BLUE WATERー飛空士は愛機と共に異世界の空を飛び駆ける。ー

二代目菊池寛

文字の大きさ
7 / 15
本編

二章二話 強襲の北帝国軍。②ーメア村ー

しおりを挟む
セドラント王国、北東部。

基地から道なき道を歩いて三十分ほどの所にある人間の隠れ里、メア村は……一見すると、中世ファンタジーの様な田舎の村に見える。

だが、村に入って真っ先にアイザックことアインの目に飛び込んできたのは………作物を満載した荷車を引く、どう見てもSF小説に出てきそうなロボットにしか見えない、というかロボットだった。

アイン「こいつは何だ?」

シラティス「もしかして〝カリアー〟を見るのは初めて?」

アイン「カリアー?」

シラティス「高度人工知能を搭載した機械のことだよ。人間種は人口が少なくて何時も人手不足だからね。機械に頼らないといけないんだ。」

彼女の解説を受けながら、彼方此方見渡してみる。

牧歌的な光景に時折見える、カリアーなるロボットにSF全開の高度な機器っぽい何か。

自分が見た限り、人間が、この村が地球よりも文明が多少は進んでいることは明らかだった。現在地球じゃ、お手伝いロボット等物語の中の存在、まだ一般に普及してはいない。

と、

老人「おーいシラティス。」

シラティス「あ。オルバ爺さん!」

通り過ぎようとしたこじんまりとした丸い家から扉が開かれて老人が一人出てきた。ドアは一人でに閉まる。

オルバ爺「誰が爺さんじゃい!儂はまだまだ元気一杯の89歳。若者の部類に入るわい!」

ガハハハハと歓喜に高笑い叫ぶ老人、よく見たらこの老人も自分と同じ銀髪………いや、違う、これは白髪だ。オルバ爺はシラティスの右隣に立つアインの存在に気付く。

オルバ爺「んん?そこの若者は何方さんかのう?シラティス?儂等と同じ人間種ヒューマンのようじゃが?」

シラティス「アイザックだよ。えっと、確か、イギリス?って国から来たんだって。」

オルバ爺「イギリス?ん~~~。…………あー。」

オルバ爺は何かを思い出した顔をした。

シラティス「え?何か知ってるのか爺さん!?」

オルバ爺「だから誰が爺さんじゃい!儂はまだまだ働き盛りじゃわい!!」

アイン「で、どうなんだ?」

イギリスのことを少々、何かしらの期待してたが。しかし……。

オルバ爺「んー。んー……すまんのう。何も思い出せん。」

アイン「そうですか。」

オルバ爺「うーむ。それにしてもお前さん。妙な格好をしているな。まるで軍服に近いしのう。」

因みに、今、アインが着ているのは、英国空軍航空部隊が着用しているパイロットスーツだ。

オルバ爺「うーむ。その恰好も何処かで………。」

シラティス「爺さん何か知ってるのか!?」

オルバ爺「だから爺さんじゃないわい!まだまだピチピチの89歳!………うーむ。やっぱり思い出せんな。」

シラティス「そっか………。」

オルバ爺「あー。ところでな、さっきから気になっておったのじゃが……。」

シラティス「何か思い出した!?」

オルバ爺「いや、そうじゃなくての」

オルバ爺は、アインの肩の上辺りを指差す、指差した先、それはアインの背中に担いでいる意識のない女兵士だった。

オルバ爺「そのお嬢さんを何方までお連れするつもりなのかのう?」

今現在。アインが機竜の女兵士をおぶさって、シラティスの家に行く途中だった。

オルバ爺「お前達、一体その娘御を何処で拾ってきた?……儂の若い頃に似てわんぱくじゃの、ほほほ。」

シラティス「い、いや。実を言うとさ、アタシ達、本気マジでコイツに殺されかけたんだ。」

オルバ爺「な、なんじゃと!?詳しく説明してもらうぞ。」

シラティス「わかった。実は……。」

シラティスは、この女兵士、機竜兵と思しき女とのあらましをオルバ爺に説明する。

とりあえずオルバ爺を混乱させない為に、シラティスがこの北帝国の機竜兵に襲われたこと。それを突然やって来たアインに助けられたことだけを端的に説明する。

オルバ爺「………ふーむ。それにしても北帝国の機竜兵、とな、しかも耳長族エルフと見た。」

シラティス「うん。だから、一度村長に相談しないといけないかなって思ってたんだけど。」

オルバ爺「しかし…。肝心の恰好は、儂の知っとる機竜兵とだいぶ違うようじゃが………」

アイン「糞重いから置いてきた。」

と、キッパリと答えるアイン、因みに甲冑は流石に重く負担に掛かる為、全部脱がした。………甲冑の下がインナーだけとは知らず。……廃基地にあった布のシーツを女兵士の身体に纏わせてからアインに背負う、現在も意識が戻る気配は全くない。

