雨のナイフ

Me-ya

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いや、だからといって晃が速水を好きになるとは絶対、思わない。

脅されているし…第一、晃はノーマルだ。

だが。

速水が晃を気に入るかもしれない。

男の俺から見ても、晃は綺麗な顔をしているし。

その点、俺なら大丈夫。

平凡顔だし、まるっと全般的に普通だから。

気に入られる要素は限りなくゼロに近い…というか、ゼロだ。

ただ…そうは言っても、独りであの速水に会いに行くのはやっぱり恐い。

噂では色々聞くけど、実際に会うのは初めてだ。

悪い噂しか聞かない速水に会うというだけで足が震える。

しかし、晃を助ける為だ。

晃は俺が助ける。

だって晃は俺の初恋で、憧れだから。

幼い頃、初めて晃と出会った時、あまりの可愛さに女の子と思い込み、一目惚れをしてしまった。

そして、俺がこの子を守ると強く心に誓った。

しかしその後、晃が男の子である事を知り、あえなく失恋。

だが、それからも友人として晃の近くに居続けた。

要領がいい俺とは違い、晃は努力家だ。

先生や親の期待に応え、勉強もスポーツも陰で努力している事を俺は知っている。

そんな晃を脅して金を取ろうなんて…。

絶対、許せない。

晃を助ける。

速水に一発や二発、殴られる覚悟はできている。

……………………………………………………。

…………………………。

……………。
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