暗い水の中を壊して逃げていく

Me-ya

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第1章 昨日までの日常、モノトーンのふたり

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-解放されたのは明け方、空が朝日に赤く染まり始めた頃だった。

だが、治朗と1日近く抱き合っていた俺は腰が抜けたみたいになり、すぐに立ち上がる事ができずにいた。

早く彰の元へ行きたいと焦る俺を尻目に、さっさと帰り支度をすませて部屋から出ていく治朗。

去り際。

「………あ、そうだ。オレ、今度結婚するんだ。樹生とも今までみたいに会えなくなるかもしれないから…寂しくなるだろうけど。ま、身体が疼いてどうしようもなくなったら連絡してきなよ。暇だったら抱いてあげるからさ」

笑い声を残して、出ていった。

立ち上がる事ができない俺は全裸でベッドの上、悔し紛れに枕を掴んで治朗が出ていったドアに投げつけた。

治朗が誰と結婚しようがどうでもいい。

そんな事、俺には関係ない。

それより、彰だ。

俺はスマホを掴むと彰に連絡をとろうとした。

が。

出ない………どころか、呼び出し音さえ鳴らない。

(……………どういう事だ……………?)

彰は携帯を解約したのか………?

焦った俺は共通の友人達に片っ端から連絡した。

結果-。

誰も。

何も。

知らない。

彰は友人達にも黙って姿を消した。

大学も退学し、住んでいたアパートも引き払い誰にも何も言わずに………。

最初は、信じる事ができなかった。

彰が俺に黙って姿を消すなんて。

俺は、動けるようになってすぐ、彰が住んでいたアパートに行き、彰が通っていた大学に確認に行ったが、アパートはすでに引き払われて何もなく、大学も退学していると言われ、友人達も首を振るばかり。

彰の実家にも連絡をしたが、大学を退学、アパートを引き払った事は彰から連絡があって知っていたが、今、彰がどこにいるかは知らないと言われ………今度こそ、俺は途方に暮れた。

(……それほどにショックだったのか)

俺が治朗に抱かれていた事が………。

でも、俺は彰を信じている。

ショックを受けて姿を隠しているとしても、少ししたら冷静になって……………そうしたらきっと、彰は帰ってくる。

(いつもそうだったから………)

初めは俺に怒っていても、最後には許してくれる。

(今回だって………)

でも、今回、俺は彰に対して酷い裏切りをしてしまった。

謝っても、許してもらえるか分からないほどの。

…………………………いや。

許してもらえるまで謝るしかない。

でも、どこにいるのか分からなければ謝る事もできない。

俺の中で彰に対する後悔、懺悔は膨れ上がるばかり。

(………どこで間違った……………?)

考えれば考えるほど、彰に対する後悔が大きくなるのと同じくらい治朗に対する恨みも膨れ上がる。

そんな時。

俺と治朗との関係を知っている高校時代の友人が俺に連絡をしてきた。

『治朗………婚約したんだってさ………それが相手の女性が金持ちでさ、逆玉らしいぜ。見初められたんだってさ。うらやましいよな~、オマケに美人らしいし………それと………これは内緒なんだけどさ………婚約者のアニキが治朗のタイプらしくて………治朗のヤツ、嫁と兄貴、両方手に入れてさ~。両手に花だもんな。資産家らしいし、ホント、うまくやったよ』

-俺はナイフを握ると雨の中、暗い道を治朗のマンションを目指して走った。
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