11 / 90
熱烈な求愛に心が解ける
「こらぁ!ローゼス!!!お前酒飲んでるんだろう!シュドーにそんな明け透けな話をするんじゃない!お前らも止めろ!シュドーは清楚で可憐なんだぞ!この世界の人間みたいに性に奔放ではないんだ!」
向こうで殿下とイガイガやりあってたはずのナッツさんが飛んでくる。
助かったけど、清楚で可憐とはいったい?
「平気ですよ。確かに経験はないですけど、俺だって32歳のいいおじさんなんですから。知識くらいはありますよ。」
ちょっとエッチな話題くらいで顔を赤らめるようなネンネではないのだ。
「そぉですよぉ、団長?シュドーに男もいいよ、って教えてたんじゃないですかぁ。同性愛に対するハードルを下げておけば、団長のことだって考えてくれるかもしれないでしょー?」
こてんと首を傾げる美人は可愛い。
なるほどなぁ。これは男にモテる。男でもいい、って思わせる。そのくらい可愛い。
「ああ、もう。いいからハンス、グリーン。ローゼスを連れてってくれ。」
「承知しました。」
「ローゼス、休憩室いこ。好きでしょ。僕とハンスでローゼスをとろとろにさせてあげる♡」
たくましい二人の若者に抱き着きながら、ローゼスさんは奥の方に消えた。
いつのまにかプリ殿下も来ている。
「性に奔放って、ナッツさんや殿下もですか?」
「王族がそんなことしたら流石にだめでしょう。結婚までは純潔、結婚したら妃一筋ですよ。そこの騎士団長は男女問わずモテモテのようだが?」
「殿下!私は確かにモテますが、誰とも付き合ったことはありません!まっさらです!」
「ほんとー?その割には私からの誘いを断ったじゃない。『純潔じゃない』ってのは嘘だったわけだ。王族に嘘ついたんだー。」
「殿下。ご存じですか?嘘にはついていい嘘もあるんですよ。私は受じゃないですから、穏便に済ませられる断り文句じゃないですか。第一、騎士団長が妃になってどうするんですか。誰が私の代わりに国を守れるとでも?」
「ほー。そういう私にもハッキリものを言うところが私は気に入ってるんだけどねぇ。」
「実は、私には幼い頃から夢に時々現れる『運命の相手』がいるのです。シュドーを見たとき、ビビッと来たんです!彼こそ私が探し求めていた人だと!」
ふぇえ。逃げていいかなぁ…。
ワルツの曲がかかる。
周りが踊りだした。
「シュドー、踊ろう!」
「え」
ナッツさんが俺の手をとり、ワルツの輪に混じる。
「殿下をほっといていいんですか?」
「いいんだ。昔っから殿下と私はああなんだ。母親が王妹だからイトコなんだよ。母様はうちと宰相家の両方の妻なんだ。だから後で紹介するけど、この国の宰相は私の父親違いの弟なんだ。」
「宰相様ってNo2では?そういえば謁見の時にはいなかったですね。」
「執務全般の補佐だからな。国王が執務室にいないときは執務室にいる。今もそうだよ。不測の事態に備えるためには権限をある程度代行できる人間が備えておかなければならないから。」
ちゃんとしたワルツは初めてだけど、なんとなく体が覚えている。
昔、母さんと時々ダンスをしたなぁ。
母さんの形見のペンダントが回るたびに揺れる。
一曲終わり、ナッツさんを見る。
俺がすっぽり入るくらい高身長で鍛えているから肉付きもいい。
鍛えられた肉体はセクシーだ。
ふっと視線が交わり、なんだか恥ずかしくなる。
「バルコニーに行きましょう。夜の庭も綺麗ですよ。」
お互いにワインを持ってバルコニーに出てみれば、他にも客はいた。
みんなお相手と仲良くやってらっしゃるようだ。
暗黙の了解で、他の人と距離をとったところにナッツさんは誘導した。
「俺が運命の相手って…。俺、そういうのあんまり信用していません。ある意味衝撃的な出会いだったからじゃないですかね?つり橋効果っていって、別のドキドキを勘違いするのはよくあるこ――――
ナッツさんの海のように青い瞳が、俺を見つめる。
照れくさそうに、ナッツさんは前髪を指でくるくると弄った。
あ。その癖、どっかで見たな。
さりなの勧めで顧問弁護士にお願いした――――――そう、塚本製薬の。
両親が生きていた頃は家族ぐるみの付き合いだった。
そこの息子の塚本玲だ。
友人?といえる関係でもなかったけど、塚本玲は時々俺を助けてくれたっけ。
叔父に家を乗っ取られて、自由が利かなくなる俺にファンタジー文庫の新刊を貸してくれたり。
俺を軽んじるような噂からは守ってくれた。
