さくら/サクラ/桜

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皐月ーアナザーー

転校した街で

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県庁
市役所
裁判所
図書館
病院
が、近くにあって
城跡の敷地には
博物館と武道館が並んでいて、
芝生の広場の木製のベンチは、この地域にながく住んでいると思われる住民達の憩いの場所らしい。休日のひとときを過ごしたり、他にも近くの中学生の陸上部の部員たちが練習に汗を流してる。
県内の中心地にあたるらしく、歴史あり 伝統あり趣きの多い土地柄のようで、
その中でも、一昔前に とても偉い方が訪問されるから 建てられたという 真っ白な大きな館が印象的。時代を切りとった建築様式でつくられているらしく、中には地元の有名なカフェが特別に入ってるらしい。
観光地になってるので、中を見るには入場料がいるとの看板が立ってる。300円は安いのかな?
門から館まで歩くにはだいぶん距離がある。
送迎車で出入りをしてたんだ。
今度、入場料を払って 入ってみようと思う。
カフェも気になるし。

その城跡の敷地の一画に 私が通うことになる高校はあった。
知事の息子も通っている この辺りでは いちばん賢い学校らしい。
少し残念な事があって、校舎の改修をしているのでしばらくの間は仮校舎で過ごすことになるそうだ。それに伴って新しい通学路と校門もなおしている。
体育館は、なんと石垣の上に建っているから驚き。お城の水堀には鯉が何匹も泳いでいて、立派な松の木 桜の木が何本も植えられている。
どうやら 亀が、一匹だけ生息しているらしいんだけど、私は まだ見かけていない。

迷ったあげく せっかくだから城跡を登ってみようと決意した。二の丸とか本丸とか そんなには興味はない。でも、桜の名所らしく…桜の開花はまだ先なんだけど、先行して下見を敢行してみようと思った。

古風な雰囲気が残ってる場所の中だから、やはりというか歴史がいちばん古いと感じる。山の地形を生かして建てられたお城なので日が当たらない箇所は冷んやりとしていて、気温が少し低い。
夏はきっと涼しいんだと思う。
割と急な階段でしかも段差や隙間が一段一段違っていて意外と足にくる。二の丸辺りで少しくじけそうになってしまった。蕾では楽しみながらの登頂はむずかしいらしい。
上に行く気はすっかりなくなり、ここからでも街が一望できる展望なので、しばらく街を見ながら休憩をすることに変更した。何か飲み物でも買っておけば良かった…。
昔は城下町だったようで、キレイに住宅や施設が立ち並んでいる。
この街が私の新しい生活の場所になるんだと思い ぼんやりとしてる間に足の疲れもある程度落ち着いてきた。さて 下りは上りよりも少しは楽だろう。
と、安易な考えをしながら 振り返って 降りようとしたとき、古い井戸と立て札が見えた。登りのときには見えないところにあったんだ。
リアルに歴史を感じる少し不気味な 古い井戸だ。
何が書いてあるのか見てみようと近づくと、立て札の隣に男の人がいた。


『あれ 人がいる』

その男の人は言った。

それは私が思ったこと。
誰?
いつからいたの?

ジ~~ッ、と こちらを見てる。

何なの?

私を何者かと観察をしている目つきで、すました冷たい表情をしてる。
なんか失礼な感じ。

「て いうか、あなた誰?」

私の方が何か間違っている様な空間になっていたので、それはおかしいと思った。私は転校してきた新しい学校の周辺を探索してただけ。帰ろうとしたそのときに勝手に現れたのはそっちなんだけど。

『…そうだね わからないんだ』

『サクラ… だよ』
『そこの西校に一応通ってることになるんだ。一応聞くけど、君は、誰かな?』

「!?」
「…皐月、新学期から … そこの西校に …転校してきたの… あ、通うために…」

しどろもどろに返答してしまった。カッコ悪。

『…転校、…そうなってるの』

なにか
ちょっと 訳分からない。

この人は私を知ってるような口振りなんだけど…
私は 知らないし、わからないし。

突然現われて、しかも 互いに自己紹介して、なのにまったく話し噛み合わないし、ちょっとだけ、ちょっとだけ 見てくれはいい男に見えるけど。

背は高いし、顔立ちは整った感じだし、オシャレでもあるし… … …。

『やっぱり 巡り合わせ…なのかな』

『目は見えてるのかい』

???

「あの、誰かと私を間違えてないですか」

「あなたは私を知ってる素振りだけど… 私は あなたのこと知らないんです」

「目は両眼とも 2.0です!」

ー少し 間があった、

興奮気味の自分が恥ずい。

『そうだね』

『あ、』

『今日の事は 誰にも話さないでくれるかな?話されると困る事になるんだ』

知らないの分かってたんかい!
なのに何故 私に問うた!

「言わないですよ、知り合いは 今の所 あなただけですからね!」

『助かるよ ありがとう』

ありがとう 、の割には顔の表情が一切変わらない。ずっと同じ顔。

「あのね 少しは分かるように説明したらどうなの」

「黙っててあげるんだから、…なんで私のことを知っているのよ」

まだ 表情は崩れない。

『そうだね、いえることは 葉月くんに逢えるといいね』

…?

葉月って誰?
名前?

こちらの表情を ジッ と見て観察してる。

「その人に、葉月って人に会ったら どうなるの?」

ストレートに聞いてみた。

『ん、 そうだね…』

そうだね ばっかり 多いな。

『好意を抱くんじゃないかな 多分』

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