転生?召喚?ー勇者(クズ)を屠る者ー

夜夢

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第2章 領地開発の章

19 王国再建

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    あれから1週間、ガゼルは毎日ショコラに勉強を教えつつ、時間が出来たら遊んであげるといった、平和な日々を送っていた。

    そして、今日は領内にいる全ての貴族が城に集められる日。城内は朝から慌ただしく動いていた。ガゼルは玉座に座り、貴族達に向かって言った。

「この国の貴族制度を廃止する。貴様等はこれから一般人だ。だが、全員と言う訳ではない。能力がある奴は継続して雇ってやる。」

「いきなり何をぬかすか!この若造がっ!貴族が居ないと国は回らんぞ!」

「お前、名は?」

「ヤコブ・グレアニアだ!」

「ヤコブな。取り敢えずお前はいらん。資料によると、横領の疑いあり。領民の評判もかなり悪い。」

「なっ!?」

    ヤコブは顔を真っ赤にし怒り狂った。

「己っ!最早我慢ならん!斬り捨ててくれるわっ!誰かワシに賛同する者はおらぬか!奴を殺したらワシが王となり、高い地位をくれてやるぞ!?」

    すると何人かの貴族が剣を構え、ガゼルに向かった。

「ふん…。どいつもこいつも…、肥え太った豚共だな。自己管理すら出来ん豚に用はない。今すぐ消えろ。」

「ぐぬぬぬっ!者共、奴を殺せぇぇぇっ!!」

    貴族達は一斉に斬りかかってきた。が、ガゼルは魔法を一発放っただけで、貴族達を屠った。

「な、なにっ!?」

「仕事を楽にしてくれてありがとう。どうやって減らすか考えていたんだ。じゃあ、サヨナラ。」

    ガゼルはヤコブの首をはねた。

「さて、残った諸君。俺に従うか、野に下るか選べ。お前等はさっきの豚共とは違って頭が回る様だからな。」

    残った貴族は5人。

「私達は新たな王に従いたく思います。先日のデモンストレーションを拝見しました。その力、正に王に相応しい。微力ですが、我等5人…力となりましょうぞ。」

「お前等、名は?」

    残った貴族は、ゲイン、ロベルタ、マーリン、ハルベルト、クロイスと名乗った。全員鍛えられた身体をしており、領地での評判もかなり良い。

「貴族は無くすが、国を5つに分けそれぞれお前達5人に任せる。領内で何かあったら俺に報告だ。いいな?」

「「「「「畏まりました。」」」」」

「うむ、では与える領地について話をしよう。付いて参れ。」

    ガゼルは城を中心とし、国を6つに分けた。中央は自分で管理し、残りを5人に均等に与える 。

「税は如何なさいますか?」

「国の維持、管理が出来る分あればいい。裁量は各領地に任せる。民が苦しまない様に額を調整してくれ。俺は金持ちだからな、正直金などいらんのだ。」

    ガゼルは掌から巨大な金塊を5つごとっごとっとテーブルの上に落とした。

「お前等の給料だ。少ないか?」

「な、何を!?多過ぎですぞ!?何年分あるか…!」

「余ったら民達に還元すれば良い。これからの働き次第で更に追加で出してやろう。だから、忠義を尽くしてくれよ?」

「はは、新しい王はどうやらとんでもない人物らしい。畏まりました、これより我等身を粉にして力を振るいます。」

「宜しく頼む。」

    貴族達は金塊を抱え、それぞれの新たな領地へと向かった。

「お疲れ様でした、アナタ。」

「ヴァニラか、どうした?」

「いえ、これから国がどうなるかと思いましたが…、心配無さそうですね。」

「戦を考えなければこんなもんさ。これからは国内の開発に力を入れる。民に豊かな暮らしを与えるのが俺の役目だ。」

「ふふっ、私もアナタのお陰で潤いっぱなしですわ♪これなら、近い内に子をなすでしょう。ショコラも毎日楽しそうで…アナタには感謝しかありませんわ。」

「っと、忘れてた。実は俺、隣国の貴族だったんだよなぁ…。どうしたもんか…。一度挨拶しとくか。ヴァニラ、少し城をあけるぞ。」

「早く帰って来て下さいね?」

「ああ、今日中に帰るよ。では、行ってくる。」

