雨のナイフ

Me-ya

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ドアを開けると、部屋の中へ由貴を放り込んだ。

由貴は部屋の中、倒れ込んだままおれを睨み付けてくる。

-面白い。

由貴に近付いたおれは右手を振り上げ、由貴の左頬に思い切り振り下ろした。

部屋の中に、頬を叩く乾いた音が響く。

「お前は誰の物だ?ん?」

由貴の前髪を掴み、引っ張って顔を上に向かせる。

「俺は、誰の物でもな…」

由貴が言い終わる前に、今度は右頬を叩く。

「少し自由にしてやれば、偉そうな口をきくようになったな。まあ、いい。お前が誰の物か、もう一度、その身体に教えてやる」

掴んだ髪から手を放すと、由貴は座ったまま尻でずりずりと後ずさりし、おれから離れようとする。

その姿に嗜虐心を刺激されたおれはワザと追い詰めるように、ゆっくり由貴に近付く。

由貴の瞳が逃げる場所を探している。

どこにも、逃げられないというのに。

やはり、由貴は面白い。

「あ、晃は?」

部屋の隅に由貴を追い詰めた時、思わずという風に由貴が聞いてきた。

晃?

おれは由貴を見下ろしながら、方眉を上げた。

聞いたことがあるような気もするが、はっきりとは覚えてない。

もしかしたら取り巻きの中に居たヤツかもしれないが、いちいち取り巻きの顔と名前なんか覚えていない。

「もしかして…覚えてないの?」

おれの顔を見て、悲しそうな顔をする由貴。

「人のことを気にしている場合か?」

おれの言葉に、由貴が顔色を変える。

由貴のことを好きというわけではないが、手放す気もない。

由貴が他のヤツの姿を目に映すことも、他のヤツの名前を呼ぶことも許さない。

今、由貴の瞳におれが映っている。

そう、それでいい。

だが、由貴の方へ伸ばしたおれの手を由貴は手で跳ね退け拒否した。

………気に入らない。

おれは由貴の襟元を右手で掴み引き寄せると、首に噛み付く。

由貴は叫び声を上げて、必死でおれから逃れようと暴れる。

それが気に入らずに、首筋に噛み付いた歯に力を込める。

口の中に、鉄の味が広がった。

その血を啜り、傷口を舐めると由貴は叫ぶことを止めて大人しくなった。

そう、そうやって大人しくしていたら、優しくしてやる。

おれは、由貴のシャツの釦を外していった。
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