さりなも塚本も、俺に恩着せがましいことはしなかった。
さりなは、表向きは叔父の娘として接するけど、乱に虐められそうになるとそれとなく話題を変えて止めてくれたし、服もプレゼントしてくれて。
塚本も同じで、自分が読みたいから買ったけど面白いから読んでみて?という体で本を貸してくれた。
懐かしいな。塚本。
塚本がいなかったら、俺は学校生活を乗り切れただろうか。
塚本は大学も大学院も一緒で。
気付いたらいつも側にいた。
「私の夢は前世の記憶なんじゃないかって思うんです。こことは違う、科学の発展した世界で。そう、貴方が見せてくれた映像みたいな。ずっと、好きな人がいて。その人はある日突然消えて。悲しくて、そして目が覚める。あなたを見ると、その夢を思い出す。朧気だった愛しい人の姿が、貴方になる。あなたがその思いを信じられないなら、信じてもらえるまで私は貴方に愛を捧げます。貴方が同性に抱かれるのは嫌だと仰るなら私が抱かれます。そもそも肉体関係が嫌だというのなら、一切接触はなくても構いません。他に好きな人が出来たなら諦めます。」
「え…。」
戸惑う。
高鳴る。
どうして?
なんで心拍数が上がる?
塚本と、ナッツさんが重なる。
「だからどうか、私のことを考えてみてもらえないでしょうか。」
向こうで殿下とイガイガやりあってたはずのナッツさんが飛んでくる。
助かったけど、清楚で可憐とはいったい?
「平気ですよ。確かに経験はないですけど、俺だって32歳のいいおじさんなんですから。知識くらいはありますよ。」
ちょっとエッチな話題くらいで顔を赤らめるようなネンネではないのだ。
「そぉですよぉ、団長?シュドーに男もいいよ、って教えてたんじゃないですかぁ。同性愛に対するハードルを下げておけば、団長のことだって考えてくれるかもしれないでしょー?」
こてんと首を傾げる美人は可愛い。
なるほどなぁ。これは男にモテる。男でもいい、って思わせる。そのくらい可愛い。
「ああ、もう。いいからハンス、グリーン。ローゼスを連れてってくれ。」
「承知しました。」
「ローゼス、休憩室いこ。好きでしょ。僕とハンスでローゼスをとろとろにさせてあげる♡」
たくましい二人の若者に抱き着きながら、ローゼスさんは奥の方に消えた。
いつのまにかプリ殿下も来ている。
「性に奔放って、ナッツさんや殿下もですか?」
「王族がそんなことしたら流石にだめでしょう。結婚までは純潔、結婚したら妃一筋ですよ。そこの騎士団長は男女問わずモテモテのようだが?」
「殿下!私は確かにモテますが、誰とも付き合ったことはありません!まっさらです!」
「ほんとー?その割には私からの誘いを断ったじゃない。『純潔じゃない』ってのは嘘だったわけだ。王族に嘘ついたんだー。」
「殿下。ご存じですか?嘘にはついていい嘘もあるんですよ。私は受じゃないですから、穏便に済ませられる断り文句じゃないですか。第一、騎士団長が妃になってどうするんですか。誰が私の代わりに国を守れるとでも?」
「ほー。そういう私にもハッキリものを言うところが私は気に入ってるんだけどねぇ。」
「実は、私には幼い頃から夢に時々現れる『運命の相手』がいるのです。シュドーを見たとき、ビビッと来たんです!彼こそ私が探し求めていた人だと!」
ふぇえ。逃げていいかなぁ…。
ワルツの曲がかかる。
周りが踊りだした。
「シュドー、踊ろう!」
「え」
ナッツさんが俺の手をとり、ワルツの輪に混じる。
「殿下をほっといていいんですか?」
「いいんだ。昔っから殿下と私はああなんだ。母親が王妹だからイトコなんだよ。母様はうちと宰相家の両方の妻なんだ。だから後で紹介するけど、この国の宰相は私の父親違いの弟なんだ。」
「宰相様ってNo2では?そういえば謁見の時にはいなかったですね。」
「執務全般の補佐だからな。国王が執務室にいないときは執務室にいる。今もそうだよ。不測の事態に備えるためには権限をある程度代行できる人間が備えておかなければならないから。」
ちゃんとしたワルツは初めてだけど、なんとなく体が覚えている。
昔、母さんと時々ダンスをしたなぁ。
母さんの形見のペンダントが回るたびに揺れる。
一曲終わり、ナッツさんを見る。
俺がすっぽり入るくらい高身長で鍛えているから肉付きもいい。
鍛えられた肉体はセクシーだ。
ふっと視線が交わり、なんだか恥ずかしくなる。