シラティスとアインの言葉に、ふむ、とオルバ爺は考え込んだかと思うと。

オルバ爺「なら、儂が一緒についていった方がよかろう。」

アイン「大丈夫なのか?」

シラティス「うん。こう見えてオルバ爺さんは村の役人だった人だからね。」

オルバ爺「今もやっとるわい!まあ、若いのに仕事をやらんにゃいけんから殆どの仕事を辞めざるをえなかったがのう。」

ついて来なさい、とオルバ爺はヒョコヒョコと煉瓦レンガ道を先に行ってしまう。

シラティスと、機竜兵の女兵士を背負うアインはその後を追った。





その後の事は、殆ど全てお役所任せだった。

村の中央にある村役場に行き、オルバ爺の口添えで呼び出した自警団の人に事情を説明して、未だ気絶したままの機竜兵の女兵士を丁重に引き渡す。北帝国の、長耳族ということもあって身柄は拘束せずに何処か安全で快適な部屋に軟禁するという。

ついでにアインのことも聞かれたが、「イギリスから来た。」なんて言っても頭の可笑しい奴としか思われないと思うんで、シラティスは「世界を放浪している旅人の青年。」ということにした。概ね、間違いではない。

ただ「…………ついにシラティスと波長の合うヤツが見つかったか。良かったなシラティス」という自警団員の言葉が胸に引っかかったり。

「シラティスにも良い婿さんが出来たか。」と笑う自警団員の言葉に彼女は「違うっ!」と顔を赤くして答えることもあった。

その後は、オルバ爺にお礼を言い別れ、シラティスの住む家へと向かった。

この世界での人間の家は、どれも丸みを帯びた形らしい。先程通り過ぎたオルバ爺の家も、通りすがりの家々も、村役場もそうだが、何方かというと球体に近いものだった。

シラティス「さあ!ここがアタシの家だよ。隣にあるのは親父の工場ね。」

丸い家の隣に、いかにも町工場のような建物が建てられていた。何やら機械の駆動音も聞こえてくる。ガシャコンガシャコンと。

シラティスは扉の取っ手の部分を指で軽く叩く。すると、さっきのユンム爺の家の扉と同じく自動で開いた。

自動ドア、と言ったところか?

シラティス「親父いるー?」

アイン「………。」

見知らぬ世界の初めてのお宅訪問。

アイン(それにしても凄い技術だ。全部、丸い。)

そう。全部丸かった。角と言う角が全く無い。子供と高齢者に優しそうな家だった。

と、

???「…………んー?おお、シラティス帰ってたのか。……その変な服を着た男は誰だ?」

軍服をしてヘンヘコと言わしめたのは「優しさ」を基本にした家の筈なのに、如何にも厳格そうな顔をした。中年の男だ。

アイン「あーー。どうも初めまして、自分はアイザック=フォフナーと申します。訳あって世界中を放浪している旅人です。」

アインは自己紹介してお辞儀するが、直ぐに返事は返ってこなかった。シラティスの父親は暫くジーッとアインの方を見た後。

シラティスの父親「シラティスが連れて来たってことはお前も変な奴なんだろうなあ?一応これだけは言っておくぞ、もし娘に手を出したら只じゃおかねえぞ!」

シラティス「ちょ、親父!?違うって!!アインとはそんな関係じゃないからさあ!!」

シラティスの父親「本当か?……まあいい、どうせどっからか別の村から来たんだろう。暫くゆっくりしていけ。面倒を起こすなよ。あと、さっき言ったが、娘にも手を出すんじゃねえぞ。」

それだけ言うと、シラティスの父親はのっしのっしと家の奥へと消えてしまった。

アイン「………何かおっかなかったな。お前の親父って。」

シラティス「うーん。うちの親父って、基本的に無口で誰とも喋ったりしないからさ。村の人も皆怖がって近寄らないんだよね。でも、根は良い人だよ。」

アイン「………なあシラティス、お前ってさもしかしてとは思うが、よく誰かに母親に似てるって言われるか?」

シラティス「え?凄いじゃん!何で分かったの!?」

アイン「あーーー。男の直感って奴かな?まあ、兎に角あれだ。相棒の修理が終わるまでの間、暫く世話になるから宜しく頼むわ。」

ぺこり、とアインは礼儀正しくお辞儀をする。礼に始まり礼に終わる。これ、英国紳士としての基本。

シラティスは「此方こそ宜しくな!」とニコニコ笑っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」

(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。 王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。 風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜

タナん
ファンタジー
 オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。  その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。  モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。  温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。 それでも戦わなければならない。  それがこの世界における男だからだ。  湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。  そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。 挿絵:夢路ぽに様 https://www.pixiv.net/users/14840570 ※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...