暗い水の中を壊して逃げていく

Me-ya

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no more friends

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-2年に進学した時、クラス替えがあった。

樹生はまたしても僕と同じクラスになれなかった事を悔しがっていたけど僕は心底、ホッとした。

そして、治朗の事は何も言わない。

不自然なまでに。

以前は何かにつけて「治朗には気をつけろ」だの「治朗には近付くな」と言っていたのに、最近は全く言わなくなった。

それは樹生が治朗を意識しているから。

でも、それだけ。

まだ2人に接点はない。

それは樹生が治朗を避けまくっているから。

でも、それは。

それほど樹生が治朗を意識しているという事で。

(ここは僕が手助けをするべきかな)

-僕は樹生には内緒で樹生が好きそうな映画のチケットをそっと治朗に手渡した。

-そして当日。

着ていく服を悩んでいる樹生とどうやって樹生を手込め………いや、モノにしようか悩んでいる治朗の代わりに、2人の夕飯のキャンセルの申請を済ませておいた。

2人は浮ついていて忘れているみたいだから。

そんな事は知らない樹生は不安げな顔を隠して笑顔で僕に手を振る。

「映画を見終わったらすぐ、帰ってくるから」

-無理だよ。

樹生が治朗の誘惑に抗えるとは思えない。

秘密や禁じられている事をするのが大好きで快感に弱い樹生。

「楽しんできてね」

僕も笑顔で樹生に手を振り返した。

……………………………………………………。

………………………………。

………………。

部屋のドアがそーっと開いた時、僕は机に向かい勉強をしていた。

「………お帰り」

「………うわっ!!」

-振り返ると、樹生は青白い顔をして僕の視線から目を逸らす。

その樹生の姿を見て、治朗が首尾良く………僕が想像していたよりも上手く………済ました事を知った。

-多分、樹生は治朗に抱かれ…僕が思っていた以上に…感じて乱れまくったんだろう。

だか、罪悪感で僕の顔を正面から見る事ができない。

樹生の首筋に付いているキスマークを目敏く見付けた僕は心の中でほくそ笑んだ。

「………どうだった?……良かった?」

少し悪戯心で聞いた僕が吃驚するくらい樹生は吃驚、慌てていて挙動不審。

(この分だと…今日は何もしてこないだろう)

-久し振りにぐっすり眠れるかも。

樹生が治朗を意識し始めてからは毎晩のように身体を求められていた僕は、久し振りに訪れた安眠にホッとした。

(…これからはずっと夜が来ても憂鬱にならなくていいんだ………)

これから樹生はきっと、僕どころじゃないだろうから。

-1回、味わった禁断の果実はいけないと分かっていればいるほど、止められないよね………。
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