163 / 170
163 チャリティバザールでござ~る
しおりを挟む
光の神殿分院前の広場。広場には日よけテントが数多く設置され、チャリティーの品が販売されている。
その品は、一点金貨一枚以内相当という条件で、貴族や商家から提供されたものだ。
王家や光の神殿、ギルド肝いりのチャリティー。貴族も商人も、こぞって出品した。
見返りは期待していなかったが、なんとギルドから、シャンプー&リンス、せっけん。中級ポーションが、出品数や額に応じた返礼品として提供された。
もっと出品していたらよかった、というのが、貴族や商人の感想。
セッケンやシャンプー・リンスは、奥方や御令嬢たちに大好評。ギルドに問い合わせても、現品限りとはねのけられた。
ポーションは、レミの薬屋の品。主に冒険者に販売され、どれほど社会的な地位が高くても、ごり押しで入手できない。
超痛い目にあった貴族もいることだし。
チャリティーのテントに並んで、十軒の屋台が軽食を販売している。数日前から、王都各所で人気を博している屋台だ。
ラーメン・ハンバーガー・たこ焼き・イカフライ・ソフトクリーム&プリン。各二軒が大盛況。
はっきり言って、類をみないお祭り騒ぎ。
広場中央の特設ステージ。
「さあさあ! ただいま竜王国で人気沸騰中!
ボンビークローバーXのミニライブ、始まるよ~~~!」
蝶ネクタイのケーンが、マイクで叫ぶ。
♪愛する フォーチュンキャンディ
未来は 悪くないかもよ~~~ はははぁん~♬
ステージでは、ボンクロXの四人が、きゃぴきゃぴダンス。衣装はもちろんカワユイ狙いのそれ系。
当初あっけに取られていた客は、ステージに引き付けられる。
騎士・冒険者・シスター・孤児院の子供たちが、脇からステージ上へ。歌とカラオケに合わせ、ボンクロの振り付けをまねる。もちろん、ケーンの仕込みだ。
取り巻く客も、思わずリズムに合わせスイング。
ごめんなさい! アキモト先生……。ケーンは心の中で、そうつぶやいた。
チャリティーバザールは、ケーンの狙い通り大盛況のうちに終わった。
ギルド主催で、オークション出品者を招き、立食形式の打ち上げが行われた。もちろん、影の主催者はケーンだ。
王族や貴族、大商人たちは、一般庶民に混じって、屋台を冷やかすのははばかられた。本音を言えば、食べたことのない屋台メニューに心惹かれていた。
「本日は王家の皆様を始め、貴族の方々、ならびにライラックで店を構える商人の皆様。
ご協力、厚く御礼申し上げます。
孤児院の子供の中には、クエストで親を失った者も、多く含まれております。
皆様のお力で、身寄りのない子供たちが、どれほど救われるか。
重ねて感謝申し上げます。
今夜は、現在王都で評判の屋台グルメ、試しに楽しんでいただけたら幸いです。
調理は、すべて夜の王宮料理係が行います。
安心して召し上がってください」
ギルド長は、ケーンが用意した挨拶を述べた。
打ち上げ参加者たちは驚いた。
夜の王宮の料理係?
つまり……、食べなければ超怖い! それに、食べてみたいし!
ライラックのハイソ諸兄は、屋台に列を作った。
ケーンは、ハイソたちが舌つづみを打つ光景を、満足げな表情で眺めていた。
なんか、やり遂げた感?
料理コンテストなんて、もうどうでもいいんじゃね?
提供した「粗品」も、出所は俺だとわかってるだろうし、わいろを贈ってるみたいで、なんかやだ。
料理の鉄人に、なりたいわけじゃないし。
急速に意欲を失ったケーンだった。
「ケーン様、このソフトクリーム、おいしいですね!
こんなの、食べたことございません!」
貴族御令嬢風の女性が近寄ってきた。
マジで金髪ドリル、いるのね?
「さようでございますか。
屋台販売なので、お嬢様には買いにくいと思いますが、どうかごひいきに」
ケーンはそつなく応える。ドリルヘアーも定番だが、なぜだか触手が動かない。
触手でからめてみたい気もするが。
「よろしければ、お茶会でも……。
できたらセッケン、リンスとシャンプー、どこで買い求めたらよいのか、教えていただけません?」
「そうですわ!