    そう言うと、ガゼルは転移でヴァンドール王国へと飛んだ。

「よ、久しぶりだな。」

「ガゼル様っ!?」

    城に飛ぶとリンダが少し大きくなったお腹を抱えながら座っていた。

「それ、俺の子か?」

「ええ、もう半年もすれば産まれますよ♪」

「そうか、ところで王は?」

「今の時間なら書斎でしょうか、案内しましょう。」

    ガゼルはリンダに案内され、王が居る書斎へと通された。

「おお、ガゼル殿か!久しいな!」

「お久しぶりです。今日は大事な報告があって参りました。」

「む?なんじゃ?」

「はい、実は私、隣のゴッサム王国の王になりまして、挨拶に参りました。」

「は?え?」

    リンダは驚いていた。

「ま、誠か?」

「ええ。それで貴族の地位を返上したく思い、参りました。」

「そうか…。して、これからどうする気じゃ?」

「そうですね、我が城にマゴットとリンダを迎え、ヴァンドール王国とは友好を結ぼうかと。リンダのお腹にも私の子が居るみたいですし、末永く付き合って行きたいと考えております。」

「ふっ、ははははっ。良い、友好を結ぼうではないか。主に与えた領地はそのままくれてやろう。国境の門も無くして構わん。これからも宜しく頼むぞ?ガゼル殿。」

「勿論です。では、後程親書を送ります故。」

「うむ、待つとしよう。」

「じゃあ、リンダ。元気な子を産んでくれよ?また来る。」

「はい…♪ちゅっ…♪」

    ガゼルは自領へと転移した。

「ユワン、ミュリスそれとリンダ、マゴット居るか?」

    ガゼルは村に着いてから全員を集めた。

「ガゼル様っ!今まで何をっ!」

「すまんな、ユワン。勇者ぶっ殺してたら王になっちまってな。今俺はゴッサム王国で王様やってんだ。」

「は、はぁ?お、王様!?」

    ユワンは驚いていた。そこにマゴットとレイラが近寄ってきた。

「では、ヴァンドール王国の此処は?」

「王からこの領地を貰った。ネス、今後此処はゴッサム王国だ。だが、管理は俺がやるから、今まで通りで頼む。」

「はい。分かりました。」

「で?私とレイラを呼んだって事は?」

「ああ、ヴァンドールとの友好の証として、俺の城に来て貰う。すまないな。」

「いえ、全然♪寧ろ会う機会が増えて嬉しいです♪」

「そうか、っとユワン。隣の国にはお前の仇は居なかった。すまんな。」

「いえ、それは大丈夫ですが…。随分出世しましたね?」

「なんか流れでな。それより、お前達も側に置きたい。勿論来るよな?」

「はいっ♪仇の勇者が居なかったのは残念ですが、いつかは戦う事になる筈…。それまで訓練をお願いします!」

「ああ、ミュリスも良いよな?」

「勿論ですよぉ♪既に孕んでますし?今更離れられませんって♪」

「そ、そうか。まぁいいや。じゃあ、皆で城に飛ぼうか。【転移】!」

    ガゼルは4人を連れ、城へと転移した。

「戻った、ヴァニラ。至急ヴァンドール王国に友好を結ぶ親書を送ってくれ。そうだな、五分の兄弟国としてと書いてくれ。」

「分かりました。…で、そちらの方々は?」

「マゴットとレイラはヴァンドールの王女だ。俺の嫁だ。それと、俺の仲間でユワンとミュリスだ。仲間はまだこの国にあるライオット村にもいるが、今はまだ良いだろう。」

    皆はそれぞれ自己紹介をした。そこにショコラが入って来た。

「パパぁ♪今日の分の勉強終わったよぉ~♪」

「っと。偉いぞ、ショコラ。」

「えへへ~♪あ、レイラちゃん?」

「ショコラ?それにパパって?」

「何だ、知り合いか?レイラ?」

「え、ええ。交流会で何度か。歳も近いですし。でも、ショコラってこんな…明るかったかしら?」

「新しいパパのお陰かなぁ♪毎日が楽しいのっ♪いっぱい構ってくれて…ショコラは幸せの中に居るです♪ママもパパのお陰で優しくなりました♪」

「そう…。良かったわね、ショコラ。ふふっ。」

    こうして、城に嫁候補を集めたガゼルは、次なる目的の為に動き出すのであった。

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