55 / 90
元いた世界へ
「それでなんだい?話って。」
マリーナ公爵家の落ち着いた応接間で、ソファに腰掛ける。
両親は俺の言葉を待っている。
使用人を下げてもらい、俺は言わなければならない。
プリ殿下やレモネさんは無理言って公爵家に泊まってもらい、同席を頼む。
「実は、カシューさんには『白血病疑い』があります。」
「白血病!」
カシューさんやレモネさんは首を傾げる。
「血が止まらなくなる病だよ。他にも病状はあるけど、命に関わる病気。」
「えっ…。私が?」
「嵐、この世界では…………」
「うん、母さん。だから、カシューさんをあの世界に連れていきたい。ゆくゆくは、向こうの医学や医療機器、医療技術をこちらでもできたら、って思うけど…。すぐにどうにもできないから。」
「次元を超えて世界を渡るなんて、狙っていけるものじゃないわよ?」
「父さん、母さん。俺、こっちには自力で来たんだ。実は……次元を渡る装置を作った。あの世界では生きづらかったし、ひょいひょい次元を渡るなんて危険な技術だから、二度と使うつもりはなかったけど、カシューさんの命がかかっているなら別だよ!」
事情を知っているカシューさん以外、目を丸くする。
「へぇ。いつでも行き来できるのね。」
「それはすごいな。」
「カシューさん、向こうは医学も進んでいるの。私たちは向こうで生活の基盤があったから、向こうでも顔が利くわ。とっくに死んだことになってはいるけど、知り合いもいるもの。」
「なあ、嵐。向こうに私たちも行くよ。知り合いに伝手もある。向こうの医療機器はこちらで何とかして量産するとして、こちらで医学を教えてくれる者を向こうから連れてこようかと思う。」
「……そんなことできるんですか?」
「ああ。確か、エレナと同じ施設出身の………医学部にいた、ほら。」
「あ!斎藤くんね。確か、今、塚本グループ傘下の私立病院で外科医をしていたはずだわ。」
「塚本だったら事情も話しやすいし、斎藤くんには確か家族がいなかったはずだから。次元渡りをしても問題は少ないんじゃないだろうか。お願いしてみよう。」
「………嵐の世界へ、私が行くのか…。」
「お父様お母様の不在中は、僕が公爵家をお守りしますね。二人の不在が知られぬよう、コピーで何とかできますし。」
シュトロームのコピーは1日までしか維持できないけど、一度コピーしたものは、何回でも出力できるらしい。
なんでこんな有用な能力に文句をいったのか、ドリアって人は見る目がない。
俺も魔法の練習はしてるけど…、なかなか上手くいかない。魔力の感じはだんだんわかるようになったけど。
不安だろうカシューさんの手を握る。
大丈夫。
マリーナ公爵家の落ち着いた応接間で、ソファに腰掛ける。
両親は俺の言葉を待っている。
使用人を下げてもらい、俺は言わなければならない。
プリ殿下やレモネさんは無理言って公爵家に泊まってもらい、同席を頼む。
「実は、カシューさんには『白血病疑い』があります。」
「白血病!」
カシューさんやレモネさんは首を傾げる。
「血が止まらなくなる病だよ。他にも病状はあるけど、命に関わる病気。」
「えっ…。私が?」
「嵐、この世界では…………」
「うん、母さん。だから、カシューさんをあの世界に連れていきたい。ゆくゆくは、向こうの医学や医療機器、医療技術をこちらでもできたら、って思うけど…。すぐにどうにもできないから。」
「次元を超えて世界を渡るなんて、狙っていけるものじゃないわよ?」
「父さん、母さん。俺、こっちには自力で来たんだ。実は……次元を渡る装置を作った。あの世界では生きづらかったし、ひょいひょい次元を渡るなんて危険な技術だから、二度と使うつもりはなかったけど、カシューさんの命がかかっているなら別だよ!」
事情を知っているカシューさん以外、目を丸くする。
「へぇ。いつでも行き来できるのね。」
「それはすごいな。」
「カシューさん、向こうは医学も進んでいるの。私たちは向こうで生活の基盤があったから、向こうでも顔が利くわ。とっくに死んだことになってはいるけど、知り合いもいるもの。」
「なあ、嵐。向こうに私たちも行くよ。知り合いに伝手もある。向こうの医療機器はこちらで何とかして量産するとして、こちらで医学を教えてくれる者を向こうから連れてこようかと思う。」
「……そんなことできるんですか?」
「ああ。確か、エレナと同じ施設出身の………医学部にいた、ほら。」
「あ!斎藤くんね。確か、今、塚本グループ傘下の私立病院で外科医をしていたはずだわ。」
「塚本だったら事情も話しやすいし、斎藤くんには確か家族がいなかったはずだから。次元渡りをしても問題は少ないんじゃないだろうか。お願いしてみよう。」
「………嵐の世界へ、私が行くのか…。」
「お父様お母様の不在中は、僕が公爵家をお守りしますね。二人の不在が知られぬよう、コピーで何とかできますし。」
シュトロームのコピーは1日までしか維持できないけど、一度コピーしたものは、何回でも出力できるらしい。
なんでこんな有用な能力に文句をいったのか、ドリアって人は見る目がない。
俺も魔法の練習はしてるけど…、なかなか上手くいかない。魔力の感じはだんだんわかるようになったけど。
不安だろうカシューさんの手を握る。
大丈夫。
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた
時
BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。
けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。
もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。
ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。
「俺と二人組にならない?」
その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。
執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。
約九万字、全三十話+αの物語です。
恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~
凪瀬夜霧
BL
「綺麗な息子が欲しい」という実母の無茶な要求で、ランバートは女人禁制、男性結婚可の騎士団に入団する。
そこで出会った騎兵府団長ファウストと、部下より少し深く、けれども恋人ではない微妙な距離感での心地よい関係を築いていく。
友人とも違う、部下としては近い、けれど恋人ほど踏み込めない。そんなもどかしい二人が、沢山の事件を通してゆっくりと信頼と気持ちを育て、やがて恋人になるまでの物語。
メインCP以外にも、個性的で楽しい仲間や上司達の複数CPの物語もあります。活き活きと生きるキャラ達も一緒に楽しんで頂けると嬉しいです。
ー!注意!ー
*複数のCPがおります。メインCPだけを追いたい方には不向きな作品かと思います。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。