くない。
「はあ……人も死神も無力だな……」
神様に生まれ変わってたら、あの子を助けることが出来たのだろうか?けれど、今の私はただの死神だ。そんな私に出来ることなんて……
「あっ!あった……私にも出来ること」
私の中に、ある考えが浮かんだ。それは、死神にしか出来ないことだ。
私の考えでは、あの子を助けることは出来ない。けれど、ほんの少しだけあの子を生き長らえさせることができる。
「そうだよ。私の〈時間〉を分けたらいいんだよ」
私の〈時間〉を分けてあげる。そうすれば、あの子はもう少し生きていられる。もしかしたら、その間に病気が治るかもしれない。
だとしたら、あの子は助かるんじゃないか?
そう思うと、ほんの少しだけ希望が見えてきた。
「よし……私も行かないと」
私は、レインを追いかけるようにして屋上を出た。
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