もしも、この罪を償えるのならば……

五月七日 外

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ふれあい合宿

二つの思い出

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 俺の目の前には、緑が広がっていた。下を見れば、少し湿り気のある土と膝の高さくらいまで伸びている草。あとは上を見ても左右を見ても、大きな木か木についている葉しか見えない。

「で……どうしてこうなった?」
「あはは……ごめんね~」

 一応反省はしているのだろう、夕が指をモジモジさせながら謝っている。
  
「まあ、夕を責めても仕方がない……それより、皆と合流することを考えないと」
「うん!」

 さっきとはうってかわって、夕は笑顔で返事をする。
 記憶にはないが、きっと俺はこの笑顔に幾度となく救われているのだろう。

「それじゃあ、夕。地図を貸してくれ」
「やだ!」
「……なあ夕?」
「何かな優くん?」
「俺たちが今どんな状況かわかるか?」
「うん、迷子でしょ?」

 夕は当たり前のことのようにそう言った。
 夕の言うとおり、俺たちは迷子だ。高校一年生にもなって迷子になっている。俺に至っては、2度目のふれあい合宿で迷子になっている。

「そうだ。恥ずかしながら俺たちは迷子になっている……で、その原因は?」

 俺がそう問うと、夕はそっぽを向いて口を開いた。

「わ、私です……」

 夕が白状したように、俺たちが迷子になってしまった発端は夕のある行動だった。

「そうだよな。一つ目の原因は、夕が他のメンバー置いてけぼりにして、蝶々を追いかけたことだったよな。で、もう一つの原因が……」
「分かったから!地図あげるからそれ以上は言わないで~!」

 夕は顔を真っ赤にしてそう言うと、ようやく地図を渡してくれた。
 ちなみに、もう一つの原因は、方向音痴の癖に「地図係りなんだから私に任せて!」なんて言って、夕がどんどん山の奥に進んだことである。
 とにもかくにも、地図さえあれば何とかなるだろう。

「う~ん、この道がこうだから……たぶんこっちでいいかな」
「こっちでいいの?分かった~!」

 俺が方角を指差すやいなや、夕がものすごいスピードで走っていく。

「お、おい!そんなに走ったら転……ぶ……ぞ……」

 俺の忠告は間に合わず、夕は綺麗にスッ転んでいた。
 夕が泥まみれになっているので早くタオルでも貸したいのだが、あまりの転びっぷりに思わず笑いがこぼれてしまう。

「ぷふっ、だ、大丈夫か?」
「……もう、優くん嫌い……」
「ごめんごめん。って、汚いぞ?」

 少し拗ねた夕が、何を思ったのか仰向けに寝転がった。

「うん……ちょっと休憩をね」
「そりゃあ、あれだけ走ったりしたらなあ」
「あはは」
「ったく、タオル貸すから顔拭きな」
「うん、ありがと」

 寝転がっている夕に、タオルを渡そうとした瞬間……

『ごめんね。それから今まで本当にありがとう……大好きだよ……』

 そんな夕の言葉が聞こえ……真っ白な雪景色……そして、血まみれで横たわる夕……俺の脳裏にでは走馬灯のようにイメージが浮かんでは消え、フラッシュしていた。

 慌てて目を擦ると、目の前には血まみれではなく、泥んこまみれの夕がいた。

 ……何だ今のは?夕はなんであんな言葉を?……それに最後の夕の姿は?……
 
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