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159 熟女をいじる

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ケーンは嫁一同に集合をかけ、マリアとアリスに改めて紹介する。

ケーンは、ふと違和感を抱いた。

サーシャの雰囲気が変わっている。

「気づいたようですね。
以前の私とは相当変わってますが、一筋縄ではいきませんよ。
ケーン、私を飼いならしてごらん」
 サーシャは冷笑を浮かべ、ケーンを挑発。

「なるほどね……。
分裂してた魂が一つに還ったわけだ?
おもしろい!
おいで」
 ケーンは、サーシャを手招きする。

「いざ!」
 気迫をこめて、サーシャはケーンに歩み寄る。

「旦那様、うんとかわいがってくださいませ!」
 デレンデレンの表情で、ケーンにまとわりつくサーシャだった。

 いわゆるヤンデレね? 俺の腕の見せ所?

 メラメラと闘志を燃やすケーンだった。


「あほくさ……。
ほな、太郎と次郎で遊ぼか?」
 あきれ顔で、他の嫁を促すユリだった。

「ユリ、キキョウ、テレサ、総子。気づいていますか?」
 夜の女王が、退出しようとする四人を呼び止めた。

「何に、でしょう?」
 代表してキキョウが聞く。

「四人とも妊娠してますよ」

「え~~~!」

「ケーンがその気になったら、百発百中です。
出発前に、妊娠適齢期の四人には、出産を終えさせるつもりでしょう。
くれぐれも無理をしないよう、王宮で過ごしなさい」
 女王は、謁見の間から去った。

 妊娠が発覚した嫁四人は、顔を見合わせた。ユリがクスクスと笑った。つられてキキョウとテレサ、総子も笑う。

「やってくれるじゃない!」
 ヒカリちゃんのジャンヌが叫ぶ。

 直後、謁見の間は爆笑に包まれた。ユリは思う。たしかに言ったんだけどね。子作りトライアル。

四人一挙にとは想像していなかったが。

「ひょっとしてケーン様、四人を妊娠させた自信があったから?
新しい嫁、連れてきたの」
 キキョウは善意に解釈する。

「それはないやろ?
ラノベ的美少女がおったから。
それ以外考えられへん」
 ユリは鼻で笑う。
「まあ、そうでしょうね。
みんなの子供、私の祝福と加護を授けます」
 ヒカリちゃんのジャンヌが、一瞬猛烈に輝く。温かい光が四人の体を包み、下腹部に収束した。そして下腹部に吸い込まれるよう消えていく。

「これで安産間違いなしです。胎児たちに、聖神女並みの祝福と加護が得られました」
 ヒカリちゃんの言葉に、満面の笑顔でうなずく嫁たちだった。

「私はダメなんだ?」
 ジャスミンが寂しそうにぽつりと。

「ジャスミンさん、あんた気づいてないようやな?」
 ユリがにんまりとして言う。

 嫁たちは微笑みながらジャスミンを見守る。

「何に?」
 ジャスミンは、きょとんとして聞く。

「ケーンは、夜の女王様の息子やで。
特殊能力があるんや。
もちろん、女王様の力ほどではないけど」

「若返りですよ。急激に効果は出ないけど、エッチするたびに。
身体能力上昇は、はっきりわかるでしょ?」
 ユリの言葉を、キキョウが具体的に解説する。

「そういえば……」
 ジャスミンは言われてみて納得。自分でも若返っているように感じられたが、それは精神的な問題だと思い込んでいた。

「正直言うたら、ジャスミンさんが今妊娠したら、高齢出産になる。
せやからケーンは、時期を待っとるんや。
それに、アリスのパーティのお守り役、出発するまでしてもらわな困るやろ?」

 ジャスミンは、胸の中がほっこりと温まった。

彼女は自分が熟女であること、引け目に感じていた。
容姿の点でも、タメを張れるのはレミぐらい。アリスが嫁になったこと、正直ほっとできた。ケーンは美女美少女にこだわらないという点で。

「ひょっとして宇宙で出産?
人族初めての快挙?」
 総子がジャスミンをいじる。

「ありえる~~~!」

「やだ、も~~~……」 
 嫁たちのいじりに、歳がいもなくてれまくるジャスミンだった。
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