暗殺者は王子に溺愛される

竜鳴躍

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神話の終わり

「やめろよ。」

抱きしめるゴルは優しく否定する。

「今は気が動転してるだろ。いくら俺でも、こういう時に乗じて関係は持ちたくない。……そりゃあ、ザックスとしたいけどさ!何回夢でおかずにしたか!」


「僕が襲われて、傷物になっても、変わらず愛してくれる?」

「もちろん。だから、全てが終わって、その時になってもザックスがいいなら、抱かせて。」

分かった。

ザックスは、ゴルに抱きしめられて。

二人はしばらく身を寄せ合った。





その頃、エデンでは、神官長が青ざめる中、断罪が始まろうとしていた。

サンダルフォン商会が先行したのは、いきなり軍だと侵略の体になってしまうため。

目的は、主犯の考え方が全く不当だという、価値観の気づきを国民に与えること。

王族というよりは神殿の求心力を削ぐこと。

二度とこのようなことが起きないよう、見せしめにすることだ。


「陛下、実は留学中のザックス様に毒物が盛られ、同時にこちらの王族に血を連ねる我が国の第二王子妃も被害に合うところでした。」

何だって!


エデンの陛下やヴィンセント様が叫ぶ。 

「しかもその場にゾーン王太子妃、シュウ王国の王子二人もおりまして。一緒にあわやというところでした。」

集めた者たちのザワつく声が聞こえる。


「それでご無事なのだろうか……?」


「第二王子妃、ゾーン王太子妃が気づき、その場では摂取しませんでしたので。ゾーンの精鋭が調べた結果、不妊にし、妊婦を堕胎させる毒でした。第二王子妃は、現在妊娠8ヶ月。堕胎になれば、子を産めなくなる月です。」


「なんてこと!!」

「他国の王族まで!!国際問題だぞ?!」

「ええ。我が国もゾーン王国もシュウ王国もお怒りです。大事な妃や跡取りが子を産めなくなっては。幸い、毒を飲んでしまったザックス様も、我が国の聖女が解毒しましたが。」


「当たり前だ!海龍の守りなど、今やあてにはならない…!我が国はおしまいだ!!各国に攻められる!!」

「純粋な武力では勝てないのに!」



いい感じにギャラリーが騒ぐ。

バッキンガムから連れてきた者が、サクラになっている。


「我らはこの国や陛下ご家族に怒っているわけではないですから、攻めたりしませんよ。ヴィンセント様もザックス様も被害者です。エデンの陛下や王子たちはすばらしい人だ。黒髪黒目で黒龍の末裔だからではない。そんなの、ただの作り話。施政者としてすばらしい。」


デュークはギャラリーに向き直り、ボヌールを連れて、神官長の前に立った。


「しかし、犯人は捕らえたい。犯人は、神殿から派遣された神官たちでした。ええ、ヴィンセント様の事故も、神殿の犯行です。そしてその主犯は………」

神殿が…………


皆がシーンとなった。


「今の王統に異国の血が入っていることを嫌い、王統を排し、自分の一族が成り代わるために、王子たちの生殖機能を狙った、」


神官長。あなたです。



貴族の前で。
国民の代表の前で。

サンダルフォンは目で射抜いた。
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