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(ったく。公共トイレを何だと思ってんのよ。もっときれいに使えってんだ!)
今日のお仕事最大の山場。ショッピングモール2Fの公共トイレの掃除。
ここの地区の民度が低いのか、このモールの公共トイレはとても汚い。
トイレットペーパーは粉々に引きちぎられて床に撒かれているし、
予備のペーパーロールは床に転がされている。通常は壁際の棚に積んであるので
こんな風に落ちるとかありえない。女子トイレでこれだ。
男子トイレは・・・考えたくもない。
脳内でひとしきり雄たけんだ後、深呼吸で”どぅどぅ”と自分を落ち着かせる。
そして取り急ぎ掃除カートを通路に引き込み、出入口には
『掃除中 他のトイレをご使用ください』
の立て看板を置き、掃除を始める。
床のごみを箒で集め 水で薄めた洗剤を撒き ブラシで汚れをこする。
それからホースで水を撒き、排水溝に向かって水捌けワイパーで汚水を流す。
その後はそれぞれの個室便器を磨き、最後は除菌水で扉ノブ他を拭きあげる。
その作業を繰り返し(あと3個室ほどで終わるなぁ。これ終わったら休憩して
携帯小説更新されてるか確認しよー)とか思っていると、
立て看板を蹴倒して親子連れが入ってきた。
「ちょっとぉ、子供がトイレしたいんだからさっさと終わらせてよね!」
「申し訳ありません。あと5分ほどで終わりますので、
お待ちいただくか3Fトイレをお使いください。」
「はぁ?子供がしたいって言ってんの!我慢できるわけないじゃん。
漏らして服汚れたらどうしてくれんの?」
「・・・そうですか、ではそちら入口すぐのブースはペーパー補充以外は
終わっておりますのでお使いください。
まだ床が乾いておりませんのでお気を付けください。」
「終わってんじゃん。このおばさん意地悪だねぇ?早く入りな!」
おばさんって・・・子供に言われるならまだしも
母親に言われるのはなんだかなぁ。
学生時代から親の稼業を手伝って、高卒すぐで掃除派遣業をやっているけど
まだ私は21歳。
弟妹の教育費のためにも、家業を支えて頑張らねばと精を出しているが
別段、好きでこの仕事をやっているわけじゃない。
私だって大学行きたかったし、おしゃれなショップ店員さんとかにもなりたかったし
事務で働いたりもしてみたかった。
この仕事のせいで体に匂いが染みつくのか、いくら洗ってもなんだか匂う気がするし
手も荒れがち。腰をかがめて掃除することが多いので腰痛にもなった。
そんな私は彼氏いない歴21年。
弟は最近彼女ができたらしいし、妹は結構モテるらしい。
リア充爆発しろってこういう時にいうんだよね・・・。
「ねぇ、おばさん。ペーパー少ないんだけど。ちゃんとしてよね。」
「はぁ、そちらまだ補充前ですので「だからちゃんとしとけっていってんの!」
お使いになる前に補充前とお伝えしましたが?」
「はぁ?客に対して掃除しかできない奴がえらそうにすんなよ!
謝ればいいんだよ!!」
「・・・申し訳ございません。以後気を付けます。」
「最初から素直に謝れよ。ブス!」
そう言って、立てかけていたモップを蹴り上げ非客様は帰っていった。
二度とくんな。あーぁ、あういう奴に限って
インフォメーションとかにクレーム言って帰るんだよなぁ。
また店長に嫌味言われるわ・・・とりあえずペーパー補充しよ。
さっきの親子が使った個室を覗くと、床にペーパーが撒かれていた。
あいつが犯人か。っーかこんだけ撒けばペーパーだって足りなくなるわ!
撒かずに拭けよ。汚子様め。
脳内で30回ぐらい汚子様を張り倒しながら、掃除を仕上げてトイレの外に出ると
さっきの汚子様が、いきなり掃除カートを引っ張って走り出す。
「ちょ、ちょっと止めてください。それ重いから怪我しますよ。ダメだってば!」
叫びながら、カートを抑えると今度は逆にこちらに向かってカートを押してきた。
トイレは階段脇にあるので、真後ろは階段。
しかも運悪く私の後ろは・・・下り階段。
気が付くと、私は掃除カートと一緒に階段から転げ落ちていた。
そして、そのまま気を失った・・・。
「にぃちゃん、この人大丈夫かなぁ?」
「おい、静かに寝かせといてやれ。寒いと困るから、この毛皮掛けとけ。」
そんな声で意識が戻る。背中が何だかゴワゴワする。ここはどこだろう。
「あ、起きた。大丈夫?どっか痛い?」
目の前にひょこっと少女の顔が表れた。だが・・・肌が緑で髪が灰色。
人間じゃない?