「バルコニーに行きましょう。夜の庭も綺麗ですよ。」
お互いにワインを持ってバルコニーに出てみれば、他にも客はいた。
みんなお相手と仲良くやってらっしゃるようだ。
暗黙の了解で、他の人と距離をとったところにナッツさんは誘導した。
「俺が運命の相手って…。俺、そういうのあんまり信用していません。ある意味衝撃的な出会いだったからじゃないですかね?つり橋効果っていって、別のドキドキを勘違いするのはよくあるこ――――
ナッツさんの海のように青い瞳が、俺を見つめる。
照れくさそうに、ナッツさんは前髪を指でくるくると弄った。
あ。その癖、どっかで見たな。
さりなの勧めで顧問弁護士にお願いした――――――そう、塚本製薬の。
両親が生きていた頃は家族ぐるみの付き合いだった。
そこの息子の塚本玲だ。
友人?といえる関係でもなかったけど、塚本玲は時々俺を助けてくれたっけ。
叔父に家を乗っ取られて、自由が利かなくなる俺にファンタジー文庫の新刊を貸してくれたり。
俺を軽んじるような噂からは守ってくれた。
さりなも塚本も、俺に恩着せがましいことはしなかった。
さりなは、表向きは叔父の娘として接するけど、乱に虐められそうになるとそれとなく話題を変えて止めてくれたし、服もプレゼントしてくれて。
塚本も同じで、自分が読みたいから買ったけど面白いから読んでみて?という体で本を貸してくれた。
懐かしいな。塚本。
塚本がいなかったら、俺は学校生活を乗り切れただろうか。
塚本は大学も大学院も一緒で。
気付いたらいつも側にいた。
「私の夢は前世の記憶なんじゃないかって思うんです。こことは違う、科学の発展した世界で。そう、貴方が見せてくれた映像みたいな。ずっと、好きな人がいて。その人はある日突然消えて。悲しくて、そして目が覚める。あなたを見ると、その夢を思い出す。朧気だった愛しい人の姿が、貴方になる。あなたがその思いを信じられないなら、信じてもらえるまで私は貴方に愛を捧げます。貴方が同性に抱かれるのは嫌だと仰るなら私が抱かれます。そもそも肉体関係が嫌だというのなら、一切接触はなくても構いません。他に好きな人が出来たなら諦めます。」
「え…。」
戸惑う。
高鳴る。
どうして?
なんで心拍数が上がる?
塚本と、ナッツさんが重なる。
「だからどうか、私のことを考えてみてもらえないでしょうか。」
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた
時
BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。
けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。
もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。
ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。
「俺と二人組にならない?」
その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。
執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。
約九万字、全三十話+αの物語です。
恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~
凪瀬夜霧
BL
「綺麗な息子が欲しい」という実母の無茶な要求で、ランバートは女人禁制、男性結婚可の騎士団に入団する。
そこで出会った騎兵府団長ファウストと、部下より少し深く、けれども恋人ではない微妙な距離感での心地よい関係を築いていく。
友人とも違う、部下としては近い、けれど恋人ほど踏み込めない。そんなもどかしい二人が、沢山の事件を通してゆっくりと信頼と気持ちを育て、やがて恋人になるまでの物語。
メインCP以外にも、個性的で楽しい仲間や上司達の複数CPの物語もあります。活き活きと生きるキャラ達も一緒に楽しんで頂けると嬉しいです。
ー!注意!ー
*複数のCPがおります。メインCPだけを追いたい方には不向きな作品かと思います。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。