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小学五年生、春
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春になるといつも少し憂鬱になる。
きっと誰だってそうだろう。春なんてクソくらえなんて思ってた。少なくとも俺はそうだったし、今も少しはそう思ってたりもする。でも、今年からはちょっと違う春がくる。その春がとても楽しみなんだ。そう思いながら、桜並木を歩いていた。
キンコンカンコーン。
予鈴の音だ。俺は今年からこの美旗小学校の生徒だ。辺り一面を山に囲まれたこの小学校、全校児童約350人のこの名張市で二番目に大きな学校だ。校区は(おそらく)一番多く、遠い人は徒歩一時間かかる。そんなそこそこ田舎の学校に何故入ったか。それはただの親の転勤だった。ただ、親の単身赴任についてきただけなのだが、前の小学校にはいい思い出がないのでこうしてはるばる一時間半かけて大阪から名張市にやってきた。
今日が初めての学校なのだが、ここ、4月でも寒い。盆地だからなのかものすごく寒い。そうやって元々寒さに弱い俺は制服の半ズボンに少しイライラしながら初めて教室に入った。
五年生の教室は二階の一番奥。俺は二組なので最奥の教室だ。教室の目の前にはトイレがあって、廊下は少し寂れている。
「はじめまして、安藤楓です。よろしくお願いします。」
一息でそう言い音が裂けそうなくらいの拍手を浴びて自分の席に座った。こういう時はシンプルイズベスト。
席に座ると、後ろに座っていた上村春樹と浦陽太が話しかけてきた。何と言うか普通にそこいら辺にいるような野球坊主が浦で、上村は少し穏やかな印象を受けた。
隣には神嶋桜良。
クラスのマドンナ的な存在で神嶋に惚れているやつは多いらしい。誰に聞いたって?浦が言ってた。多分浦もその一人なんだろう。
取り敢えず、先生の話を聞きながらペン回しの練習でもしようと思う。どうせ今日は何も決めずに帰るから。
「えーっと、担任の五十嵐だ。よろしく。取り敢えず今日は教科書とノートだけ配って、終わろうと思う。
あと、明日の事だが明日は運動会の係などを決めようと思うので、考えておくように……」
「上村。ここって運動会が春にあるのか?」
「そうだよ。毎年運動会は春にあるね。でも、春だとね藤棚のところに毛虫が大量発生するんだよね。近寄らないように気をつけてね。」
「おう…まじか」
きっと誰だってそうだろう。春なんてクソくらえなんて思ってた。少なくとも俺はそうだったし、今も少しはそう思ってたりもする。でも、今年からはちょっと違う春がくる。その春がとても楽しみなんだ。そう思いながら、桜並木を歩いていた。
キンコンカンコーン。
予鈴の音だ。俺は今年からこの美旗小学校の生徒だ。辺り一面を山に囲まれたこの小学校、全校児童約350人のこの名張市で二番目に大きな学校だ。校区は(おそらく)一番多く、遠い人は徒歩一時間かかる。そんなそこそこ田舎の学校に何故入ったか。それはただの親の転勤だった。ただ、親の単身赴任についてきただけなのだが、前の小学校にはいい思い出がないのでこうしてはるばる一時間半かけて大阪から名張市にやってきた。
今日が初めての学校なのだが、ここ、4月でも寒い。盆地だからなのかものすごく寒い。そうやって元々寒さに弱い俺は制服の半ズボンに少しイライラしながら初めて教室に入った。
五年生の教室は二階の一番奥。俺は二組なので最奥の教室だ。教室の目の前にはトイレがあって、廊下は少し寂れている。
「はじめまして、安藤楓です。よろしくお願いします。」
一息でそう言い音が裂けそうなくらいの拍手を浴びて自分の席に座った。こういう時はシンプルイズベスト。
席に座ると、後ろに座っていた上村春樹と浦陽太が話しかけてきた。何と言うか普通にそこいら辺にいるような野球坊主が浦で、上村は少し穏やかな印象を受けた。
隣には神嶋桜良。
クラスのマドンナ的な存在で神嶋に惚れているやつは多いらしい。誰に聞いたって?浦が言ってた。多分浦もその一人なんだろう。
取り敢えず、先生の話を聞きながらペン回しの練習でもしようと思う。どうせ今日は何も決めずに帰るから。
「えーっと、担任の五十嵐だ。よろしく。取り敢えず今日は教科書とノートだけ配って、終わろうと思う。
あと、明日の事だが明日は運動会の係などを決めようと思うので、考えておくように……」
「上村。ここって運動会が春にあるのか?」
「そうだよ。毎年運動会は春にあるね。でも、春だとね藤棚のところに毛虫が大量発生するんだよね。近寄らないように気をつけてね。」
「おう…まじか」
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