魔族と組んで異世界無双 2

夜夢

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第1章 始まりの章

23 ダンジョン攻略中

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    あれから2人は更に階層を突破し、今2人は地下40階に居た。目的だった鯛やマグロも無事収穫し、2人は毎日魚料理を楽しんでいた。

「今回は海鮮丼にしてみた。マグロ、イカ、ホタテ、甘エビ、サーモン、そしてウニだ。さぁ、食べてみるが良いっ!」

「頂きま~す!はぐっはぐっはぐっ…んん~っ♪美味いっ!いやぁ…枢さぁ、このダンジョンもう一回上からやり直さない?食材集めしておこうよ。攻略しちゃったらもう魚手に入らないかもよ?」

「…実は俺もそれを考えていた。しかし…それは既に解決済みよ!」

    枢は魚を一匹倉庫から取り出し、手をかざしながら叫んだ。

「【複製】っ!かける10!」

「おっ!?おぉぉぉぉぉぉっ!?ふ、増えた!」

「ふっふっふ。一匹有れば十分よ。後は俺のスキルで無限に増やせる!ふははははははっ。」

「さ、最高すぎるっ!神だっ、神がおられるっ!」

「まぁ、と言う訳だ。もう何回か一階からやり直して被りが無くなったらダンジョンコアを破壊だ。」

「賛成~♪」

    2人はそれから何度か一階から49階までやり直し、全ての食材を揃え、最後の扉の前で休憩をとっていた。

「いっぱい集まったね。それに…滅茶苦茶レベル上がったよ!」

「だなぁ。ちょっと稼ぎ過ぎたな。恐らく…この大陸でもう俺達に勝てる奴は居ないかもしれん。」

    2人は何度となく昇り降りを繰り返し食材を集める事で、自然と経験値も稼ぐ事になっていた。正に一石二鳥である。

「アイリーン、ラスボスソロやってみるか?」

「良いの?」

「お前が何処まで強くなったか見てやるよ。」

「よ~し、見てなさい?ボスなんか瞬殺よっ!さぁ、いざっ…突入~!」

    2人は休憩を終え、ダンジョン最後の扉を開いて中に入った。

「…やはりな。じゃ、任せた。頑張ってくれ…。」

「ち、ちょちょちょっ!?ま、待って!あんなの無理ぃぃぃぃっ!!気持ち悪っ!か、代わってぇぇぇっ!!」

「やだよ!?あんな気持ち悪いの相手に出来るかっ!?ほら、早く行け。レベル的には簡単に倒せるから。」

    フロアの奥にボスが居た。見た目はまぁ…深海魚を巨大化させ、更に手足を持ち、目玉がギョロッとこちらを見ている。正直直視したくない。 

「ううぅ…。鬼っ!悪魔っ!」

「誉めるなよ、照れるだろ。早くしろ、彼方はやる気満々みたいだぜ?キモッ…。」

    ボスが筋肉を見せつける様にポージングを始めていた。

「…うわ…っ、気持ち悪っ!!?近付きたくないよぉぉぉ…。」

「なら斬撃を飛ばせば良いだろ?それか魔法だな。散々教えてやっただろう。」

「あ…。そうだったそうだった!!」

    アイリーンは両手に短剣を構え、ボスから離れた位置でそれを何度も振り下ろした。

「いっけぇぇぇぇっ!【炎雷刃】っ!」

    火の短剣と雷の短剣から無数の斬撃がボスに襲い掛かった。

《ぎょぎょっ!!?…むぅんっっっっ!!》

    ボスは筋肉で防ごうとした…が、弱点である雷がボスの表層を削り、その傷口から炎がボスの体内へと流れ込んでいっていた。

《ぎにょぉぉぉぉぉぉぉっ!!!?》

「良かった、効いてるみたい。よ~し、どんどん行くよっ!てぇぇぇぇいっ!!」

    アイリーンは短剣を振り回し、次々とボスに斬撃を送り込む。ボスは溜まらず地面を転げ回るが無数の斬撃から逃れる術も無く、ひたすら攻撃を受け、やがて動かなくなった。

「ふぅっ、じゃあ…トドメっ!【双龍撃・炎雷】っ!」

    アイリーンはボス向かって短剣を真っ直ぐ向け武技を放った。短剣から炎と雷の龍が飛び出し、絡み合う様に真っ直ぐ飛び、ボスを消し飛ばし、2匹の龍は消えていった。

「よっし!勝ったぁっ!枢っ、勝ったよ~!」

「あぁ、だが…言われるまで気づかない様じゃまだまだだな。最初から戦い方を工夫しろ。次のダンジョンはもっと強い敵が居るんだ。頭を使えよ?けどまぁ…良くやった。さぁ、宝箱を回収したらコアを破壊しよう。」

「はぁ~い、厳しいなぁ、枢は。さて…宝箱の中身は何かなぁ~♪ぱっか~んっ!」

    アイリーンはボスが落とした宝箱を開き中を見る。

「槍?枢~、鑑定して~。」

「あ?どれ…。」

    枢は【絶対解析】で宝箱に入っている槍を見た。

「水神の槍。水属性。武技【水龍波】、【癒しの水】を使える。…ふむ、まぁまぁかな。アイリーン、槍使えるか?」

「使えないかな。どうするこれ?」

「俺も要らないし、人魚達にやるか。さて、コアを破壊して帰るか。」

「はぁ~い。」

    その後、2人はダンジョン最奥にあったコアを破壊し、転移で地上へと帰還した。

「…どうやら崩壊は無いみたいだな。となると、あれは自然の洞窟に近かったのか。」

「そんな事もあるの?」

「まぁな。洞窟とかは魔素が溜まりやすいからたまにあるんだよ。」

「枢さんっ!?」

    人魚の代表が枢達の姿を見つけ、海から上がって駆け寄ってきた。

「僅かに揺れたので何事かと思いました。地上に居ると言う事は、ダンジョンは…?」

「ああ、コアは破壊した。入り口も見ての通り岩壁で塞いだ。もう大丈夫だろう。」

「あ、あぁっ!あ、ありがとう…ございましたっ!直ぐに皆を里に戻しますのでっ!先に私の家の前で待っていて下さいっ。」

「分かった。」

    代表はこくっと頷き、再び海に潜って行った。枢達は先に代表の家に向かい、入り口の前で待っていた。海から人魚達が続々と上がってきて枢達の前に並んでいった。最後に代表が戻ってきて枢達に向かって頭を下げた。

「この度はありがとうございました。私達の里を救って頂き感謝致します。」

「なに、目的がダンジョン破壊だったんだ。気にする事はない。それと、この槍を君に贈ろう。ダンジョンのボスが落とした槍だ。攻撃と回復、両方出来る槍だからな。」

「助けて頂いたばかりか…この様な槍までっ!だ、ダメですよ!それは頂けませんっ!」

「しかしなぁ、俺はもっと良いの持ってるしアイリーンは使えないからさ。友好の証に貰ってくれよ。」

    代表は槍をチラっと見る。 

「分かり…ました。里の宝として受け取らせて頂きます。それで、アイリーンさん?かなり疲れている様ですが…大丈夫ですか?」

「無理…。もう休みたい…。疲れたぁ…。」

「でしたら…誰か、彼女を一番良い部屋で休ませてあげて?」

「はいっ。アイリーン様、疲れが抜けるベッドがありますので此方に。」

    アイリーンは枢に言った。

「ごめん、疲れたから先に休むね~。」

「おう、暫く此処で休むから大丈夫だ。先に休め。お疲れさん、アイリーン。」

    アイリーンは片手を挙げ、ふらふらと人魚に案内され何処かの家へと連れていかれた。

    代表は軽く咳払いをし、枢に言った。

「こほん…。さて…枢さん。貴方にはもう一頑張りして頂かなければなりません。見ての通り、私達人魚はかなり少ないです。お礼と言ってはアレですが…。私を含めた全ての人魚達…、抱いては貰えませんでしょうか?」

「全員か!?そりゃ望むならやぶさかではないが。まだ幼い人魚も居るみたいだが?」

「彼女、幼く見えても200年は生きていますよ?彼女からにします?」

    幼い人魚が枢に近付いてきて抱きついた。

「お兄ちゃん、私も槍欲しいなぁ~♪…ここの槍♪」

「お…おぉぉぉぉ…っ!キャストオフッ!!」

「「「「きゃあぁぁぁっ♪」」」」

    人魚達がわらわらと集まって枢の槍をガン見している。

「な、なんて立派な槍…ごくっ。」

「あぁっ、貫かれたいっ♪」

「お兄ちゃん、お部屋いこ?アイリーンさんは暫く起きないから心配しなくて良いよ?ね、行こ~?」

「…眠らせたな、代表め。そうか、仕方無いなぁ。」

    枢は幼い人魚を抱え上げ、他の人魚達に向かって言った。

「全員長の家に来いっ。宴を開くぞっ!」  

「「「「はぁぁぁぁぁいっ♪」」」」

「お兄ちゃん、私からだからねっ!早くぅ…♪」

「待ちきれないってか?分かったよ。種の存続の為だ、代表、遠慮なくやらせて貰うぜ?」

「ええ、遠慮など要りませんわ♪ささ、私達をご堪能下さいませ…♪」

    こうして、枢はダンジョンを攻略し、次に人魚の攻略へと乗り出したのであった。
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