元負け組冒険者のセカンドライフ

セカンドライフ

スキルと加護は違う

「まずは、この渇れた大地に息吹を与えたまえ！」
　ミュースの言葉に精霊はチカチカと反応し空へと飛んでいった。
「これから何が起こるんだ？」
「まずは雨を降らせます。それから水脈をこの土地に移動させれば実りある大地が復活します。」
　その言葉通りに青空だったのがだんだんと雲が出てきた。
「本当に雨雲が出てきたっ！」
　これがミュースの力であり精霊の力なのか･･････。
　ポツンポツンと冷たい物が降ってきた。
「一旦家に戻ろう。」
　俺とミュースは本降りにならないうちに我が家へと戻った。
　家に帰ったと同時にザーッと一気に降り始めた。
「ずっと雨が降って無かったから１週間ぐらいは降りますよ。」
　１週間か･･････、暫くは自宅待機だな。
「ところでさっきの話だけど俺に加護がついている、て言っていたがスキルとは違う物なのか？」
「加護は私達土地神の上司である女神様が付ける物、スキルはその人が持っている潜在的な能力の事を言うんです。」
「え？　スキルは女神様がくれる物じゃないのか？」
　幼い時から教えられて来た事と違う事をミュースが言ったので驚いた。
「違いますよ、基本女神様は不干渉ですから特定の人に特殊な力を与える事はありません。だから、加護が与えられる、という事は凄い事なんですよ。」
　う～ん、あんまり実感は無いんだよなぁ･･････。
　でも、加護を貰ったんだったらこれを生かしてのんびりと過ごそうじゃないか。
　俺はもう冒険者じゃないし手柄とか出世とか必要ないし。
　結局、雨は１週間降り続いた。