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片時も離れたくないと願う
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ウルがオレの母ちゃんの元へ向かってから、そろそろ半月。
問題なく故郷に辿り着けたとしても、距離を考えればウルが城に帰ってくるまでに早くてあと五日ほどは掛かるだろう。
「ふぁ……」
漏れ出た欠伸を噛み殺し、今夜行われるパーティーの参加者リストへと再び目を落とした。何の目的のパーティーだったかは忘れてしまったが、国内の有力貴族たちのほとんどが出席をするらしく、今後のためにも名前を顔を一致させるようにと陛下から直々に事前資料を渡されている。
面倒だったけれど、確かに必要なことではあるから頭に入れなければならなかった。
この中には正妃がオレの婚約者に宛がおうとしている貴族の娘も含まれているらしく、益々面倒に感じてしまう。
「陛下からは何も言われてないから大丈夫だとは思うけど」
オレの婚約や、その後の後継者についてのことは正直何一つわかっていない。
誰を后とすることが陛下にとって利となるのか。少なくとも、正妃の選ぶ娘の話は何一つ聞かされていないから、陛下の判断ではなくあくまでも正妃の希望らしかった。
「ウル、元気かな」
自室で眠たい目を擦りながら、資料に並ぶ名前や肩書きを目で追っていくが、ちっとも頭に入っていく気はしない。
考えるのは、ウルのことばかり。
少し離れたくらいでは忘れられないその声は、目を閉じればいつでもすぐに思い出せた。
ウルが出発してからのオレは夜も全然眠れなくて、まるでウルと出会う前の自分に戻ってしまったようだった。
「……ウルのお陰で、今はちゃんと寝れてるんだよな」
ストレスなのか不安なのか、はっきりとした理由はわからなかったけれど、故郷を離れ城での生活が始まってからはまともに眠れない日々が続いていた。
ウルと出会って、ウルが側にいてくれるようになって、初めてオレはこの場所でゆっくりと眠りに落ちることが出来るようになっていた。
そんなことを忘れてしまうほどにウルがいてくれることはオレにとって当たり前に変わっていて、何をしていてもウルに会いたくて堪らなくなってしまう。
「早く帰ってこいよ……」
テーブルの上に広げた書類がシワになるのも構わずに突っ伏して、自分勝手とは知りながら長いため息を吐いた。
オレのためにウルは城を離れているというのに、オレが寂しくなったからって早く戻ってこいと願うのは理不尽だろう。だけどウルは、きっとオレのそんな願いだって喜んで笑うんだ。
疲れた。眠い。
そう思って目を閉じてみても、頭が締め付けられるように痛くて休む気にもなれない。
ウルに会いたい。それしか、上手く考えることが出来なかった。
問題なく故郷に辿り着けたとしても、距離を考えればウルが城に帰ってくるまでに早くてあと五日ほどは掛かるだろう。
「ふぁ……」
漏れ出た欠伸を噛み殺し、今夜行われるパーティーの参加者リストへと再び目を落とした。何の目的のパーティーだったかは忘れてしまったが、国内の有力貴族たちのほとんどが出席をするらしく、今後のためにも名前を顔を一致させるようにと陛下から直々に事前資料を渡されている。
面倒だったけれど、確かに必要なことではあるから頭に入れなければならなかった。
この中には正妃がオレの婚約者に宛がおうとしている貴族の娘も含まれているらしく、益々面倒に感じてしまう。
「陛下からは何も言われてないから大丈夫だとは思うけど」
オレの婚約や、その後の後継者についてのことは正直何一つわかっていない。
誰を后とすることが陛下にとって利となるのか。少なくとも、正妃の選ぶ娘の話は何一つ聞かされていないから、陛下の判断ではなくあくまでも正妃の希望らしかった。
「ウル、元気かな」
自室で眠たい目を擦りながら、資料に並ぶ名前や肩書きを目で追っていくが、ちっとも頭に入っていく気はしない。
考えるのは、ウルのことばかり。
少し離れたくらいでは忘れられないその声は、目を閉じればいつでもすぐに思い出せた。
ウルが出発してからのオレは夜も全然眠れなくて、まるでウルと出会う前の自分に戻ってしまったようだった。
「……ウルのお陰で、今はちゃんと寝れてるんだよな」
ストレスなのか不安なのか、はっきりとした理由はわからなかったけれど、故郷を離れ城での生活が始まってからはまともに眠れない日々が続いていた。
ウルと出会って、ウルが側にいてくれるようになって、初めてオレはこの場所でゆっくりと眠りに落ちることが出来るようになっていた。
そんなことを忘れてしまうほどにウルがいてくれることはオレにとって当たり前に変わっていて、何をしていてもウルに会いたくて堪らなくなってしまう。
「早く帰ってこいよ……」
テーブルの上に広げた書類がシワになるのも構わずに突っ伏して、自分勝手とは知りながら長いため息を吐いた。
オレのためにウルは城を離れているというのに、オレが寂しくなったからって早く戻ってこいと願うのは理不尽だろう。だけどウルは、きっとオレのそんな願いだって喜んで笑うんだ。
疲れた。眠い。
そう思って目を閉じてみても、頭が締め付けられるように痛くて休む気にもなれない。
ウルに会いたい。それしか、上手く考えることが出来なかった。
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