「ここは・・・」
「ここは、おいらたちの隠れ家だよ。結構いい洞穴だろ?
あんた、この先の崖下に倒れてた。
崖から落ちたのか?どっかぶつけたか?」
今度は少年が顔を覗き込んできた。彼も緑の肌に灰色の髪。
もしかして、私は走馬灯を見てるとか?だとしたらおかしな走馬灯だ。
「あんたと一緒に落ちてたへんな物。あそこに置いてあるから大丈夫だぞ。
全部回収して、魔獣たちに持っていかれてないから。」
まじゅう?真珠?饅頭?
どうやら私の走馬灯は、休憩時間に読みたかったファンタジー小説に
かなり引っ張られてるらしい。
普通は自分の人生を省みるはずではないだろうか。
「お嬢さん。気が付いたかい?腹は減ってるか?
怪我は外から見る分にはしてないようだけど
服に隠れたところに打ち身があるかもしれないから安静にな。」
緑肌の青年が話しかけてきた。どうやら彼が一番の年長者の様だ。
「すみません、ご迷惑をおかけして。ここはどこでしょうか?」
「ん?ここは惑わせの森 入ってすぐの洞穴だ。俺らはホブゴブリン。
最近まで近所の村の畑仕事を手伝って生活してたんだが
領主が変わって税が馬鹿高くなったって、皆土地を捨てて逃げちまった。
あんたもその口かい?」
「いえ、私は仕事中に階段から落ちてしまって・・・
多分ここに迷い込んだみたいです。」
「そうか、帰り道わかりそうか?」
「・・・わかんないです。」
「うーん、ここから2日ほど歩いた場所に人の集落があるはずだ。
怪我が治ったら、そこまで連れて行ってやるよ。」
「・・・ありがとうございます。」
一回眠って、次に起きたらもう元に戻ってるような気もするが
とりあえずお礼を言っておく。日本人は礼儀正しいのだ。
それにしても、この洞穴はかび臭い。
洞穴なんだから仕方がないが、体の下に布団代わりに敷いてある藁も
掛けてもらっている毛皮もみんな・・・臭い。
そして、ここに居る子供&青年もそこはかとなく匂う。うぅぅぅ、掃除したい。
ごそごそと起きだして、体を確認する。私の肌は元の肌色。典型的黄色人種。
怪我も特にはないみたい。なぜか私の周りを緑肌の子供たちが取り囲む。
その数6人(人でいいのか?)
「ねぇねぇ、お姉ちゃんとってもいい匂いするね。」
「うん、この服もきれいだね。」
「髪の毛もサラサラだね。」
「爪、尖ってないけどそんなんで狩りできるのか?」
「村一番の別嬪さんよりきれいだな!」
「(心配そうに)薬草塗る?」
一斉に話しかけられてビビる私。それを見て緑肌青年が笑いながら
「おい、いっぺんに話したって返事できないだろ。
お前らはこっちで汁の用意しろ。」
子供たちは、しぶしぶ私のそばを離れ かまど?の側で作業を始める。
「すまんな。久しぶりの人間で、みんな話したいんだ。
俺らホブゴブリンは人間が好きでな。
でも俺らこんな姿で、しかも・・・人間には臭いんだろ?
だから小さな集落ならまだ相手してくれるが、大きい集落だと邪険にされるんだ。
あいつらはまだ子供だから、傷つきやすい。勘弁してやってくれ。」
「そんな・・・確かに匂いはしますけど、洞穴に住んでいるなら仕方ないですよ。
助けていただいたお礼と言っては何ですが、
ちょっとお掃除させていただいてもいいですか?」
「そりゃ助かるが・・・体大丈夫か?」
「はい、どうやらどこも怪我してないみたいです。じゃ、始めますね。」
私は回収してもらった掃除カートから掃除道具を出し、洞穴の清掃を始めた。
あら不思議。箒で土の床を履き掃除すると
みるみるきれいなタイル敷き変わっていく。
掃いたごみ屑は散らばることなく一か所に固まり、簡単に除去できた。
6人の子供+青年が、それを見て・・・固まった。
次に、敷き藁を集めコードレス掃除機で吸い上げると
なぜかピカピカでお日様のにおいがする状態になった。
毛皮も掃除機で吸うと、つやがあって手触りのいい状態に。
最後に消臭液スプレーを壁に撒き拭き掃除をすると、あらあら不思議。
壁が艶のある石壁に!
どうなってるんだ、走馬灯。
もしかしたら、私は植物人間になって夢を見ているのか?
