雨のナイフ

Me-ya

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6ー2

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「僕は伝言を頼まれただけだし…雅志に青山由貴の事は忘れるように伝えろって。僕もその方がいいと思う」

「どういう事だ?」

「今度は犯されるだけじゃ済まないってことだよ」

声を殺して言われた彰文の言葉に、オレの顔から血の気が引いた。

「どうして、その事を…」

この学校でその事を知っているのは、オレと青山のふたりだけだったはず。

「まさか…」

あの映像を見たのか。

「勘違いしないでほしいけど、僕はその映像を見せられてないからね」

その言葉にホッと安心したのは一瞬で。

では何故、彰文がその映像の事を知っているのか、誰に聞いたのか、青山の居場所は…聞きたい事が沢山あり、言葉に詰まる。

「映像はもう消去されているから。安心していいってさ」

「え?」

「ただ、青山を忘れて諦める事が条件らしいから」

それって…。

「もし、青山を諦めなければ、犯すくらいじゃ済まないって。だから諦めた方がいいよ。青山だって、そう思ってるさ…その為に速水の所に戻ったんだろうし」

………やっぱり。

青山がいなくなった時、そうかもとは思っていた。

俺の為に、青山は速水の所へ行ったんじゃないかと。

だったら、やっぱり青山を諦めるわけにはいかない。

青山を捜し出して、助けないと。

俺のせいなんだから。

そう決心した時、まるで水を差すように彰文の声が聞こえた。

「止めた方がいいよ。家族がどうなっても、いいの?」

その言葉に、俺は血の気が引く。

「確か、妹がいるんだよね?」

『跡継ぎは私が産むから心配しないで、安心して』

そう言って笑っていた妹の顔が頭に浮かぶ。

両親の顔も。

泣いていた顔や、怒った顔、心配してくれた顔…様々な家族の顔が頭の中を横切る。
家族には迷惑をかけられない。

-あの、襲われた日。

ボロボロになって家に帰った俺を最初に見つけたのは妹だった。

俺の姿を見た妹は何も聞かず、両親には内緒で傷の手当てをしてくれた。

そして、外に出るのが怖くなり、引きこもりになった俺を両親から庇ってくれたのも妹だ。

その日から、俺の味方になり親を説得してくれたのも妹。

妹がいなければ、俺はここまで立ち直れなかったかもしれない。

その妹と青山、どちらかを選ぶなんて。

俺には………。

妹の顔が思い出される。

それと同時に、最後に見た青山の顔も。

俺は………。

青山の笑顔が遠くなる。

………ごめん。

弱虫な俺を許して。

ごめん………。

俺はその笑顔に、何度も謝った-。
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