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冒険者ギルドへ

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「ミーナ、ここが俺が住んでいる街だ」

「ふぇぇぇぇ……、人がたくさん」

 ダンジョンから歩いて俺達は街へと戻ってきた。

 人の多さと賑やかさにミーナは驚いている。

「早速だけど、ギルドへ行こう。 そこで冒険者登録をすればミーナも冒険者になれる」

「私、冒険者になれるのかな……?」

「心配するな、俺が所属しているギルドには悪い奴はいない」

 俺は断言した。

 そう断言できるのにはちゃんと理由があるんだけどな。

 俺はミーナの手を引っ張りながら歩きギルドへとやってきた。

 中に入ると丁度出ているのか人は少なめだった。

「ロアさん、お帰りなさい」

 そう声をかけてくれたのは受付嬢のレイラだ。

 猫族の獣人で此処のマスコット的存在だ。

「おぅ、ただいま、コレ今回の依頼品だ」

「いつもありがとうございます、それで後ろにいる女の子は?」

「あぁ、この子はダンジョンで保護した、龍人族だそうだ」

「龍人っ!?」

 レイラは驚きの声を上げた。

「ま、ママママジですかっ!? 龍人って獣人の中でも滅多に表に出てこない種族ですよっ!?」

 え、そうなのか?

 ミーナはキョトンとしている、いまいちわかってない顔だな。

「それでギルドに登録しようと思うんだ」

「えっ!? あ、はいっ! わかりました。 それでしたらこの水晶に手を当ててください」

「コレに手を当てればいいの?」

 ミーナは水晶に手を当てた。

 水晶はパァッと光り水晶の上に画像が出てきた。

「コレがミーナさんのデータなんですが……、えぇっ!?」

「どうした?」

「す、全ての能力がEX表示になってます……」

 EX、即ち最大値という事だ。

「マジか……」

「えぇ、コレはちょっと問題ですねぇ、新人冒険者がいきなりこんな数値を出すとは……、ちょっと細工しておきましょう」

 そう言うとレイラはキーボードをカチャカチャと打った。

 すると数値が変わった、というか非表示状態になった。

「特例ですけどミーナさんのデータ上の数値を平均よりちょっと上にしておきました」

「おいおい、マスターに黙ってやって良いのか?」

「マスターにはもちろん報告しておきます。多分、マスターも同じ判断をすると思いますよ」

 そう言ってレイラはニカッと笑った。

 俺も多分、マスターがGOサインを出している姿が想像つく。

 あの人は豪快だし俺達冒険者の気持ちを理解してくれている。

 その後、ミーナのギルドカードが発行された。

「これでミーナさんはうちの冒険者です」

「ふぇぇ、キラキラしてる……」

 カードをマジマジと見つめるミーナ。

 なんだか凄くほっこりとする。
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