「あんた、魔術師様なのかい?」
緑肌青年が恐々近づいてきて、床や壁を撫でながら聞いてきた。
「いえ、一般人です。ただの清掃業者ですよ?」
何を言っているのか伝わらないようだったが、そこは丸っと無視して
皆が使っているであろう敷き藁と毛皮も掃除する。
子供たちが触って大喜びして転がろうとするので、急いで止めて
青年に湯を沸かしてもらう。
湯を沸かしている間に、補充用シャボンをタオルにつけて
子供たちの髪と体を拭きあげる。
その後きれいなタオルを湯に浸し、一人ずつシャボンを落としいていく。
するとみんな見違えるようにきれいになり、髪はさらさら
肌はつるつる別人(別ゴブリン?)のようになった。
残った湯に消臭スプレーを混ぜ、みんなの腰巻をつけ置き。
するとみるみる汚れが落ちて、真っ白に!
入口に縄を張り腰巻を干している間、子供たちにはタオルを巻いてもらい
青年には申し訳ないが私の作業ズボンの替えを履いてもらう。
汚れたお湯は外まで持っていき 入口付近の簡易トイレ(別名:肥溜め)に流すと
悪臭が一気に無くなった。エコロジー。
洞穴内の空気もなんだか清々しくなり、別の場所にいるようだ。
「驚いた・・・やっぱりあんた魔術師様なんじゃ「違います。」お、おぅ。」
「ねぇねぇ、あたしもいい匂い?」
「あたしもさらさら?」
「あたしもつるつる?」
「すげー、敷き藁ふかふかだぁ。」
「毛皮もすっげぇ気持ちいい!」
「(壁と床をずっとすりすりしながら)気持ちいい・・・。」
汁ものを作ってくれていたので、それをいただき食後の清掃も引き受ける。
鍋(だと思う)と食器はピカピカに、竈も灰を掻き出し掃除した。
灰は畑にまくと土壌改良になるはずなのでとっておく。
腰巻が乾いたので、みんなに着替えてもらい タオルは消臭液につけ置き。
洞穴を出てすぐの場所(トイレの近く)に畑があったので、子供たちと灰を持っていき
まだ何も植えていない場所の土に混ぜ込んだ。
こうすることでいい土ができて、植物が良く育つだろう。
子供たちはその後森に入って、木の実や果物を取ってきてくれた。
青年は、錆びた剣を腰に差し狩りに出かけようとしていたので
金属磨きで剣を拭いてあげると見違えるほどきれいになった。
どうやら切れ味もよくなったようで、普段は兎くらいしか狩れないらしいが
猪を狩ってきた。気を使って私の見えないところで下処理をしてきてくれたので
洞穴が血まみれにならずに済んだ。
日が暮れてきて、竈にまた火を入れて食事を作り みんなでおいしくいただき
ふかふかの敷き藁で眠った。
眠る前に(目が覚めたら病院にいるのかなぁ)と思っていたが・・・
起きたら普通に洞穴だった。
そんな日が何日も続き、もう元に戻ることは諦めた頃
青年が神妙な顔をして相談事をしてきた。
「まじゅ(魔術師からとった私の仇名らしい)俺、集落に行って
仕事をしようと思う。
まじゅのおかげで俺ら随分清潔になったし匂いもなくなった。
おかげで狩りの時も匂いで気づかれることもなくなって
狩猟スキルも上がったと思う。これなら大きい集落でも邪険にされないだろう。
まじゅは人間だから、集落で暮らす方が幸せなはずだ。
先に俺が集落に行って、仕事を探してくる。
仕事が見つかったら、一緒に集落に移動しないか?
まじゅは集落に住めばいい。俺らは集落には住まわせてもらえないだろうから、
なるべく近くの洞穴に住むよ。」
「みんなと別々は嫌だなぁ。私も森に住むよ。どうせならみんなで家を作らない?
