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一章
発情期
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ルシアテア王国の国王がオメガと結婚したと言う話は聞いたことがなかった。番になることはあってもαの方が優秀だし、発情期もこないため王族には都合がいい。それでも、いとも容易くカイル王子が「好きな人」だなんて口にするから驚いてしまった。
少なくとも王子が軽々しく口にしていい言葉ではなかった。もし、近くにいた騎士たちに聞かれていたら俺がカイル王子の弱みになる可能性もあるし、王子に好意を抱いている方から恨みを買う可能性だって全然有り得る。俺はひっそり暮らしていたい。
王子が帰ったあとジルさんが戻ってきた。
「王族の馬車帰ってったな!何しに来たのか聞きたかったのに」
などとボヤいていたが「何だったんでしょうね」とはぐらかしておいた。ジルさんはいむも、俺が作るものを嬉しそうに食べてくれる。だから、振る舞いがいがあった。
しかし、カイル王子が言っていた好きな人とはどういう意味なのだろう。昨夜が初対面なはずだし、惚れっぽい人なのか?いや、それだったら言い寄ってきた方々のことも好きになっていないとおかしいのかな?う~ん
「お!店長、このケーキ結構美味しいよ」
「ありがとうございます」
木苺のケーキは期間限定メニューの予定だったけど、好評なら来年もしてもいいかもしれないな・・・来年があるかわからないけど・・・いかんいかん!こんなちょっとのことで落ち込んでちゃ。よし!大丈夫!俺は強い!強い!
自分に自分で暗示をかける。頬を勢いよく叩いた。そうでもしていないと不安に駆られてしまいそうだったから。
「今日のご飯はカレーにしよう」
ジルさんが畑で取れたからと野菜のおすそ分けをくれた。その分お気持ち程度ではあるが、値引いているのでウィンウィンである。
「カレーですか、いいですね」
「はい。ジャガイモいっぱい貰った・・・え?」
「来ちゃいました」
声の方を向くと当然のようにカイル王子が座っていた。え?怖い怖い。いつ入ってきたんだ・・・・?
「いやぁ、王都で仕事してたんですけど僕の妻のことが気になって仕方なくて」
「だからって来たらいけないでしょ・・・」
「いやぁ、僕が居ないうちに噛まれたりしたらと思うと不安で不安でいても立ってもいられなくて」
今日だけで来るのは三回目だぞ。本当に暇なんじゃないか?ましてや、第一王子とあろうお方がそれほどまで暇ないだろう・・・
「噛まれませんよ。誰にも。あと、妻じゃないです」
ジャガイモの皮を剥き始める。皮にはビタミンやらミネラルやらが多く入っているらしいが、あまり舌触りが好きではないので野菜は皮むきをする派だ。
「そりゃあ、噛まれたら困りますよ。もし貴方が僕以外の人と番になったら僕は貴方も、貴方の番も殺しますよ」
そう言った後に「冗談です」と付け足していたが本気の目だったし、この人にはするだけの権力があるから怖い。
「そうじゃなくて、俺は発情期が来ないので噛まれても番にはなれませんよ」
一般のオメガというのは大抵18歳頃になると発情期が来るらしい。そのため、それまでに何処かのボンボンに引き取ってもらわないと発情期を乗り越えるのが大変だそうだ。俺には縁もゆかりも無い話だけれど。
「・・・そうでしたか。それは残念です。せっかく抑制剤も持って来たというのに」
「念の為に貰えますか?」
「いいですよ」
カイル王子は立ち上がり、ゆっくり俺の方に近づいて来た。クスリを貰う。抑制剤は本来、国から支給されるので俺は初めて手にした。
『カチャリ』
首に重さと違和感が感じられる。見るとカイル王子は不敵な笑みを浮かべていた。
「念の為のカラーです。突然発情したりしたら困るので」
・・・カラー?・・・カラー!そんなもの付けてたら周りにオメガということを明かしているようなものじゃないか!