いくらお金がかかっても大丈夫ですから」
「是非販売してくださいくださいませ!」
ケーンの周囲を、貴族令嬢や豪商の娘と思われる女性が取り巻いた。
「あれは父が古代遺跡で発掘したものです。
時間停止機能が付いた箱に入っていました。
現品は残り少なく、ただちにお分けすることはできません。
研究してみます」
ケーンは、下心見え見えの御令嬢たちに辟易した。いつもの言い逃れで押し通すことに。
「さようでございますか……。残念ですわ」
「なるべく早く、ご研究くださいませ。
開発できたら、是非ともガイアー商会で……」
「ギムレット商会の方が、幅広く商いをしております!」
「考えておきます」
ケーンは日本的な婉曲拒絶法でその場を逃れた。
ダメだ、この子たち……。いっこうに触手が動かない。
まとめて触手で絡めたい気もするが。
その品は、一点金貨一枚以内相当という条件で、貴族や商家から提供されたものだ。
王家や光の神殿、ギルド肝いりのチャリティー。貴族も商人も、こぞって出品した。
見返りは期待していなかったが、なんとギルドから、シャンプー&リンス、せっけん。中級ポーションが、出品数や額に応じた返礼品として提供された。
もっと出品していたらよかった、というのが、貴族や商人の感想。
セッケンやシャンプー・リンスは、奥方や御令嬢たちに大好評。ギルドに問い合わせても、現品限りとはねのけられた。
ポーションは、レミの薬屋の品。主に冒険者に販売され、どれほど社会的な地位が高くても、ごり押しで入手できない。
超痛い目にあった貴族もいることだし。
チャリティーのテントに並んで、十軒の屋台が軽食を販売している。数日前から、王都各所で人気を博している屋台だ。
ラーメン・ハンバーガー・たこ焼き・イカフライ・ソフトクリーム&プリン。各二軒が大盛況。
はっきり言って、類をみないお祭り騒ぎ。
広場中央の特設ステージ。
「さあさあ! ただいま竜王国で人気沸騰中!
ボンビークローバーXのミニライブ、始まるよ~~~!」
蝶ネクタイのケーンが、マイクで叫ぶ。
♪愛する フォーチュンキャンディ
未来は 悪くないかもよ~~~ はははぁん~♬
ステージでは、ボンクロXの四人が、きゃぴきゃぴダンス。衣装はもちろんカワユイ狙いのそれ系。
当初あっけに取られていた客は、ステージに引き付けられる。
騎士・冒険者・シスター・孤児院の子供たちが、脇からステージ上へ。歌とカラオケに合わせ、ボンクロの振り付けをまねる。もちろん、ケーンの仕込みだ。
取り巻く客も、思わずリズムに合わせスイング。
ごめんなさい! アキモト先生……。ケーンは心の中で、そうつぶやいた。
チャリティーバザールは、ケーンの狙い通り大盛況のうちに終わった。
ギルド主催で、オークション出品者を招き、立食形式の打ち上げが行われた。もちろん、影の主催者はケーンだ。
王族や貴族、大商人たちは、一般庶民に混じって、屋台を冷やかすのははばかられた。本音を言えば、食べたことのない屋台メニューに心惹かれていた。
「本日は王家の皆様を始め、貴族の方々、ならびにライラックで店を構える商人の皆様。
ご協力、厚く御礼申し上げます。
孤児院の子供の中には、クエストで親を失った者も、多く含まれております。
皆様のお力で、身寄りのない子供たちが、どれほど救われるか。
重ねて感謝申し上げます。
今夜は、現在王都で評判の屋台グルメ、試しに楽しんでいただけたら幸いです。
調理は、すべて夜の王宮料理係が行います。
安心して召し上がってください」
ギルド長は、ケーンが用意した挨拶を述べた。
打ち上げ参加者たちは驚いた。
夜の王宮の料理係?
つまり……、食べなければ超怖い! それに、食べてみたいし!
ライラックのハイソ諸兄は、屋台に列を作った。
ケーンは、ハイソたちが舌つづみを打つ光景を、満足げな表情で眺めていた。
なんか、やり遂げた感?
料理コンテストなんて、もうどうでもいいんじゃね?
提供した「粗品」も、出所は俺だとわかってるだろうし、わいろを贈ってるみたいで、なんかやだ。
料理の鉄人に、なりたいわけじゃないし。
急速に意欲を失ったケーンだった。
「ケーン様、このソフトクリーム、おいしいですね!
こんなの、食べたことございません!」
貴族御令嬢風の女性が近寄ってきた。
マジで金髪ドリル、いるのね?
「さようでございますか。
屋台販売なので、お嬢様には買いにくいと思いますが、どうかごひいきに」
ケーンはそつなく応える。ドリルヘアーも定番だが、なぜだか触手が動かない。
触手でからめてみたい気もするが。
「よろしければ、お茶会でも……。
できたらセッケン、リンスとシャンプー、どこで買い求めたらよいのか、教えていただけません?」
「そうですわ!
いくらお金がかかっても大丈夫ですから」
「是非販売してくださいくださいませ!」
ケーンの周囲を、貴族令嬢や豪商の娘と思われる女性が取り巻いた。
「あれは父が古代遺跡で発掘したものです。
時間停止機能が付いた箱に入っていました。
現品は残り少なく、ただちにお分けすることはできません。
研究してみます」
ケーンは、下心見え見えの御令嬢たちに辟易した。いつもの言い逃れで押し通すことに。
「さようでございますか……。残念ですわ」
「なるべく早く、ご研究くださいませ。
開発できたら、是非ともガイアー商会で……」
「ギムレット商会の方が、幅広く商いをしております!」
「考えておきます」
ケーンは日本的な婉曲拒絶法でその場を逃れた。
ダメだ、この子たち……。いっこうに触手が動かない。
まとめて触手で絡めたい気もするが。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる