異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜

夜夢

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第四章 迷子編

第77話 夜の砂漠と時空魔導師

 砂漠に出た俺はジョブを時空魔導師に変更し、飛竜に変化したポン吉に跨り空中から爆撃していった。

「ははははっ! 我が軍は圧倒的ではないかっ!」
《な、なんか悪役みたいポン》
「冗談だよ。お、レベル上がったな」

 地上には無数のサボテン型の魔物、岩に擬態した魔物、サソリ型の魔物が倒れている。冒険者ギルドがないので素材を集める必要はない。全ての魔物は俺の糧になるだけの存在でしかない。

「ポン吉、次は東だ~」
《ま、まだ戦うポン!?》
「今日中に時空魔導師をマスターしたいからね。さ、いくぞ~」
《よ、妖怪づかいが荒いポン!?》

 夜通し砂漠を飛び回り大型のサンドワームや砂鮫も倒し明け方。

「はははははっ! 見ろポン吉! 砂漠から魔物がいなくなったぜ」
《こんな戦い方ズルくないポン?》
「戦いに卑怯もなにもない。ワイバーンだって空から攻撃してくるだろ? さて、驚くなよポン吉」
《ポン?》
「【転移】!」

 時空魔導師をマスターした結果、新たなスキルがいくつか手に入った。これは訪れたことのある場所をイメージしたらそこへ飛べるスキルだ。次元収納も欲しかったが一番欲しかったのはまさにこの転移スキルだ。

「えっ!? い、いきなり目の前に現れた!?」
《ど、どうなってるポン!? さっきまで砂漠のど真ん中にいたのに……町の目の前にいるポン!?》
「これが転移ってスキルなんだよ。記憶にある場所なら好きな場所に飛べるんだ」
《す、凄いポン!》

 俺には瞬間記憶スキルもある。これまで訪れた場所のイメージは全部頭の中にある。

「あ、あの~……いったいどこから?」
「あ、すみません。魔物倒しまくってて今空から降りてきたんですよ」
「そ、その飛竜は?」
「仲間です。今戻しますね。ありがとうポン吉。ルームに戻ってて」
《わかったポン!》

 ポン吉が狸の姿に戻りルームへと戻っていった。門番たちは開いた口が塞がらない様子だ。

「あの、町に入っても良いですが? あ、水いります?」
「へ? あ、あぁ。じゃあまた桶に」
「はい」

 桶に水を満タンにし町に入り宿に戻った。後ろで門番がザワザワしていたが説明してやる気はない。

「戻りましたマスター」
「んあ? お前、いないと思ったら朝帰りか? やるじゃねぇか」
「そんなんじゃないですよ。ちょっと魔物倒してまして」
「なんだ、つまらんな。飯食うか?」
「いえ、眠気がヤバいので今から寝ます」
「おう、起きたら言えよ」

 そうして部屋に戻った俺は時空魔導師のスキルを調べた。

「【時空魔法】、【次元収納】、【転移】、【空間作成】、【次元結界付与】か。ルナ先生!」
《はい、なんでしょうかマスター》

 能力の詳細を調べるべく異世界知識倉庫にアクセスした。調べた結果、スキルの詳細は以下の通りだ。

【時空魔法】……物体や物質の時間を操る。自身の素早さを向上させたり、敵の素早さを減衰させることができる。また、異次元から隕石を降らせることも可能。物質については物質そのものの時間を進めたり停止させられる。

【次元収納】……マジックバッグ同様異次元に物質を収納できる。何が入っているかリストアップされ、リストから削除も可能。

【転移】……記憶にある位置に移動できる。ただし多惑星については現段階では移動に制限あり。

【空間作成】……生物が住める空間をデザイン・作成できる。中の時間も加速、遅延、停止が可能。

【次元結界付与】……物質に結界内を別次元に隔離できる次元結界を付与できる。作成に使用した魔力と比例し結界内の空間が広くなる。

《以上となります》
「……ちょっと待て。想像より百倍ヤバい! 次元結界ってアレじゃないか! 勇者レオンとやらが北の大陸に使ったやつ! 嘘だろ……、魔物使いといい……俺だけ普通と違うのはなぜだ?」
《お答えしましょうか?》
「え? わ、わかるのかルナ?」

 ルナは理由を説明し始めた。

《マスターは異世界からの転移者です。初代勇者も異世界からやってきた者でした》
「へぇ~」
《初代勇者は召喚者ではなく転生者でした。当初は無能、クズスキルと罵られ迫害されていたのです》
「んん? なんか所々で聞いた話と違うような……」
《それらはレオンなきあと全て捏造されたものです。レオンはたった一人立ち上がり魔王共々魔族を別次元に隔離したのです》

 ルナの話を聞いて絶句してしまった。

「な、なんでレオンは……迫害されてたんだろ。それなのに魔族を……。見捨てればいいじゃないか!」
《レオンは転生者、この世界が好きだったのです。剣も魔法もない世界からこの世界に生まれ、迫害されても己が授かったたった一つのスキルを信じて力を手に入れたのです》
「……たった一つのスキルとは」
《彼が授かったスキルは努力。職業は無職です。他人の数倍努力を重ねることで何者にでもなれる大器晩成型のスキルでした。彼はその努力さえも苦にせず、あらゆる職業を手に入れ、人類最強の勇者となったのです。そして今も北の大陸の中心で生きております》
「い、生きてる? どうやって?」
《彼は力を手に入れるために最初時空魔法を手にしました。そして限りなく遅くした空間を生み出し修行に修行を重ねました》

 精神となんたらの部屋みたいなものか。

《そうして若さを保ったまま北の大陸へと渡り、己が身を核に次元結界を発動させ、自身の時を固定させました。魔力はスキル超回復で回復し続けており、核である自分はさらに別次元へと隔離されております。それが千年前の話です》
「千年……たった一人……迫害されていたのに……」

 自然と涙が溢れ出した。俺だったら無理だ。そこまで世界に思い入れなんてないし、迫害してきた奴らを守るために力を振るったりしない。勇者レオンは凄い奴だ。

「話してくれてありがとうルナ」
《いえ。マスターも異世界からの来訪者です。それがこの世界の人間以上に職業の力を引き出せる要因となっております。また何か質問がありましたらお気軽に。では》

 ルナが静かになった。

「そうか。あれ? でも一緒に呼ばれた勇者たちは弱かったんだよな? う~ん……またルナに聞いてみるか。ふわ……眠い……くぅ」

 俺はベッドに横になり泥のように眠るのだった。
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