金属磨きで磨けば斧の切れ味も上がるだろうから
みんなで協力すれば家が作れるんじゃないかな?」
「あたし、家つくってみたい!」
「あたし、まじゅが言ってたお風呂つくってみたい!」
「あたしは、台所つくりたい!」
「おれ、寝台作る!」
「おれは、まじゅが言ってた窓を作ってみたい!」
「(小型ナイフを見ながら)飯台作る。」
みんなとっても意欲的だ。一緒に居たいって気持ちが伝わったみたい。
「まじゅはそれでいいのか?俺らホブゴブリンといるより同族といたほうが・・・」
「にぃちゃんは、私のいるも嫌?迷惑かけちゃう?」
「ばか、そんなわけない。一緒がいいに決まってる!」
「ありがと、わたしもにぃちゃんやみんなと一緒に暮らしたいな。
そうだ、みんなの事名前で呼びたいんだけど教えてくれない?」
「俺ら名前無いんだ。まじゅ、つけてくれ。」
「そっか・・・じゃあ、ちょっと考えてみるね。」
名づけとは責任重大。3日ほど考えた。
青年は、狩りが上手なのでロビン(ロビンフット)
少女1は良い香りが好きなのでパフュ(パフューム)
少女2は髪を大事にしているのでマーメイ(マーメイド)
少女3は肌を大事にしているのでテクス(テクスチャ)
少年1は畑づくりが上手なのでファム(ファーマー)
少年2はご飯が大好きなのでクック(クッキング)
少年3は薬草に詳しいのでドク(ドクター)
にした。ちょっと安直だけど、みんな喜んでくれた。
名づけをすると、みんなが急に光りだした。
するとロビンが“みんな進化した”と教えてくれた。
ロビンはホブゴブキングに、子供たちはホブゴブエリートに進化したらしい。
ロビンは一回り体が大きくなり 顔も凛々しくなった。
子供たちも少し背が伸びて、小学生くらいだったのが
中学生くらいのサイズになった。
「まじゅ、ありがとう。俺らに名を授けてくれたおかげで、
進化しスキルも上がった。
多分まじゅの加護だと思う。まじゅは神様だったんだね。」
「いやいや、違うから。一般清掃業者だから。」
皆から、変に崇められたが断固”神”であることを拒否し
今まで通りに扱ってもらうことに。
ロビンはその後、大量に狩りをして食料を用意してくれ 集落に出かけて行った。
獲物の毛皮を使い女の子たちと一緒に衣類を作ったり、男の子たちと畑を世話して
ロビンの帰りを待った。
半月ほどしてロビンが戻ってきて
”集落の村長に許可を得て、村の端に家を建てることになった”
と嬉しい報告をしてくれた。
集落では、最初ロビンを警戒していたようだが 優しい心根と働き者なのがわかり
若者が少なくなった集落で貴重な働き手として受け入れてもらえるらしい。
皆で荷物をまとめ、2日かけて集落に引っ越した。
最初は、近くの洞穴に住み 家を建てながら集落で仕事をした。
ロビンは狩りや警備の手伝い。
パフュ・マーメイ・テクスは家事手伝い。
ファム・クックは畑の手伝い。
ドクは薬草に詳しいのをかわれて薬屋の裏方。
私は、村の清掃を一手に引き受けた。
皆 働き者なのですぐに認められ、ホブゴブリンであっても
集落の一員として扱われるようになった。
村民にも手伝ってもらって、私たちに立派な家もできた。
村の外れなのに、何やかやと村民が訪ねてきておすそ分けくれたり飲み会を開いたり
いつも賑やかな集落の集会場みたいな家になっていった。
そしていつしか各地のホブゴブリンがこの地に集まり
私の清掃できれいなホブゴブリンになり、集落に住み着くようになった。
人間とホブゴブリンの夫婦ができたり(パフュ・マーメイ・テクスが人間と結婚)
ファムとクックが食堂を、ドクが薬屋を開いて大盛況になったり
人間とホブゴブリンの垣根がなくなっていった頃、私とロビンは結婚した。
「まじゅ、村長から副村長を任された。
この集落をホブゴブリンと人間の共生する幸せな地にするために
俺はこれからも努力するつもりだ。
まじゅ、お前も協力してくれるか?」
「ロビン、ホブゴブキングの称号は間違ってなかったね。
もちろんこれからも協力するよ。
どうやら私はもう元の世界には帰れないみたいだしね。
まぁ、今帰っても弟妹は成人済みだし
もう私の居場所なんかなくなってるよね。」
「ならば、居場所としてでよいから俺と夫婦になってくれ。絶対幸せにする。
元の世界なんて絶対に帰らないでくれ。」
元の世界では、親や弟妹のために高卒で働いて
いろんな人に見下げられて仕事していたけど
今は、ホブゴブリンのみんなが私をすごく尊敬してくれるし
集落の人も仲良くしてくれるし、清掃したらとっても感謝してくれる。
この世界に一緒に落ちてきた清掃用品は、なぜか一切減らないしへたらない。
おかげで集落の道は整備されたように歩きやすくなったし
衛生状態が良くなったので、村民はみな健康になった。