「俺じゃないと外せない特注品です」
「そんな、外してください!」
「どうしてですか?」
「だって、オメガだってバレるじゃないですか」
「本当は毎日つけていて欲しいですが、明日までで大丈夫です。明日は王都でパーティーなのでそれが終われば外してあげます」
「約束ですよ」
「ええ、約束は守る主義なので。明日の夕方山の麓に馬車をやります。そこまでは自力で歩いてください」
「・・・わかりました」
さっそくなのか・・・正直なところもう少し心の準備をする時間が欲しかったが約束なので仕方がない。パーティーかぁ、他のアルファも居るんだろうなぁ。会いたくないなあ・・・
カイル王子は俺にカラーをつけて、俺が作ったカレーを勝手に食べて帰って行った。カレー一杯の代金として五千円を残して。「こんなに貰えない」というと、「妻へのプレゼントです」と笑っていた。
少なくとも王子が軽々しく口にしていい言葉ではなかった。もし、近くにいた騎士たちに聞かれていたら俺がカイル王子の弱みになる可能性もあるし、王子に好意を抱いている方から恨みを買う可能性だって全然有り得る。俺はひっそり暮らしていたい。
王子が帰ったあとジルさんが戻ってきた。
「王族の馬車帰ってったな!何しに来たのか聞きたかったのに」
などとボヤいていたが「何だったんでしょうね」とはぐらかしておいた。ジルさんはいむも、俺が作るものを嬉しそうに食べてくれる。だから、振る舞いがいがあった。
しかし、カイル王子が言っていた好きな人とはどういう意味なのだろう。昨夜が初対面なはずだし、惚れっぽい人なのか?いや、それだったら言い寄ってきた方々のことも好きになっていないとおかしいのかな?う~ん
「お!店長、このケーキ結構美味しいよ」
「ありがとうございます」
木苺のケーキは期間限定メニューの予定だったけど、好評なら来年もしてもいいかもしれないな・・・来年があるかわからないけど・・・いかんいかん!こんなちょっとのことで落ち込んでちゃ。よし!大丈夫!俺は強い!強い!
自分に自分で暗示をかける。頬を勢いよく叩いた。そうでもしていないと不安に駆られてしまいそうだったから。
「今日のご飯はカレーにしよう」
ジルさんが畑で取れたからと野菜のおすそ分けをくれた。その分お気持ち程度ではあるが、値引いているのでウィンウィンである。
「カレーですか、いいですね」
「はい。ジャガイモいっぱい貰った・・・え?」
「来ちゃいました」
声の方を向くと当然のようにカイル王子が座っていた。え?怖い怖い。いつ入ってきたんだ・・・・?
「いやぁ、王都で仕事してたんですけど僕の妻のことが気になって仕方なくて」
「だからって来たらいけないでしょ・・・」
「いやぁ、僕が居ないうちに噛まれたりしたらと思うと不安で不安でいても立ってもいられなくて」
今日だけで来るのは三回目だぞ。本当に暇なんじゃないか?ましてや、第一王子とあろうお方がそれほどまで暇ないだろう・・・
「噛まれませんよ。誰にも。あと、妻じゃないです」
ジャガイモの皮を剥き始める。皮にはビタミンやらミネラルやらが多く入っているらしいが、あまり舌触りが好きではないので野菜は皮むきをする派だ。
「そりゃあ、噛まれたら困りますよ。もし貴方が僕以外の人と番になったら僕は貴方も、貴方の番も殺しますよ」
そう言った後に「冗談です」と付け足していたが本気の目だったし、この人にはするだけの権力があるから怖い。
「そうじゃなくて、俺は発情期が来ないので噛まれても番にはなれませんよ」
一般のオメガというのは大抵18歳頃になると発情期が来るらしい。そのため、それまでに何処かのボンボンに引き取ってもらわないと発情期を乗り越えるのが大変だそうだ。俺には縁もゆかりも無い話だけれど。
「・・・そうでしたか。それは残念です。せっかく抑制剤も持って来たというのに」
「念の為に貰えますか?」
「いいですよ」
カイル王子は立ち上がり、ゆっくり俺の方に近づいて来た。クスリを貰う。抑制剤は本来、国から支給されるので俺は初めて手にした。
『カチャリ』
首に重さと違和感が感じられる。見るとカイル王子は不敵な笑みを浮かべていた。
「念の為のカラーです。突然発情したりしたら困るので」
・・・カラー?・・・カラー!そんなもの付けてたら周りにオメガということを明かしているようなものじゃないか!
「俺じゃないと外せない特注品です」
「そんな、外してください!」
「どうしてですか?」
「だって、オメガだってバレるじゃないですか」
「本当は毎日つけていて欲しいですが、明日までで大丈夫です。明日は王都でパーティーなのでそれが終われば外してあげます」
「約束ですよ」
「ええ、約束は守る主義なので。明日の夕方山の麓に馬車をやります。そこまでは自力で歩いてください」
「・・・わかりました」
さっそくなのか・・・正直なところもう少し心の準備をする時間が欲しかったが約束なので仕方がない。パーティーかぁ、他のアルファも居るんだろうなぁ。会いたくないなあ・・・
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