ドアマットヒロインにはなりません!

こうじ

文字の大きさ
16 / 19

聞こえてきた元実家の噂

しおりを挟む
 エリーナ様と会ってから数日後、学院は休暇に入った。

(入ったのは良いけど特にやる事も無いのよね……)

 勿論、休暇期間中は課題があってドリルをやったり自由研究とか読書感想文とかもあったりする。

「こういうのは先延ばしにしない方がいいのよ、後々痛い目に遭うのは自分なんだから」

「うわ、正論過ぎてぐうの音も出ない」

 現在スラーヌが遊びに来ている、というか何故か休暇をどう過ごすかという話し合いをしている。

「スラーヌは実家の手伝いするんじゃなかったの?」

「そのつもりだったんだけどね、お父さんが『学生の本分は勉強なんだからそっちに集中しなさい』て……、要は私の出る隙は無いみたい」

 こっちも正論で切ってきたか。

「だからリリアナと一緒にいれば課題とかも楽勝かな、と思って」

「頼ってくれるのはありがたいけどそんなに力は貸さないよ」

「ぐはっ! 思惑がバレてるっ!」

 まぁ1人で過ごすよりかは友人と一緒に過ごす方が楽しいだろう。

「そういえばさ、ヘンデル公爵家って今危ないらしいよ、お父さんが言ってた」

 内心ドキッとした。

 スラーヌは私がヘンデル公爵令嬢だった事は勿論知らないし言っていない。

 でも、こうして話題に上がるというのは現実に危ないんだろう。

「危ない、てどういう意味で?」

「う~ん、なんでも借金で首が回らない状態なんだって」

 私がいなくなって散財したのか、事業が失敗したのか。

 まぁお父様主導だったら避けられなかったかもしれない。

 公爵家が手掛けていた事業って実はお母様発案だった物が多い。

 今頃、お母様の偉大さを思い知っているかもしれない。

「それに再婚されたらしいんだけどその人が好き勝手やってるみたいでだんだん人が離れてるんだって。 凄い感情が激しいみたいだよ。 王家も知ってるみたいでもしかしたら何らかの対応を取るかもしれないみたい」

 ……積んだな。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

最難関の婚約破棄

灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
婚約破棄を言い渡した伯爵令息の詰んでる未来。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

ドアマットヒロインって貴族令嬢としては無能だよね

みやび
恋愛
ドアマットにされている時点で公爵令嬢として無能だよねっていう話。 婚約破棄ってしちゃダメって習わなかったんですか? https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/123874683 と何となく世界観が一緒です。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

《本編完結》あの人を綺麗さっぱり忘れる方法

本見りん
恋愛
メラニー アイスナー子爵令嬢はある日婚約者ディートマーから『婚約破棄』を言い渡される。  ショックで落ち込み、彼と婚約者として過ごした日々を思い出して涙していた───が。  ……あれ? 私ってずっと虐げられてない? 彼からはずっと嫌な目にあった思い出しかないんだけど!?  やっと自分が虐げられていたと気付き目が覚めたメラニー。  しかも両親も昔からディートマーに騙されている為、両親の説得から始めなければならない。  そしてこの王国ではかつて王子がやらかした『婚約破棄騒動』の為に、世間では『婚約破棄、ダメ、絶対』な風潮がある。    自分の思うようにする為に手段を選ばないだろう元婚約者ディートマーから、メラニーは無事自由を勝ち取る事が出来るのだろうか……。

処理中です...