暗殺者は王子に溺愛される

竜鳴躍

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東方の王子たち

シュウ王国は砂漠の国。


過酷な環境で、昔は戦争で亡くなる男が多く、働き手を失って路頭に迷う婦人が多かったため、余裕のある男が多くの女性を娶る文化になったのだ。

平和になった今でも、一夫多妻の習慣は続いており、豊かな男はハレムを持って、多くの女性を妻とする。

もちろん、ハレムの主には甲斐性がなくてはならない。

金銭的にもそうだが、平等に妻たちを愛せなければならないのだ。



エデン王国は緑の国。

島国で激しい海流に阻まれており、国を守護するように大きな海龍が守りを固めているため、外敵に会ったこともない。

豊かな自然で、人々は穏やか。

一人の人を、生涯かけて深く愛する資質がある。


国としては同じ東側で、昔から交流があり、顔見知りだったザックスとゴルシルの二人だが、そんなわけで全く価値観は合わなかった。

因みに、ゴルシルは双子ではない。
ゴルが前年の4月2日生まれで、シルが4月1日生まれなのだ。

だから、一つ下の兄弟だけど、学年は同じなのだった。




ゴルもシルも、黒髪黒目の黒猫のように美しいザックスを一目見て気に入った。
男で子どもは産めないかもしれないけど、どうせハレムでたくさん妻を娶るのだから、子を産むのは他の妃に任せればいい。

だが、見た目とは裏腹に、ザックスの性格は苛烈で、自分たちのことを躾けと称して鞭でたたいたり、足蹴にしたり、跳び蹴りしてくる。

どうやら、自分たちの両親からもそれを許されているようだった。


ゴルにはM資質があるのか、ますますザックスに夢中になったが、17歳になって、似た人がいてくれたらそっちでもいいかな、という気持ちが少しずつ生まれてきたらしい。

シルはそこまでザックスに執着しているわけではない。




あの黒猫をなつかせるのは無理だろう。


なんでわからないかなぁと、シルはそう思うのだが、諦めたようで諦めきれないのは、やはり、ゴルが本当にザックスを好いているからなのかもしれない。

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