学生時代

Me-ya

文字の大きさ
上 下
44 / 151
5.恋と、嘘と、現実と

3

しおりを挟む
「大丈夫か?…まったく、何してんだよ」

呆れたような顔をして、治夫は僕に手を差し出してきた。

顔を上げたらドアップで治夫の顔があって、吃驚したんだよっ!!

いくら見慣れているとはいえ、その綺麗な顔を間近で見るとドキッとするじゃないか。

…まだ、ドキドキしている。

「…大丈夫。サンキュ」

僕は紅くなった顔を見られないように、俯いて差し出された治夫の手を取り立ち上がる。

このドキドキは吃驚したからで…決して治夫にトキメイタからじゃないからなっ!!

僕は自分自身に言い聞かせる。

…ちょっと待て。

言い聞かせるって、おかしくないか?

ていうか…。

大体、言い聞かせないといけないような事か?

それに何だよ、“トキメイタからじゃないからなっ!!”て…。

…あ~…最近の僕はおかしい。

…それもこれも全て治夫のせいだ。

治夫が悪い。

「…何、俺の顔に見惚れちゃった?」

…治夫に振り回されてばかりだ。

僕の顔を覗き込んで、悪戯っぽく笑う治夫を見て溜め息を吐いた。

しおりを挟む

処理中です...