1 / 1
1話 両親が死んだ
しおりを挟む
今日、両親が死んだ。交通事故だったらしい。私は学校に行っていた。健全な高校生は、平日の日中は学校に行くものだから、当然だ。普段、平日は仕事の2人だったが、結婚記念日ということもあり、休みを取り、出かけていたのだ。
都内で横断歩道を渡っているところに、暴走車が突っ込んできたらしい。詳しくは聞いていないが、飲酒運転だったとか。そんな屑のせいで、私の人生が、お父さんとお母さんの人生が狂わされた。何も不満がなかった訳じゃないけど、私は幸せだったんだと、今になって思う。
門限にうるさい父も、好きな人はいないのかとやたらと恋バナをしたがる母も、もういなくなってしまった。涙は出なかった。辛いはずなのに。悲しいはずなのに。実感がまだ湧いていないからなのか。もう何もかもが嫌になる。
いっそのこと、私も一緒だったら良かったのに、と心底思う。お通夜や葬式は親戚が進めてくれていたので、気付いたら終わっていた。私を誰が預かるのか、という話で多少揉めていたようだが、気付けば、その場には来ていない祖母が私を預かる、という話で落ち着いていた。
田舎に住む父方の祖母は足が悪く、今回は参列できなかった。私も小学校のころに、夏休みでおばあちゃんの家に行ってから、会っていない。しかし、とてつもなく田舎だったことは覚えている。最寄りの駅は無人駅で、電車も一日に2回ほどしか止まらない。
でも、まだ高校生な私に選択権がある訳もなく、数日後には、荷物をまとめ、おばあちゃんの家に来ていた。転校することもできたが、私は高校を辞めた。
「カナや。よう来たのう」
「そんな無理に笑わなくていいよ。私、部屋にいるね」
優しい笑顔で迎えいれてくれたおばあちゃんだが、今はその顔は見たくない。その優しい目はお父さんにそっくりで、お父さんのことを思い出してしまう。いなくなってしまったんだということを改めて、認識するのは、まだつらい。
「カナや。夕飯は6時でいいかあ?」
「あー今日は疲れたし、寝るから夕飯はいらないや」
「そうかあ? でも、何も食べんのはいかんよう」
「一日くらい食べなくても、大丈夫だよ」
私はおばあちゃんに背を向けて、自分の部屋に戻った。とはいえ、まだ夕方過ぎ。流石に眠くない。空気の入れ替えの為に窓を開けられたその部屋は初夏とは思えないくらい涼しかった。
夕日に染められた空気は、東京の夕方とは少し違った匂いがする気がした。
2階の窓から見える景色は、きれいな水田の景色が奥まで広がっていて、夕日を反射していた。
都内で横断歩道を渡っているところに、暴走車が突っ込んできたらしい。詳しくは聞いていないが、飲酒運転だったとか。そんな屑のせいで、私の人生が、お父さんとお母さんの人生が狂わされた。何も不満がなかった訳じゃないけど、私は幸せだったんだと、今になって思う。
門限にうるさい父も、好きな人はいないのかとやたらと恋バナをしたがる母も、もういなくなってしまった。涙は出なかった。辛いはずなのに。悲しいはずなのに。実感がまだ湧いていないからなのか。もう何もかもが嫌になる。
いっそのこと、私も一緒だったら良かったのに、と心底思う。お通夜や葬式は親戚が進めてくれていたので、気付いたら終わっていた。私を誰が預かるのか、という話で多少揉めていたようだが、気付けば、その場には来ていない祖母が私を預かる、という話で落ち着いていた。
田舎に住む父方の祖母は足が悪く、今回は参列できなかった。私も小学校のころに、夏休みでおばあちゃんの家に行ってから、会っていない。しかし、とてつもなく田舎だったことは覚えている。最寄りの駅は無人駅で、電車も一日に2回ほどしか止まらない。
でも、まだ高校生な私に選択権がある訳もなく、数日後には、荷物をまとめ、おばあちゃんの家に来ていた。転校することもできたが、私は高校を辞めた。
「カナや。よう来たのう」
「そんな無理に笑わなくていいよ。私、部屋にいるね」
優しい笑顔で迎えいれてくれたおばあちゃんだが、今はその顔は見たくない。その優しい目はお父さんにそっくりで、お父さんのことを思い出してしまう。いなくなってしまったんだということを改めて、認識するのは、まだつらい。
「カナや。夕飯は6時でいいかあ?」
「あー今日は疲れたし、寝るから夕飯はいらないや」
「そうかあ? でも、何も食べんのはいかんよう」
「一日くらい食べなくても、大丈夫だよ」
私はおばあちゃんに背を向けて、自分の部屋に戻った。とはいえ、まだ夕方過ぎ。流石に眠くない。空気の入れ替えの為に窓を開けられたその部屋は初夏とは思えないくらい涼しかった。
夕日に染められた空気は、東京の夕方とは少し違った匂いがする気がした。
2階の窓から見える景色は、きれいな水田の景色が奥まで広がっていて、夕日を反射していた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる