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一章
心に決めたヤツ
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俺は兄弟がいなかった。いや、俺が出て行った後に妹だか弟だかが出来ている可能性は大いにあるのだけれど。お兄ちゃんと呼べる存在は突然いなくなってしまったし、頼りにしてくれる弟もいなかった訳だ。いたとしても頼れる兄では無かったと思うけど。
そういう点に置いてはカイル王子とミラ王子の関係性は凄く羨ましく思える。ミラ王子はカイル王子を尊敬し、カイル王子はミラ王子を信頼しているように見えた。二人のような関係性の人がいたら俺の生き方はもっと違ったのかもしれない。
「で?本当のバース性は?」
ミラ王子はカップを置いた。静まり返った部屋ではその音さえもうるさく聞こえる。
「俺はベータです」
「・・・じゃあ、兄貴がオメガだって言ったのは嘘ってことか?」
「嘘と言うよりは誤解じゃないですかね。俺はベータだって何回も説明したんですけど、カイル王子はオメガだって言い張るようなので」
ミラ王子は俺から視線を外そうとしなかった。肉食動物に睨まれた草食動物の状態である。
「カイル王子は他に心に決めた方がいるようなのですが、ローラ様がしつこく言いよってくると相談されたんです。そこで、オメガの君が婚約者のふりをしてくれと頼まれました。俺はベータだし無理だと言うと、彼女との婚約は親同士が決めたものなので大丈夫だよ!と言われるので仕方なくついて行った次第です」
我ながらよくこんなにもすらすらと嘘がつけるなと思ってしまう。演技力もなかなかなものじゃないか?
「ふーん・・・俺でも聞いたことない話をダンちゃんは知ってたワケだ」
「・・・・そうなりますね」
「じゃぁ、その他に心に決めたヤツって?」
「それは・・・カイル王子はなんとも言われませんでした」
ミラ王子はふーんと小さく言ってからも納得していなさそうな顔をしていた。
「まぁ、だいたい分かった。サンキューな」
王子は席を立つと割れた窓からヒョイと出て行った。
「あ、今の嘘だったら覚悟しとけよ?」
去り際、置いていくかのように言い放った。嘘だけど、嘘ってバレないよな?カイル王子に直接聞かれた時になんとか話を合わせてくれるだろ。うん。王子は頭がいいらしいから
「また、王族来てなかったか?」
ジルさんがガラスを避けて入ってくる。そこで、休業日を伝え忘れていたことに気がつく。
「山になんだか用事があるらしいですよ」
また、嘘をついた。一日に二個も嘘をつくなんて引きこもりな俺には異例のことだった。だが、俺はジルさんが噂好きで口が軽いことを知っているため教えわけにはいかなかった。
「違いますよ!僕が用事があるのはダンにですよ」
また、何処からかカイル王子の声がした。声の主を探すと二階から降りてきた。何時から上にいたんだ?怖いからふつうに玄関から入って欲しい。
カイル王子はいつもの派手派手な服装ではなく、よれた布の平民が着るような服を着ていた。
「はい。ダン、これ今日の分のお菓子」
そういうと、王子はクッキーの入った袋をくれた。
「ジルおじさん久しぶりだね!」
「おう!カイ!久しぶり!ばぁちゃん元気か?」
「それはもちろん」
カイル王子とジルさんが知り合い?ましてや、王子におばあちゃんがいる?そんな話は聞いたことがない。
「ジルさんには山の奥で病気のおばあちゃんと暮らすカイという少年っていう設定で伝えています。いい感じに合わせてください」
王子は俺に耳打ちしてきた。それに関してはもう、人望とかじゃなくて嘘じゃん!と思ったが黙っておく。
「それにしても、カイもこの店来たことあったんだな」
「ええ、よく来ます」
ジルさんとカイル王子が話すのをよく聞いていて分かったがジルさんは王子を気に入っているようだ。ましてや、王子もかなり友好的に思っているようだった。やはり、人たらしというかなんというか、恐らく王子はこれを素でやっているのだから怖い。つくづくそう感じた。
そういう点に置いてはカイル王子とミラ王子の関係性は凄く羨ましく思える。ミラ王子はカイル王子を尊敬し、カイル王子はミラ王子を信頼しているように見えた。二人のような関係性の人がいたら俺の生き方はもっと違ったのかもしれない。
「で?本当のバース性は?」
ミラ王子はカップを置いた。静まり返った部屋ではその音さえもうるさく聞こえる。
「俺はベータです」
「・・・じゃあ、兄貴がオメガだって言ったのは嘘ってことか?」
「嘘と言うよりは誤解じゃないですかね。俺はベータだって何回も説明したんですけど、カイル王子はオメガだって言い張るようなので」
ミラ王子は俺から視線を外そうとしなかった。肉食動物に睨まれた草食動物の状態である。
「カイル王子は他に心に決めた方がいるようなのですが、ローラ様がしつこく言いよってくると相談されたんです。そこで、オメガの君が婚約者のふりをしてくれと頼まれました。俺はベータだし無理だと言うと、彼女との婚約は親同士が決めたものなので大丈夫だよ!と言われるので仕方なくついて行った次第です」
我ながらよくこんなにもすらすらと嘘がつけるなと思ってしまう。演技力もなかなかなものじゃないか?
「ふーん・・・俺でも聞いたことない話をダンちゃんは知ってたワケだ」
「・・・・そうなりますね」
「じゃぁ、その他に心に決めたヤツって?」
「それは・・・カイル王子はなんとも言われませんでした」
ミラ王子はふーんと小さく言ってからも納得していなさそうな顔をしていた。
「まぁ、だいたい分かった。サンキューな」
王子は席を立つと割れた窓からヒョイと出て行った。
「あ、今の嘘だったら覚悟しとけよ?」
去り際、置いていくかのように言い放った。嘘だけど、嘘ってバレないよな?カイル王子に直接聞かれた時になんとか話を合わせてくれるだろ。うん。王子は頭がいいらしいから
「また、王族来てなかったか?」
ジルさんがガラスを避けて入ってくる。そこで、休業日を伝え忘れていたことに気がつく。
「山になんだか用事があるらしいですよ」
また、嘘をついた。一日に二個も嘘をつくなんて引きこもりな俺には異例のことだった。だが、俺はジルさんが噂好きで口が軽いことを知っているため教えわけにはいかなかった。
「違いますよ!僕が用事があるのはダンにですよ」
また、何処からかカイル王子の声がした。声の主を探すと二階から降りてきた。何時から上にいたんだ?怖いからふつうに玄関から入って欲しい。
カイル王子はいつもの派手派手な服装ではなく、よれた布の平民が着るような服を着ていた。
「はい。ダン、これ今日の分のお菓子」
そういうと、王子はクッキーの入った袋をくれた。
「ジルおじさん久しぶりだね!」
「おう!カイ!久しぶり!ばぁちゃん元気か?」
「それはもちろん」
カイル王子とジルさんが知り合い?ましてや、王子におばあちゃんがいる?そんな話は聞いたことがない。
「ジルさんには山の奥で病気のおばあちゃんと暮らすカイという少年っていう設定で伝えています。いい感じに合わせてください」
王子は俺に耳打ちしてきた。それに関してはもう、人望とかじゃなくて嘘じゃん!と思ったが黙っておく。
「それにしても、カイもこの店来たことあったんだな」
「ええ、よく来ます」
ジルさんとカイル王子が話すのをよく聞いていて分かったがジルさんは王子を気に入っているようだ。ましてや、王子もかなり友好的に思っているようだった。やはり、人たらしというかなんというか、恐らく王子はこれを素でやっているのだから怖い。つくづくそう感じた。
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