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大人になってまで漏らしそうになる彼が狂おしいほど愛しくて困る
しおりを挟む会社の研修がてらの合宿。
日中は勉強に励み、夜はお遊び的に肝試しを開催。
三人一組のグループを決めるのにくじ引きしたところ。
ひそかに思いを寄せる事務の飯原さんと同じグループに。
「このチャンスを逃す手はない!」とグループのもう一人、総務の西川に、飯原さん狙いでないのを確かめてから話を持ちかけた。
「怯える彼女を俺がエスコートするから、ころあいを見て二人きりにさせてくれない?」
快く了承をしてくれ、いざ肝試しへ。
が、蓋をあけてみれば、泣きわめいて俺にしがみつくのは西川。
すこし距離をとり、呆れ顔でいる飯原さん。
「おおおお!こわい!想像の百倍こわい!
いやいやいや、もう、いっそ死にたいほどこわいって、俺やばくない!?」
怯えるだけならまだしも、やかましいし、お化け役がのけ反るほどの叫びの声量よ。
膝を震わせ、まともに歩けないに遅々と進まず。
そのうち「飽きた」とため息を吐き、とうとう飯原さんは俺らを置きざりに去ってしまい。
そりゃあ追いかけたかったが、西川を放っておけず、ずるずると引きずりながらクレームを。
「そんなざまで、よく『俺に任せろ』って頼もしげにうなずいたな?」
言い訳としては、たしかに幼いころはビビりだったと。
怪談を聞いて失神した以降は、こわい目に合わず大人になり、平気になっただろうと高を括っての肝試し参戦だったと。
「自分でもびっくり仰天だよ!もはやチビリそう!」と俺から離れたそのとき。
茂みからでてきたお化け役が、西川の首をホールドし脅迫を。
「こいつの命が惜しかったらコインを寄こしな!」
コインとは折り返し地点に置いてあったもの。
これを持って帰ると、記念のキーホルダーがもらえるとか。
「飯原さんが欲しがっていたんだよなあ」と悩んでいると「俺のことはいいから!」と思いがけない叫びが。
「約束を破ったのは俺だし、ここで漏らしてもかまわない!
今から追いかければ、間にあうぞ!」
結果、お化け役にコインを渡して、また西川を引きずっていくことに。
「あーあどうしてこうなったかなあ」と途方に暮れつつ、泣きじゃくる西川にさっきよりは苛立つことなく。
なんなら「こいつ、チビりそうなうせに俺のこと優先しやがって」と不覚にも胸を打たれてしまい。
犬を「よーしよしよし」とするように撫でまわしたい衝動に駆られるも堪えて「ほら、さっさと歩け」と叱咤したものだ。
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