偶然落ちてきた世界だけど、なんだか意味があったような気がする。
ロビンにも会えたし、うん、意味があったな。
これからも、この力を使ってみんなを幸せにしていこう。
「ねぇ、ロビン。私の本当の名前はね真珠って言うんだよ。
でも読み方を変えるとまじゅって読めるの。
だから初めてロビンにまじゅって呼ばれたとき、とってもびっくりした。
ロビンが私にこの世界での名前をくれたの。
だからあの時から、ずっとあなたは私の居場所だよ!みんなで幸せになろうね。」
終
今日のお仕事最大の山場。ショッピングモール2Fの公共トイレの掃除。
ここの地区の民度が低いのか、このモールの公共トイレはとても汚い。
トイレットペーパーは粉々に引きちぎられて床に撒かれているし、
予備のペーパーロールは床に転がされている。通常は壁際の棚に積んであるので
こんな風に落ちるとかありえない。女子トイレでこれだ。
男子トイレは・・・考えたくもない。
脳内でひとしきり雄たけんだ後、深呼吸で”どぅどぅ”と自分を落ち着かせる。
そして取り急ぎ掃除カートを通路に引き込み、出入口には
『掃除中 他のトイレをご使用ください』
の立て看板を置き、掃除を始める。
床のごみを箒で集め 水で薄めた洗剤を撒き ブラシで汚れをこする。
それからホースで水を撒き、排水溝に向かって水捌けワイパーで汚水を流す。
その後はそれぞれの個室便器を磨き、最後は除菌水で扉ノブ他を拭きあげる。
その作業を繰り返し(あと3個室ほどで終わるなぁ。これ終わったら休憩して
携帯小説更新されてるか確認しよー)とか思っていると、
立て看板を蹴倒して親子連れが入ってきた。
「ちょっとぉ、子供がトイレしたいんだからさっさと終わらせてよね!」
「申し訳ありません。あと5分ほどで終わりますので、
お待ちいただくか3Fトイレをお使いください。」
「はぁ?子供がしたいって言ってんの!我慢できるわけないじゃん。
漏らして服汚れたらどうしてくれんの?」
「・・・そうですか、ではそちら入口すぐのブースはペーパー補充以外は
終わっておりますのでお使いください。
まだ床が乾いておりませんのでお気を付けください。」
「終わってんじゃん。このおばさん意地悪だねぇ?早く入りな!」
おばさんって・・・子供に言われるならまだしも
母親に言われるのはなんだかなぁ。
学生時代から親の稼業を手伝って、高卒すぐで掃除派遣業をやっているけど
まだ私は21歳。
弟妹の教育費のためにも、家業を支えて頑張らねばと精を出しているが
別段、好きでこの仕事をやっているわけじゃない。
私だって大学行きたかったし、おしゃれなショップ店員さんとかにもなりたかったし
事務で働いたりもしてみたかった。
この仕事のせいで体に匂いが染みつくのか、いくら洗ってもなんだか匂う気がするし
手も荒れがち。腰をかがめて掃除することが多いので腰痛にもなった。
そんな私は彼氏いない歴21年。
弟は最近彼女ができたらしいし、妹は結構モテるらしい。
リア充爆発しろってこういう時にいうんだよね・・・。
「ねぇ、おばさん。ペーパー少ないんだけど。ちゃんとしてよね。」
「はぁ、そちらまだ補充前ですので「だからちゃんとしとけっていってんの!」
お使いになる前に補充前とお伝えしましたが?」
「はぁ?客に対して掃除しかできない奴がえらそうにすんなよ!
謝ればいいんだよ!!」
「・・・申し訳ございません。以後気を付けます。」
「最初から素直に謝れよ。ブス!」
そう言って、立てかけていたモップを蹴り上げ非客様は帰っていった。
二度とくんな。あーぁ、あういう奴に限って
インフォメーションとかにクレーム言って帰るんだよなぁ。
また店長に嫌味言われるわ・・・とりあえずペーパー補充しよ。
さっきの親子が使った個室を覗くと、床にペーパーが撒かれていた。
あいつが犯人か。っーかこんだけ撒けばペーパーだって足りなくなるわ!
撒かずに拭けよ。汚子様め。
脳内で30回ぐらい汚子様を張り倒しながら、掃除を仕上げてトイレの外に出ると
さっきの汚子様が、いきなり掃除カートを引っ張って走り出す。
「ちょ、ちょっと止めてください。それ重いから怪我しますよ。ダメだってば!」
叫びながら、カートを抑えると今度は逆にこちらに向かってカートを押してきた。
トイレは階段脇にあるので、真後ろは階段。
しかも運悪く私の後ろは・・・下り階段。
気が付くと、私は掃除カートと一緒に階段から転げ落ちていた。
そして、そのまま気を失った・・・。
「にぃちゃん、この人大丈夫かなぁ?」
「おい、静かに寝かせといてやれ。寒いと困るから、この毛皮掛けとけ。」
そんな声で意識が戻る。背中が何だかゴワゴワする。ここはどこだろう。
「あ、起きた。大丈夫?どっか痛い?」
目の前にひょこっと少女の顔が表れた。だが・・・肌が緑で髪が灰色。
人間じゃない?
