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巨大な家
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そびえ立つのは巨大な家。と、いうには収まりきらない、屋敷というレベルの建物。3階建てで、その麓にたつと、見上げても先が見えないほどにそれは大きかった。窓がずらりと規則正しく並び、金やら銀やらきらきらしたかつ豪華で細かい装飾がいたるところにちりばめられている。
先ほどまでいた街とはまるで別世界のようだ。
そもそも(つけくわえるなら)、頑丈そうな鉄格子の門からここ——屋敷の入り口——に来るまでの道のりも、いつになったら入り口にたどり着くんだ、と思わず愚痴りたくなるほどに長い。
そのながーい道のりの途中には木々や花、馬や牛などの動物が悠々自適に存在しており、なんだここはといいたくなるようなほど豪華な作りになっている。
さらに屋敷の前には真っ白な石で作られた噴水が水を吹き出し、日の光を受けて輝いていた。
と、そんな豪華な屋敷は俺たち家族の“いえ”である。
俺には、というか、俺の父には「公爵」というたいそうな肩書きというか、称号というか、位がある。
これはまあ国で王族の次に偉い位だ。父は王に信頼されており、任される仕事も多い。となると、当然、入ってくる給料、というのか収入も多い。
というわけで、俺たちの生活は裕福も裕福。こんな屋敷をばーんと建ててしまえるほど余裕があるのだ。
「大きい…」
今日買った、奴隷の彼がつぶやく。
彼に目を向けると、彼は光のない目をかすかに見開いて呆然と屋敷をみていた。
「うん。大きいね。これが今日から君のうちになるんだ」
「…うち、ですか」
「そう。君は今日からここで暮らすんだよ。……さあ、おいで」
手を引く。
彼はためらいながら付いてきた。
その表情は硬く、無理をしているのがありありとわかって、なんとなく気まずい気持ちになる。
それを物理的に頭を振ることによって、振り払い、俺は屋敷へと足を踏み入れた。
先ほどまでいた街とはまるで別世界のようだ。
そもそも(つけくわえるなら)、頑丈そうな鉄格子の門からここ——屋敷の入り口——に来るまでの道のりも、いつになったら入り口にたどり着くんだ、と思わず愚痴りたくなるほどに長い。
そのながーい道のりの途中には木々や花、馬や牛などの動物が悠々自適に存在しており、なんだここはといいたくなるようなほど豪華な作りになっている。
さらに屋敷の前には真っ白な石で作られた噴水が水を吹き出し、日の光を受けて輝いていた。
と、そんな豪華な屋敷は俺たち家族の“いえ”である。
俺には、というか、俺の父には「公爵」というたいそうな肩書きというか、称号というか、位がある。
これはまあ国で王族の次に偉い位だ。父は王に信頼されており、任される仕事も多い。となると、当然、入ってくる給料、というのか収入も多い。
というわけで、俺たちの生活は裕福も裕福。こんな屋敷をばーんと建ててしまえるほど余裕があるのだ。
「大きい…」
今日買った、奴隷の彼がつぶやく。
彼に目を向けると、彼は光のない目をかすかに見開いて呆然と屋敷をみていた。
「うん。大きいね。これが今日から君のうちになるんだ」
「…うち、ですか」
「そう。君は今日からここで暮らすんだよ。……さあ、おいで」
手を引く。
彼はためらいながら付いてきた。
その表情は硬く、無理をしているのがありありとわかって、なんとなく気まずい気持ちになる。
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