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第二章
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なぜ嘘をついたのかをききそびれた。聞きたいが、気になるが、終わりといった手前、掘り返すのも違う気がする。若干のモヤモヤを残して諦めることにした。
昼食の時間。嘘をついてまで確保しようとした時間だ、用事があるのは本当のようで、蓮見は申し訳なさそうにしながら、「今日は一緒に食べれない」と言ってきた。
「ん、いってら」
なんの用事があるのか聞きたいところだが…やはり、終わりって言ったし。気になるのを我慢して平静を装った。
「……あ、明日から…は、一緒に…食べて、くれる?」
「ああ。お前が良ければ」
「…嬉しい……」
なんだその笑顔!! かわいいかよ!!
悶えていると、蓮見が不思議な顔をして俺を見た。
「瑠威…?」
「あー、早く行ってこいよ。なんかあるんだろ」
「…うん、行ってくるね」
蓮見は少し覚悟を決めるような様子で、そう言った。
「瑠威、空いてる?」
蓮見が出ていって、少したった頃。天音が、半額シールが貼られたパンを持ってやってきた。今のところ女子からの呼び出しはないらしい。
「空いてねえ」
今日はこいつにイライラさせられたから、一緒に昼飯を囲むのは気分じゃない。そう思って空いてないと言ったが、天音は俺の机にパンを置いて、言った。
「どう見ても空いてるじゃん。お邪魔するね」
天音は蓮見の席に座った。
「じゃあ聞くなよ」
「空いてないって言われると思ってなかったから」
「お前人に拒否されたこと無さそうだもんな。…今日千尋は」
「呼び出し。多分部長になるんじゃないかなあ。そんなような話されてるって言ってた」
「へえ。まあ俺たちの代だとあいつが妥当じゃね」
「俺もそう思う。他はテキトーな人ばっかだから」
「お前含めてな」
「そうだね。ところで、蓮見くんとは仲直りした?」
「ああ、オカゲサマで」
「そんな嫌そうな顔して言わなくても」
「いやマジ腹立ったから。千尋いなきゃ殴ってた」
「え? なんで千尋?」
しくった。余計なこといった。
「……。お前とあいつ、いつも近くにいるから。お前殴ったらもっと面倒なことになるだろ」
「千尋が俺のために怒るってこと? しないでしょ」
間違いなくブチギレると思うが。こいつは自分が好かれている自覚はないらしい。「千尋は穏やかで平和主義だから」、なんて付け加えて、何でもないような顔をしていた。なんでこいつはこんなにも鈍感なんだ。千尋はあんなにわかりやすいのに。
「ほんと鈍いよなお前……」
「え? 何? 聞いてなかった」
「いや別になんも言ってねーよ」
「ならいいけど。──あ、蓮見くんおかえり」
天音が優雅に手をあげて、教室の後ろの入り口にいる蓮見に声をかけた。蓮見は小さく会釈をして、天音に応える。
「早かったな」
俺がそういうと、蓮見は何か吹っ切れたように笑い、
「うん。…もう、大丈夫」
と言った。何があったんだ、何をしに行ってたんだ、何が大丈夫なんだと聞きたい。聞きたいが──などと葛藤していると、天音が立ち上がって、
「ずっと立ってるから座らないのかなって思ってたら、ここが蓮見くんの席だったね。ごめんごめん」
といって、俺の前の席に移動した。
「あ、いえ……そんな、お、お気遣いなく……! 三波くんに座っていただけて、むしろ光栄といいますか…っ」
変な方向に謙虚な蓮見に、俺も天音も思わず笑ってしまう。光栄ってなんだよ!
「むしろ光栄って。俺は神かなにか? おもしろいなあ。まあ座りなよ」
「あ、え、はい、すみません」
「なんで謝るの。そういえば俺、蓮見くんに聞きたいことがあって」
「あ、…えっと、僕でよければ……」
「今日の講習さ、課題あったと思うんだけど冊子の48ページだけでいいんだっけ? なんかいつもより少ないよね」
「えっと…、48から50ページだったと思います……」
「ほんと? 付箋が48にしかついてなかったんだけど」
「剥がれたんじゃね」
「あー、多分。ちょっとやってくる。蓮見くん、ありがとうね。聞いてよかった」
そういって席を立つ天音。
「あ、あのっ」
「ん?」
「よかったら、あの、僕の……」
「見せてくれるの? ありがとう。でも大丈夫だよ。俺、古典得意だから」
天音が自分の席に戻ったあと、蓮見は小さく言った。
「三波くん、神々しいですよね…」
どこかうっとりとしたような雰囲気とトーン。それは天音のことを「オウジサマ」だの「存在が尊い」だのとほざく女たちと重なった。女たちは好きにしたらいいが、好きな人が天音に見とれるのは面白くない。というか普通に腹立つ。
「あいつ、字きたねぇし、口うるせぇし、クソほど鈍いぞ」
昼食の時間。嘘をついてまで確保しようとした時間だ、用事があるのは本当のようで、蓮見は申し訳なさそうにしながら、「今日は一緒に食べれない」と言ってきた。
「ん、いってら」
なんの用事があるのか聞きたいところだが…やはり、終わりって言ったし。気になるのを我慢して平静を装った。
「……あ、明日から…は、一緒に…食べて、くれる?」
「ああ。お前が良ければ」
「…嬉しい……」
なんだその笑顔!! かわいいかよ!!