「ここは・・・」
「ここは、おいらたちの隠れ家だよ。結構いい洞穴だろ?
あんた、この先の崖下に倒れてた。
崖から落ちたのか?どっかぶつけたか?」
今度は少年が顔を覗き込んできた。彼も緑の肌に灰色の髪。
もしかして、私は走馬灯を見てるとか?だとしたらおかしな走馬灯だ。
「あんたと一緒に落ちてたへんな物。あそこに置いてあるから大丈夫だぞ。
全部回収して、魔獣たちに持っていかれてないから。」
まじゅう?真珠?饅頭?
どうやら私の走馬灯は、休憩時間に読みたかったファンタジー小説に
かなり引っ張られてるらしい。
普通は自分の人生を省みるはずではないだろうか。
「お嬢さん。気が付いたかい?腹は減ってるか?
怪我は外から見る分にはしてないようだけど
服に隠れたところに打ち身があるかもしれないから安静にな。」
緑肌の青年が話しかけてきた。どうやら彼が一番の年長者の様だ。
「すみません、ご迷惑をおかけして。ここはどこでしょうか?」
「ん?ここは惑わせの森 入ってすぐの洞穴だ。俺らはホブゴブリン。
最近まで近所の村の畑仕事を手伝って生活してたんだが
領主が変わって税が馬鹿高くなったって、皆土地を捨てて逃げちまった。
あんたもその口かい?」
「いえ、私は仕事中に階段から落ちてしまって・・・
多分ここに迷い込んだみたいです。」
「そうか、帰り道わかりそうか?」
「・・・わかんないです。」
「うーん、ここから2日ほど歩いた場所に人の集落があるはずだ。
怪我が治ったら、そこまで連れて行ってやるよ。」
「・・・ありがとうございます。」
一回眠って、次に起きたらもう元に戻ってるような気もするが
とりあえずお礼を言っておく。日本人は礼儀正しいのだ。
それにしても、この洞穴はかび臭い。
洞穴なんだから仕方がないが、体の下に布団代わりに敷いてある藁も
掛けてもらっている毛皮もみんな・・・臭い。
そして、ここに居る子供&青年もそこはかとなく匂う。うぅぅぅ、掃除したい。
ごそごそと起きだして、体を確認する。私の肌は元の肌色。典型的黄色人種。
怪我も特にはないみたい。なぜか私の周りを緑肌の子供たちが取り囲む。
その数6人(人でいいのか?)
「ねぇねぇ、お姉ちゃんとってもいい匂いするね。」
「うん、この服もきれいだね。」
「髪の毛もサラサラだね。」
「爪、尖ってないけどそんなんで狩りできるのか?」
「村一番の別嬪さんよりきれいだな!」
「(心配そうに)薬草塗る?」
一斉に話しかけられてビビる私。それを見て緑肌青年が笑いながら
「おい、いっぺんに話したって返事できないだろ。
お前らはこっちで汁の用意しろ。」
子供たちは、しぶしぶ私のそばを離れ かまど?の側で作業を始める。
「すまんな。久しぶりの人間で、みんな話したいんだ。
俺らホブゴブリンは人間が好きでな。
でも俺らこんな姿で、しかも・・・人間には臭いんだろ?
だから小さな集落ならまだ相手してくれるが、大きい集落だと邪険にされるんだ。
あいつらはまだ子供だから、傷つきやすい。勘弁してやってくれ。」
「そんな・・・確かに匂いはしますけど、洞穴に住んでいるなら仕方ないですよ。
助けていただいたお礼と言っては何ですが、
ちょっとお掃除させていただいてもいいですか?」
「そりゃ助かるが・・・体大丈夫か?」
「はい、どうやらどこも怪我してないみたいです。じゃ、始めますね。」
私は回収してもらった掃除カートから掃除道具を出し、洞穴の清掃を始めた。
あら不思議。箒で土の床を履き掃除すると
みるみるきれいなタイル敷き変わっていく。
掃いたごみ屑は散らばることなく一か所に固まり、簡単に除去できた。
6人の子供+青年が、それを見て・・・固まった。
次に、敷き藁を集めコードレス掃除機で吸い上げると
なぜかピカピカでお日様のにおいがする状態になった。
毛皮も掃除機で吸うと、つやがあって手触りのいい状態に。
最後に消臭液スプレーを壁に撒き拭き掃除をすると、あらあら不思議。
壁が艶のある石壁に!
どうなってるんだ、走馬灯。
もしかしたら、私は植物人間になって夢を見ているのか?
