【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

竜鳴躍

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リロンデル

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リロンデル


今はただのリロンデル。

元々の名前はリロンデル=スカイ=フロースという。


南の温暖な気候。
南国の花が咲き乱れるフロース王国には、優しさと厳しさを兼ね備えた賢王と、美しく賢い王妃、3人の王子と2人の王女がいた。

俺は1番目の王子だった。



幸せな日々だった。


突如、叔父が軍部を掌握し、クーデターを興すまでは。



美しい花々は麻薬になる芥子に代わり、人々は重労働と重税に苦しんでいる。


家族は皆捕まり、父も母も弟も妹たちも全員殺された。

弟も妹も………嬲られるように散々体を弄ばれて処刑されたのだ。



自分だけ生かされた。



叔父の娘が………俺を気に入っているから。



「………リロンデル。わしの娘の夫になれ。あの子がお前をご所望なのでね。お前の命は生かしてやる。お前が娘に嫁げば、しつこく前王統を支持しているやつらも諦めるだろうよ。」


トープ…っ。

父と違い、醜く肥え太った躰で、曾祖父に似て目が小さい、美しいとは言い難い中年の男が腹肉を揺らしながら、地面に押さえつけられた自分を面白そうに眺めていた。


「リロンデルさま。私があなたを助けてあげますわ。私の夫になりなさい。」


金髪縦ロールで派手な真っ赤なドレス。香水の香料もきつく、全く毒花のようだ…。



「………あなたの夫になるくらいならば、豚と結婚したほうがマシだ。」


「……――――ッ!!?」


親子が激情したのが空気でわかった。

いい。俺を殺すがいい。私を激情のまま殺せば、民衆も黙っていまい。
今の俺は、前王統派に対する人質。足かせなのだ。


王統が絶えてもいいのだ。俺の殺し方が無残であればあるほど、周辺諸国もお前を警戒するだろう。


「クラポー!クラポー!!」

トープが手をたたいて側近を呼んだ。

父との容貌の違いをコンプレックスに思っていた男は、自分より醜い男を側近に選んだ。

馬車の事故で背骨を折って、背が丸まって動かなくなってしまった男は、年齢より老けて見える。

「お呼びでしょうか。」



「この男が逃げられないよう足の骨でも折って、お前の屋敷の牢屋にでも放り込んでおけ!身の程を分からせてやる!」





こうして俺は、ここにいる。


どんな風に拷問されようが、いいなりになんてなるものか。





足を折られ、放置されて。

きっと治っても元のようには動けまい。

自力で逃げることはできない。


痛みと熱に魘されて、幾時間か気を失っていたようだ。

暖かさで目が覚めて……



気づくと、俺の前には小柄で可愛らしい天使のような少年がいた。
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