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第一章
第28話 しまった!!
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「うんうん、それで?それで?」
「そこで、私はエリーに初めてキスをしたわけだな」
無邪気にはしゃぐハンナを見ながら俺は決心する。
「ひゃっ!! お義父様ったら大胆!!」
この女性が幸せになる邪魔をしてはいけないと。
「男は大胆過ぎるくらいが丁度いいんだ。 な? ハンナ嬢もそう思うだろ?」
「確かに、確かに」
「全く、ヴィルドレットにも私のような大胆さを見習って欲しいものだ」
父とハンナとの間で会話が弾む中、俺は唐突に口を挟んだ。
「――ハンナ嬢!」
「へ?」
思い掛けないタイミング且つ、珍しく力の籠った俺の声にハンナは呆けた顔でこちらを振り向いた。
「2人きりで君と話がしたい。後で、君の部屋へ伺ってもよいだろうか?」
「…………え?」
瞬間、ハンナの顔全体が真っ赤に染まっていく。
「え、いや、その、そんないきなり……って……えぇ!?いや、だって、私まだ心の準備が……」
さっきまでのキラキラした笑顔は何処へやら。ハンナは焦点が定まらない目をグルグル回しながら、ひとしきりあたふたした後、ハッと我に返ったような表情になって勢い良くその場で立ち上がった。
「ご馳走様でした。 私……、お風呂に行って来ます」
ハンナのその顔は何かに覚悟を決め込んだような、そんなような表情をしていた。
……しまった!言い方が悪かった!
冷静になって自分が言った言葉を振り返り、それが大誤解を招く大失言だった事に気付いた時にはもう既に手遅れだった。
「お、お待ち下さい! ハンナ様!!」
そそくさと部屋を出て行くハンナの後を慌てて追う数人の侍女達。
そして、向かい側では、父とルイスが力強い握手を交わしている。
……はぁ。 厄介な事になってしまった。
俺は肩を落とした。
「そこで、私はエリーに初めてキスをしたわけだな」
無邪気にはしゃぐハンナを見ながら俺は決心する。
「ひゃっ!! お義父様ったら大胆!!」
この女性が幸せになる邪魔をしてはいけないと。
「男は大胆過ぎるくらいが丁度いいんだ。 な? ハンナ嬢もそう思うだろ?」
「確かに、確かに」
「全く、ヴィルドレットにも私のような大胆さを見習って欲しいものだ」
父とハンナとの間で会話が弾む中、俺は唐突に口を挟んだ。
「――ハンナ嬢!」
「へ?」
思い掛けないタイミング且つ、珍しく力の籠った俺の声にハンナは呆けた顔でこちらを振り向いた。
「2人きりで君と話がしたい。後で、君の部屋へ伺ってもよいだろうか?」
「…………え?」
瞬間、ハンナの顔全体が真っ赤に染まっていく。
「え、いや、その、そんないきなり……って……えぇ!?いや、だって、私まだ心の準備が……」
さっきまでのキラキラした笑顔は何処へやら。ハンナは焦点が定まらない目をグルグル回しながら、ひとしきりあたふたした後、ハッと我に返ったような表情になって勢い良くその場で立ち上がった。
「ご馳走様でした。 私……、お風呂に行って来ます」
ハンナのその顔は何かに覚悟を決め込んだような、そんなような表情をしていた。
……しまった!言い方が悪かった!
冷静になって自分が言った言葉を振り返り、それが大誤解を招く大失言だった事に気付いた時にはもう既に手遅れだった。
「お、お待ち下さい! ハンナ様!!」
そそくさと部屋を出て行くハンナの後を慌てて追う数人の侍女達。
そして、向かい側では、父とルイスが力強い握手を交わしている。
……はぁ。 厄介な事になってしまった。
俺は肩を落とした。
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