天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。

竜鳴躍

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カシュー=ナッツ騎士団長とマカデミア=ナッツ侯爵令息とレモネ=スカッシュ宰相

「まぁぁあぁぁ。その子がナッツ様の!やっとですか!」

「いや、まだお友達からなので。」

「照れなくてもいいんですよ~!」


高級デパートのサロンみたいな雰囲気の店に連れていかれ、俺は頭の先からつま先まで採寸された。


「彼に普段着と夜着と夜会の服を。一式見繕ってほしい!」

「えっと、俺は研究もするんで、汚れてもいい服もあると嬉しいです。」

高そうな服ばかりだと困る~!


「作業着も頼む!」


ナッツさんは手慣れた様子でてきぱきと指示をしている。


「……あの、慣れていますね。このお店は行きつけなのですか?」


「ここは私の兄が経営している店なんだ。私はナッツ侯爵家の次男でね。上に兄が一人いる。後継は兄がいるから、騎士団に入ったんだよ。」




「そうだよ!可愛い弟よ!」


オペラでも歌いそうなよくとおる声が響き、奥の螺旋階段からナッツさんによく似た男の人が降りてくる。

似ているけれど、ナッツさんより彫りが深めの顔立ちで、体の厚みは薄い。(ほどほど)


「兄さん、来てたんですか!」

「君がシュドー=ランだね。はじめまして。カシュー=ナッツの兄のマカデミア=ナッツです。ナッツ侯爵家の次期侯爵やってます。よろしくね。」

にこやかに俺の手を握ってぶんぶんする。


「いやぁあ、よかったよ!妻も取らない、嫁にも行かない、恋人もいないだろう?カシューは次男だし後継じゃないから、30になって相手がいないようなら、王太子に押しつけようって話になってたんだよ!」

「私はアレに抱かれる気はありません…。」


「あ。そうだ。うちの店に来そうだからってさっき連絡を受けたんだった。レモネが、シュドーさんに火急の件で城に来てほしいみたいだよ。発注が終わったら向かうといい。なるべく早く仕立てさせるよ。」


なんだろう。



「なんだか明るいお兄さんですね。兄弟仲がよさそうで羨ましいな。」

「そうですね。恵まれていると思います。兄は去年結婚して、もうすぐ子どもも生まれるところでして。シュドーさえよかったら、家族を紹介したいです。」


「そうですね…。」


家族。



家族、かぁ。





ぶすっとした無表情のナッツさんにエスコートされて城に行くと、プラチナブロンドに桃色の瞳をした眼鏡の男性が応接間にやってきた。

どことなく、ナッツさんに似ている気がする。

「宰相のレモネ=スカッシュです。本日はプリ殿下の代わりに、シュドーさんに渡したいものがあり、お越しいただきました。これを……。」


スッと差し出されたのは手紙。


封を切れば、そこには懐かしい。父と、母と。それから昔の俺そっくりの――――。



「16年前。かつて異世界に消えたマリーナ王国の王女が伴侶を伴ってこの世界に戻ってきました。それが貴方の母、エレナ=シェル=マリーナです。二人は科学者夫婦として、マリーナ王国で暮らしています。エレナ様は王女だったので、女公爵になりました。既に高齢で妊娠もぎりぎりだったということですが、こちらで子も産まれ…。シュトローム。それが貴方の弟の名前です。」


「俺の…。俺の母さんはこちらの世界の人間だったのですね。」

「向こうも王族で国同士も遠いですから、夏になる頃にしか会わせることはできませんが、向こうも会えるのを楽しみにしているということでした。」


「生きて……たんですね。」


「こちらへ転移する者の多くは事故に巻き込まれた者です。事故を契機に転移したのでしょう。」



よかった…。

会いたい。


でも、そこに、『俺の代わり』はいるんだよね。


俺の居場所はあるのかな…。



大好きな両親。
血のつながった弟なのに。俺の心はどんより曇り。


感想 15

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