悶えていると、蓮見が不思議な顔をして俺を見た。
「瑠威…?」
「あー、早く行ってこいよ。なんかあるんだろ」
「…うん、行ってくるね」
蓮見は少し覚悟を決めるような様子で、そう言った。
「瑠威、空いてる?」
蓮見が出ていって、少したった頃。天音が、半額シールが貼られたパンを持ってやってきた。今のところ女子からの呼び出しはないらしい。
「空いてねえ」
今日はこいつにイライラさせられたから、一緒に昼飯を囲むのは気分じゃない。そう思って空いてないと言ったが、天音は俺の机にパンを置いて、言った。
「どう見ても空いてるじゃん。お邪魔するね」
天音は蓮見の席に座った。
「じゃあ聞くなよ」
「空いてないって言われると思ってなかったから」
「お前人に拒否されたこと無さそうだもんな。…今日千尋は」
「呼び出し。多分部長になるんじゃないかなあ。そんなような話されてるって言ってた」
「へえ。まあ俺たちの代だとあいつが妥当じゃね」
「俺もそう思う。他はテキトーな人ばっかだから」
「お前含めてな」
「そうだね。ところで、蓮見くんとは仲直りした?」
「ああ、オカゲサマで」
「そんな嫌そうな顔して言わなくても」
「いやマジ腹立ったから。千尋いなきゃ殴ってた」
「え? なんで千尋?」
しくった。余計なこといった。
「……。お前とあいつ、いつも近くにいるから。お前殴ったらもっと面倒なことになるだろ」
「千尋が俺のために怒るってこと? しないでしょ」
間違いなくブチギレると思うが。こいつは自分が好かれている自覚はないらしい。「千尋は穏やかで平和主義だから」、なんて付け加えて、何でもないような顔をしていた。なんでこいつはこんなにも鈍感なんだ。千尋はあんなにわかりやすいのに。
「ほんと鈍いよなお前……」
「え? 何? 聞いてなかった」
「いや別になんも言ってねーよ」
「ならいいけど。──あ、蓮見くんおかえり」
天音が優雅に手をあげて、教室の後ろの入り口にいる蓮見に声をかけた。蓮見は小さく会釈をして、天音に応える。
「早かったな」
俺がそういうと、蓮見は何か吹っ切れたように笑い、
「うん。…もう、大丈夫」
と言った。何があったんだ、何をしに行ってたんだ、何が大丈夫なんだと聞きたい。聞きたいが──などと葛藤していると、天音が立ち上がって、
「ずっと立ってるから座らないのかなって思ってたら、ここが蓮見くんの席だったね。ごめんごめん」
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変な方向に謙虚な蓮見に、俺も天音も思わず笑ってしまう。光栄ってなんだよ!
「むしろ光栄って。俺は神かなにか? おもしろいなあ。まあ座りなよ」
「あ、え、はい、すみません」
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「あ、…えっと、僕でよければ……」
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「ほんと? 付箋が48にしかついてなかったんだけど」
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「あー、多分。ちょっとやってくる。蓮見くん、ありがとうね。聞いてよかった」
そういって席を立つ天音。
「あ、あのっ」
「ん?」
「よかったら、あの、僕の……」
「見せてくれるの? ありがとう。でも大丈夫だよ。俺、古典得意だから」
天音が自分の席に戻ったあと、蓮見は小さく言った。
「三波くん、神々しいですよね…」
どこかうっとりとしたような雰囲気とトーン。それは天音のことを「オウジサマ」だの「存在が尊い」だのとほざく女たちと重なった。女たちは好きにしたらいいが、好きな人が天音に見とれるのは面白くない。というか普通に腹立つ。
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