学生時代

Me-ya

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7.いつか、君の声が

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-僕は、怒っていた。

『治夫がK大学を受けるらしい』

そう、聞かされて。

最初はこれはもしかして僕が振られるバターンかと血の気が引いたが、よく考えたらそんな事、あるはずがない。

-と言い切れる程には治夫との付き合いは長いし、治夫の事を知っている…つもりだ。

治夫はまだ…いや、きっと、今も僕の事を好きだ。

………と考えると…………あの寧音の勝ち誇った顔を思い出し……鈍い僕にも、なんとなく治夫がK大学に志望を変更した原因が見えてきた。

すると……ふつふつと怒りが沸いてきて、無意識に治夫の居る場所…僕が苦手な場所…特進クラスへと向かっていた。。

別に、治夫が地元の大学からK大学へ進路を変えた事に怒っているわけじゃない。

治夫のレベルなら当然だと思う。

僕が怒っているのは…怒っているのは…。。

…どうして皆が知っている事を、僕が知らなかったのかという事だ。

僕より先に皆が知っていた事に怒っている!!

誰も僕に知らせてくれなかった!!

寧音だって…いつも余計な事は知らせに来るくせに…こういう時こそ、言いに来いよ…っ!!

………いや、そうじゃない…そうじゃなく…。

僕自身…そうだ、知らなかった僕自身に怒っている!!

まったく、これっぽっちも気付かなかった!! 

のほほんとしすぎだろ、僕…っ!!

…あああ…のんきに屋上で空を見上げて寝転んでいる場合じゃなかった…。

1番に、何をおいても治夫に会うべきだった…っ!!

治夫も治夫だ…っ!!

そんな大事な事を1人で決めてしまうなんて…っ!!

…………………………って。

………いや、そうじゃない………そうじゃなくて………。

…僕はそれ程、頼りないのか………?

………………………いや……っ、確かに……今、治夫を好きだと胸を張って皆に宣言できるかと聞かれたら、迷うよ……迷うけど………っ!!

それを責められても………。

………しようがないじゃないか。

自分でも気が付いたのは最近なんだから…っ!!

迷って、悩むよっ。

それが悪いのかよっ!!

-もはや誰に何を怒っているのかも分からなくなったまま、僕は特進クラスの扉に手をかけ、(怒りに任せて)思いっきり開いた。
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