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夢破れて・・・・・・
夢の終わり
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翌朝、ギルドカードを返しにギルドへと向かった。
表には『祝!黒龍討伐!!』と垂れ幕がかかっている。
中に入ると人は少ない。
まぁ、この時間は昨日の酒が残ってまだ夢の中にいるんだろう。
俺は受付にやって来た。
「ギルドカードを返却に来たんだけど。」
「アウルさん、本当に辞めちゃうんですね・・・・・・。今日には討伐チームが戻ってきますよ。」
「だからこそ・・・・・・、今日中には出ていきたいんだよ。アイツらのに合わせる顔なんて無いからな。」
「そうですか・・・・・・、それでは退職金を用意させて貰いますのでお待ちください。」
そう言って受付嬢は奥に入っていった。
待つ事数分後、受付嬢が出てきた。
「こちらがアウルさんの退職金となります。アウルさんの冒険者としての活動記録は抹消されましたので、万が一もう一度冒険者をやるのでしたらEランクからのスタートとなりますので。」
「もう冒険者になるつもりはないし田舎に帰って気ままに暮らすよ。それじゃあ。」
「お元気で・・・・・・。」
受付嬢の寂しそうな顔を見てちょっと胸が苦しくなったが俺はギルドを出ていった。
「コレでもう王都に来る事は無いか・・・・・・。」
俺はその足で馬車乗り場へと向かい馬車に乗り込んだ。
馬車には数人が乗っている。
時間になり馬車は動き出した。
流れていく王都の風景を俺は眺めていた。
(王都てこんなに広かったんだなぁ・・・・・・、毎日宿舎とギルドを往復していただけだからなぁ。)
大通りに出ると人が歩道の方に集まり始めていた。
「金色の塔が凱旋してくるんでしょうなぁ。」
「みたいですね、あんまり興味はありませんけど。」
隣に座っている男性が俺に話しかけてきた。
「知ってますか? 国公認となると貴族になれるらしいんですよ。だからこそ、ギルドは結果を出そう、と必死になってるそうなんですよ。」
「そうなんですか。」
「それに今回、歌巫女のレイラ様が王太子様に見初められて婚約をする、という噂があるみたいなんですよ。」
「え・・・・・・。」
「その幼馴染みの黄金騎士のマイカル様も、王立騎士団に所属されるとか。夢のある話じゃないですか。」
男性の話を聞いて俺は涙を堪えていた。
本当は泣き叫びたい気分だ。
何で俺だけ普通なんだっ!
何でアイツらがレアスキルを持ってるんだっ!
何でアイツらが幸せになるんだっ!
そう、この気持ちは妬みだ。
理不尽なのはわかっている。
でも、仕方がないんだ。
レイラ達は勝ち組で俺は負け組。
努力しても乗り越えられない物がある事を思い知った。
俺は冒険者になるべきでは無かった。
辞めるのは運命だったんだ・・・・・・。
そう、自分に言い聞かせる。
そうしないと自分が惨めに思えてしまうから・・・・・・。
俺は馬車に乗っている間、ずっと下を向いていた。
歓声が聞こえたり、音楽が聞こえて来たけど見れなかった。
見たら多分、本当に心が折れてしまいそうだから。
表には『祝!黒龍討伐!!』と垂れ幕がかかっている。
中に入ると人は少ない。
まぁ、この時間は昨日の酒が残ってまだ夢の中にいるんだろう。
俺は受付にやって来た。
「ギルドカードを返却に来たんだけど。」
「アウルさん、本当に辞めちゃうんですね・・・・・・。今日には討伐チームが戻ってきますよ。」
「だからこそ・・・・・・、今日中には出ていきたいんだよ。アイツらのに合わせる顔なんて無いからな。」
「そうですか・・・・・・、それでは退職金を用意させて貰いますのでお待ちください。」
そう言って受付嬢は奥に入っていった。
待つ事数分後、受付嬢が出てきた。
「こちらがアウルさんの退職金となります。アウルさんの冒険者としての活動記録は抹消されましたので、万が一もう一度冒険者をやるのでしたらEランクからのスタートとなりますので。」
「もう冒険者になるつもりはないし田舎に帰って気ままに暮らすよ。それじゃあ。」
「お元気で・・・・・・。」
受付嬢の寂しそうな顔を見てちょっと胸が苦しくなったが俺はギルドを出ていった。
「コレでもう王都に来る事は無いか・・・・・・。」
俺はその足で馬車乗り場へと向かい馬車に乗り込んだ。
馬車には数人が乗っている。
時間になり馬車は動き出した。
流れていく王都の風景を俺は眺めていた。
(王都てこんなに広かったんだなぁ・・・・・・、毎日宿舎とギルドを往復していただけだからなぁ。)
大通りに出ると人が歩道の方に集まり始めていた。
「金色の塔が凱旋してくるんでしょうなぁ。」
「みたいですね、あんまり興味はありませんけど。」
隣に座っている男性が俺に話しかけてきた。
「知ってますか? 国公認となると貴族になれるらしいんですよ。だからこそ、ギルドは結果を出そう、と必死になってるそうなんですよ。」
「そうなんですか。」
「それに今回、歌巫女のレイラ様が王太子様に見初められて婚約をする、という噂があるみたいなんですよ。」
「え・・・・・・。」
「その幼馴染みの黄金騎士のマイカル様も、王立騎士団に所属されるとか。夢のある話じゃないですか。」
男性の話を聞いて俺は涙を堪えていた。
本当は泣き叫びたい気分だ。
何で俺だけ普通なんだっ!
何でアイツらがレアスキルを持ってるんだっ!
何でアイツらが幸せになるんだっ!
そう、この気持ちは妬みだ。
理不尽なのはわかっている。
でも、仕方がないんだ。
レイラ達は勝ち組で俺は負け組。
努力しても乗り越えられない物がある事を思い知った。
俺は冒険者になるべきでは無かった。
辞めるのは運命だったんだ・・・・・・。
そう、自分に言い聞かせる。
そうしないと自分が惨めに思えてしまうから・・・・・・。
俺は馬車に乗っている間、ずっと下を向いていた。
歓声が聞こえたり、音楽が聞こえて来たけど見れなかった。
見たら多分、本当に心が折れてしまいそうだから。
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