もしも、この罪を償えるのならば……

五月七日 外

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犯した罪の名は……

最悪の結末

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「はぁはぁ……」
 
 体の震えが止まらない。歯も言うことを聞かず、カチカチと鳴っている。
 俺は、雪の上に横たわる彼女をただ見つめることしかできなかった……


 12月25日 今日は、世に言うクリスマスだ。
 昨日から雪が降っており、辺り一面雪景色である。
 何年か振りのホワイトクリスマスなのできっと、町中ではカップルがイチャついていたり子連れの家族が楽しく買い物をしていたりするのだろう。
 もしかしたら、俺と彼女もそんな普通のクリスマスを過ごしていたのかもしれない。
 だが、それはもう二度と叶わない。
 なぜなら……


彼女は今日……還らぬ人となってしまったからだ。


 俺は、足元に視線をやる。
 すると、そこには血がベットリと付いた包丁が転がっており、赤い染みを作っていた。
 雪の上に横たわる彼女の下にも赤い染みが広がっていた。

 そう……今日俺は、彼女を自らの手で殺したのだ。
 頭の中に、彼女との思い出がいくつも浮かんでは消えていく。
 だが、彼女の最後の言葉だけは、消えずに脳裏に焼き付いている。

『ごめんね。それから今まで本当にありがとう……大好きだよ……』

 彼女は、笑って死んでいったのだ。
 彼女との約束を果たすなら、俺はこのまま大人しく家に帰らなければならない。
 
「悪いけど、約束は守れそうにないや……」

 俺は、こぼれ落ちる涙など気にせず、地面に落ちていた包丁を拾い上げる。そして切っ先を自らに向ける。手が自分のものとは思えないほどカタカタと震える。

 ……やっぱり怖いな。お前は、どうして笑いながら死ねたんだよ……

 ふと、彼女の顔を見てみると、まるで眠っているかのようだ。
 すると、不思議なことに手の震えが止まっていた。

 ……お前のいない人生なんて俺には……

 そして、包丁を胸に突き刺す。
 寒さで体が麻痺しているのか、痛みはあまり感じない。
 全身の力が抜けていき、地面に倒れる。
 
 目の前には、彼女の顔がある。
 何かが体の中から抜けていき、視界もだんだん暗くなってくる。
 
 ……これが『死』ってやつか……

 最後の力を振り絞り、なんとか彼女の手を握る。
 そして、力を使い果たしたのか視界も真っ暗になり、思考も停止した。
 残ったのは、手に感じる不思議な温もりだけだった。


  そして、雪景色の中には、鮮やかな赤い華が2つ咲いていた。

 
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