「あんた、魔術師様なのかい?」
緑肌青年が恐々近づいてきて、床や壁を撫でながら聞いてきた。
「いえ、一般人です。ただの清掃業者ですよ?」
何を言っているのか伝わらないようだったが、そこは丸っと無視して
皆が使っているであろう敷き藁と毛皮も掃除する。
子供たちが触って大喜びして転がろうとするので、急いで止めて
青年に湯を沸かしてもらう。
湯を沸かしている間に、補充用シャボンをタオルにつけて
子供たちの髪と体を拭きあげる。
その後きれいなタオルを湯に浸し、一人ずつシャボンを落としいていく。
するとみんな見違えるようにきれいになり、髪はさらさら
肌はつるつる別人(別ゴブリン?)のようになった。
残った湯に消臭スプレーを混ぜ、みんなの腰巻をつけ置き。
するとみるみる汚れが落ちて、真っ白に!
入口に縄を張り腰巻を干している間、子供たちにはタオルを巻いてもらい
青年には申し訳ないが私の作業ズボンの替えを履いてもらう。
汚れたお湯は外まで持っていき 入口付近の簡易トイレ(別名:肥溜め)に流すと
悪臭が一気に無くなった。エコロジー。
洞穴内の空気もなんだか清々しくなり、別の場所にいるようだ。
「驚いた・・・やっぱりあんた魔術師様なんじゃ「違います。」お、おぅ。」
「ねぇねぇ、あたしもいい匂い?」
「あたしもさらさら?」
「あたしもつるつる?」
「すげー、敷き藁ふかふかだぁ。」
「毛皮もすっげぇ気持ちいい!」
「(壁と床をずっとすりすりしながら)気持ちいい・・・。」
汁ものを作ってくれていたので、それをいただき食後の清掃も引き受ける。
鍋(だと思う)と食器はピカピカに、竈も灰を掻き出し掃除した。
灰は畑にまくと土壌改良になるはずなのでとっておく。
腰巻が乾いたので、みんなに着替えてもらい タオルは消臭液につけ置き。
洞穴を出てすぐの場所(トイレの近く)に畑があったので、子供たちと灰を持っていき
まだ何も植えていない場所の土に混ぜ込んだ。
こうすることでいい土ができて、植物が良く育つだろう。
子供たちはその後森に入って、木の実や果物を取ってきてくれた。
青年は、錆びた剣を腰に差し狩りに出かけようとしていたので
金属磨きで剣を拭いてあげると見違えるほどきれいになった。
どうやら切れ味もよくなったようで、普段は兎くらいしか狩れないらしいが
猪を狩ってきた。気を使って私の見えないところで下処理をしてきてくれたので
洞穴が血まみれにならずに済んだ。
日が暮れてきて、竈にまた火を入れて食事を作り みんなでおいしくいただき
ふかふかの敷き藁で眠った。
眠る前に(目が覚めたら病院にいるのかなぁ)と思っていたが・・・
起きたら普通に洞穴だった。
そんな日が何日も続き、もう元に戻ることは諦めた頃
青年が神妙な顔をして相談事をしてきた。
「まじゅ(魔術師からとった私の仇名らしい)俺、集落に行って
仕事をしようと思う。
まじゅのおかげで俺ら随分清潔になったし匂いもなくなった。
おかげで狩りの時も匂いで気づかれることもなくなって
狩猟スキルも上がったと思う。これなら大きい集落でも邪険にされないだろう。
まじゅは人間だから、集落で暮らす方が幸せなはずだ。
先に俺が集落に行って、仕事を探してくる。
仕事が見つかったら、一緒に集落に移動しないか?
まじゅは集落に住めばいい。俺らは集落には住まわせてもらえないだろうから、
なるべく近くの洞穴に住むよ。」
「みんなと別々は嫌だなぁ。私も森に住むよ。どうせならみんなで家を作らない?
