転生?召喚?ー勇者(クズ)を屠る者ー

夜夢

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第6章 女神達の章

07 下層に居る天使

    アズリー達が来てから数日後、ガゼルはアズリーに気になっている事があったので聞く事にした。

「なぁ、アズリー?」

「はい?どうしました?」

「俺がアズリー達を見つけた時、3人しか居なかったよな?疑問だったんだが…父親は?天使に男は居ないのか?」

    アズリーはゆっくりと口を開いた。

「男の天使は居ますよ。私の元夫も天使でした。何故居なかったか…。それは私達に…力が無かったからです。夫はいつまでも力の上がらない私達を捨て、1人中層へと上がりました。」

「は?つまり…お前達を捨てたって事か?」

「はい。私達母娘は…見捨てられたのです。」

    とんだクズ野郎だな。家族を捨てて自分だけ上に行くなんて…。

「家族も一緒に上にあがれる筈だが…?」

「上がった所で…私達の力では差別の対象にしかなりません。上に行けば行く程…力の無い天使は迫害されるのです。天使…特に男の天使はプライドが高いですから。より強くて美しい妻を持つ事が1つのステータスとなっているらしいですよ。」

    腐ってるな、天界…いや、男の天使か。妻を名刺代わりだと?許せんな。

「アズリーはこんなに可愛いのになぁ…。」

「あんっ♪ガゼルさん…♪」

    ガゼルはアズリーを抱き寄せた。

「力と言うのはどうすれば上がる?生まれつきか?」

「力は…出産すれば上がります。強い子が生まれればその半分が親の力となります。子の力は両親の力を足して100で割った数値となります。」

「ふむ…。ならば早く生むと良い。恐ろしく力が上がる筈だ。」

「え?あの…私は大して魔力はありませんよ?子供は100分の1、私に来る魔力はさらにその半分…。」

    ガゼルは言った。

「良いか?先ず…俺の魔力は無限だ。それをどうしようが無限だ。つまり…子を生めば無限の魔力が手に入るんだよ。子供も妻もな?良かったなぁ、アズリー。これからは楽な生活が送れるぞ?」

    アズリーは唖然としていた。

「む、無限?魔力が無限って…。貴方は一体何者?」

「ん?元人間で、2柱の女神から寵愛を受けている者かな。ルナとマナ知ってるか?」

「る、ルナ様とマナ様!?ふ、二人から加護をっ!?成る程…どうりで…。漸く…苦労の日々が報われ…うっうぅっ…。」

「泣くなよ。良く耐えたな。これからは俺が幸せにしてやるからさ。お前も…娘達もな。俺を頼れ。」

「あぁっ…ガゼルさんっ!愛してますわぁっ…!」

    アズリーは泣きながらガゼルに抱きついた。余程苦しい日々だったのだろう。それでもギリギリ生き抜いた。その日々を思いだし涙を流していたのだった。

「…ガゼルさん。下層には他にも私達の様な者が居ます。他にも…中層で離婚された妻が下層に戻される事も…。私の家から先に進んだ場所に中層へ向かう試練を受ける塔があります。落ちてきた力の無い天使達はその周辺で暮らしている筈…。恐らく困っているでしょう。助けてあげませんか?」

    ガゼルはアズリーに言った。

「試練の塔…か。成る程、離婚したら力が無い天使は落とされるのか。厳しい世界だな。」

「ええ、ですから天使は沢山の子を生まなければなりません。少しでも強くて逞しい夫の種で…。強い男性はそれだけで王の様な扱いを受けます。皆が種欲しさに群がるでしょう。抱くかどうかは男次第…。離婚も全て男の意思です。」

「安心しろ、アズリー。俺は離婚なんかしてやらないからな。子供も好きなだけ生めばいい。良い情報をありがとうな。さてと、ならば引っ越しの準備をしないとな。」

「どちらへ?」

「決まってるだろ。試練の塔の隣だ。どうやら他には天使が居ないみたいだからなぁ。塔の隣に城を建てて街を作る。俺の街をな。捨てられた女達を助けてやらなきゃ。下層で苦しむ姿なんか見たくないからな。」

「ふふっ、流石ガゼル様です。貴方は…下層の救世主ですね?」

「よせよ。俺は不幸な女を見たくないだけさ。さ、ラフィラ達を呼んで引っ越しの事を話さないとな。」

「ふふふっ、はいっ。」

    ガゼルは城にいる全員を集め、試練の塔の隣に街を作る計画を話した。ついでに自分の事も全て話した。

「無限の魔力…。なら私とお母さんは…。」

「ああ、子を生んだら魔力は無限になるな。」

「ど、どうしよう!お母さん!魔力無限だって!」

「どうもしないわよ。私はガゼルさんと死ぬまで一緒にいるつもりよ。上に行けば私達は男から狙われる立場になるわ。でも、それもガゼルさんが居れば大丈夫だし。知らない男にヤられるのは嫌だしね。」

「うっ…。そっか…。そうだね。うん、分かった。私もガゼルと一緒にずっといるよ。」

「私もっ♪」

「私はパパ以外には興味無いです♪」

    全員がガゼルに抱きついてきた。

「ははっ、ありがとよ。じゃあ…引っ越すか。外に車を用意してある。それで塔に向かおう。」

「「「「車??」」」」

「見れば分かるさ。」

    ガゼルはアズリー達を連れて外に出た。

「な、何これぇぇぇっ!カッコいい!!」

「うわぁ~、すご~い!ピカピカしてる!」

「凄いだろう。雲から作ったんだ。トランクは無限に荷物が入るし重量も感じない。そして、速さは音速をゆうに超える。中は衝撃を感じない仕様だ。動力は俺の魔力。これで何処にでも行けるぜ。」

    ラフィラが言った。

「こんなの…天界にも地上にも無いわよね?一体何処から…。」

「女神から異世界の知識を貰ってな。これは大分アレンジしたが、その世界にある車と言う物だ。さ、後ろに乗ってくれ。」

    ラフィラ達は後ろのドアを開けて乗り込んだ。

「中広すぎじゃない?滅茶苦茶ね…。」

「空間を広げてあるからな。揺れも感じないから何処でも好きな場所でくつろいでいてくれ。アズリーは俺の隣で話相手な?」

「あら、私ですか?うふふ、分かったわ♪」

「よし、じゃあ…試練の塔に向かって出発だっ!」

「「「「お~~っ♪」」」」

    ガゼルは城を消し、車に乗り込んだ。

「さて、のんびり旅と行きますかね。アズリー、君の家から塔まで何れくらいかかる?」

「そうねぇ…、歩きで1週間位かな?」

「成る程、この車なら一瞬だな。さて、行きますか。」

    ガゼルはクラッチを踏んでギアを入れる。そして、ゆっくりと右足を踏み込んで行った。

    ガゼル一行は試練の塔を目指し、旅立つのであった。


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