あなたへ

霰月

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彼女

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私はあなたの彼女だった。


でももうこれは一年も前の話。


今あなたの隣で笑うのは別の子。
嫌だと叫んでも届かない。

嫌われたくないから、私にしてよなんて言わない。


言えない。


あなたに会うときはいつも罪悪感で溢れるの。
ごめんねって。


でもね、あなたを一瞬でも独り占めできる時間はすごく幸せなの。
人の物でも幸せなの。


好きと言ってあなたと唇を重ねる。
あなただって私を求める。

それがあなたの本心じゃなくても、私は幸せ。


彼女と同じことをしてるんじゃないかなんて想像したらダメ。

悲しくて悲しくて仕方がないから。

悲しみで潰されるくらいなら、あなたの嘘に気づかないふりをしたほうがいいわ。
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