金属磨きで磨けば斧の切れ味も上がるだろうから
みんなで協力すれば家が作れるんじゃないかな?」
「あたし、家つくってみたい!」
「あたし、まじゅが言ってたお風呂つくってみたい!」
「あたしは、台所つくりたい!」
「おれ、寝台作る!」
「おれは、まじゅが言ってた窓を作ってみたい!」
「(小型ナイフを見ながら)飯台作る。」
みんなとっても意欲的だ。一緒に居たいって気持ちが伝わったみたい。
「まじゅはそれでいいのか?俺らホブゴブリンといるより同族といたほうが・・・」
「にぃちゃんは、私のいるも嫌?迷惑かけちゃう?」
「ばか、そんなわけない。一緒がいいに決まってる!」
「ありがと、わたしもにぃちゃんやみんなと一緒に暮らしたいな。
そうだ、みんなの事名前で呼びたいんだけど教えてくれない?」
「俺ら名前無いんだ。まじゅ、つけてくれ。」
「そっか・・・じゃあ、ちょっと考えてみるね。」
名づけとは責任重大。3日ほど考えた。
青年は、狩りが上手なのでロビン(ロビンフット)
少女1は良い香りが好きなのでパフュ(パフューム)
少女2は髪を大事にしているのでマーメイ(マーメイド)
少女3は肌を大事にしているのでテクス(テクスチャ)
少年1は畑づくりが上手なのでファム(ファーマー)
少年2はご飯が大好きなのでクック(クッキング)
少年3は薬草に詳しいのでドク(ドクター)
にした。ちょっと安直だけど、みんな喜んでくれた。
名づけをすると、みんなが急に光りだした。
するとロビンが“みんな進化した”と教えてくれた。
ロビンはホブゴブキングに、子供たちはホブゴブエリートに進化したらしい。
ロビンは一回り体が大きくなり 顔も凛々しくなった。
子供たちも少し背が伸びて、小学生くらいだったのが
中学生くらいのサイズになった。
「まじゅ、ありがとう。俺らに名を授けてくれたおかげで、
進化しスキルも上がった。
多分まじゅの加護だと思う。まじゅは神様だったんだね。」
「いやいや、違うから。一般清掃業者だから。」
皆から、変に崇められたが断固”神”であることを拒否し
今まで通りに扱ってもらうことに。
ロビンはその後、大量に狩りをして食料を用意してくれ 集落に出かけて行った。
獲物の毛皮を使い女の子たちと一緒に衣類を作ったり、男の子たちと畑を世話して
ロビンの帰りを待った。
半月ほどしてロビンが戻ってきて
”集落の村長に許可を得て、村の端に家を建てることになった”
と嬉しい報告をしてくれた。
集落では、最初ロビンを警戒していたようだが 優しい心根と働き者なのがわかり
若者が少なくなった集落で貴重な働き手として受け入れてもらえるらしい。
皆で荷物をまとめ、2日かけて集落に引っ越した。
最初は、近くの洞穴に住み 家を建てながら集落で仕事をした。
ロビンは狩りや警備の手伝い。
パフュ・マーメイ・テクスは家事手伝い。
ファム・クックは畑の手伝い。
ドクは薬草に詳しいのをかわれて薬屋の裏方。
私は、村の清掃を一手に引き受けた。
皆 働き者なのですぐに認められ、ホブゴブリンであっても
集落の一員として扱われるようになった。
村民にも手伝ってもらって、私たちに立派な家もできた。
村の外れなのに、何やかやと村民が訪ねてきておすそ分けくれたり飲み会を開いたり
いつも賑やかな集落の集会場みたいな家になっていった。
そしていつしか各地のホブゴブリンがこの地に集まり
私の清掃できれいなホブゴブリンになり、集落に住み着くようになった。
人間とホブゴブリンの夫婦ができたり(パフュ・マーメイ・テクスが人間と結婚)
ファムとクックが食堂を、ドクが薬屋を開いて大盛況になったり
人間とホブゴブリンの垣根がなくなっていった頃、私とロビンは結婚した。
「まじゅ、村長から副村長を任された。
この集落をホブゴブリンと人間の共生する幸せな地にするために
俺はこれからも努力するつもりだ。
まじゅ、お前も協力してくれるか?」
「ロビン、ホブゴブキングの称号は間違ってなかったね。
もちろんこれからも協力するよ。
どうやら私はもう元の世界には帰れないみたいだしね。
まぁ、今帰っても弟妹は成人済みだし
もう私の居場所なんかなくなってるよね。」
「ならば、居場所としてでよいから俺と夫婦になってくれ。絶対幸せにする。
元の世界なんて絶対に帰らないでくれ。」
元の世界では、親や弟妹のために高卒で働いて
いろんな人に見下げられて仕事していたけど
今は、ホブゴブリンのみんなが私をすごく尊敬してくれるし
集落の人も仲良くしてくれるし、清掃したらとっても感謝してくれる。
この世界に一緒に落ちてきた清掃用品は、なぜか一切減らないしへたらない。
おかげで集落の道は整備されたように歩きやすくなったし
衛生状態が良くなったので、村民はみな健康になった。
偶然落ちてきた世界だけど、なんだか意味があったような気がする。
ロビンにも会えたし、うん、意味があったな。
これからも、この力を使ってみんなを幸せにしていこう。
「ねぇ、ロビン。私の本当の名前はね真珠って言うんだよ。
でも読み方を変えるとまじゅって読めるの。
だから初めてロビンにまじゅって呼ばれたとき、とってもびっくりした。
ロビンが私にこの世界での名前をくれたの。
だからあの時から、ずっとあなたは私の居場所だよ!みんなで幸せになろうね。」
終
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