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諦めの悪い男
グレン=シェル=マリーナ。
マリーナ王国の王太子である。
二つ上の姉・マルセルや一つ下の弟・ミレーユは早々に遠い異国へ嫁ぎ、国と国の懸け橋になってくれている。
彼は未婚だったが、隣国との共同プロジェクトが進むにつれ、友好の証として婚姻を結ぶことになった時、王太子ゆえ、他国へ嫁ぐことはできず、従弟のシュトロームに押し付けてしまったことを悔いていた。
マリーナ王国の黒髪に漆黒の瞳。
マリーナ王国は南国で基本的には肌の色が濃く、褐色に近い滑らかな肌を持つ。
叔母のエレナ等王族貴族には他国との混血を政略結婚で重ねたこともあり、色が白い者も多いが、庶民はみなお日様の匂いのする褐色だ。
そして、グレンは王族でありながらも種族の特性が強く出て褐色の肌をしていた。
南の国は昔は野蛮な国だと思われていたから、なかなか嫁の来手がいない。
(そもそも、私は同性の、しかも年上が好きなんだよなあ。どっかにいないかなぁ、加齢臭がするくらい草臥れたおじさんが。今は試験管で子どもを作っちゃうんだから、おじさんでも子どもをもうけられるのになぁ。)
思い起こせば20年前。
頼りになりそうでならない自分の父親より、隣でバリバリやっている宰相のおじさんがしゅき♡だった。
おじさんを組み伏せたい。
この特殊性癖につきあってくれるおじさんが国内にいるわけがなく。
自分が王族であることを気にも留めないようなノーザン王国に(勉学も兼ねて)出向いたのだが、見つからなかった。
ノーザン王国はみんなむっきむきでムキムキじゃないとモテなかった。
第一自分の好みはムキムキじゃなくて、知的な草臥れたおじさんなのだから、なんか違う。
留学の成果は、王族は象徴として君臨し、王制でありながら庶民も貴族も平等に社会の中で仕事をしているシステム。
優秀な人材を身分に関係なく登用するシステムを学べたことと―――――――――
「やあ、相変わらず婚活?」
「うっさいなぁ。遊びに来たんだったら勝手にしてくれよ。そっちだって立場上それほどここにはいないんだろ?」
銀髪の見目麗しい体格の良い男。
シルヴァ=リオン=ノーザン王太子。
腰まで伸びたストレートの髪は光を浴びてキラキラ輝く。
グレーの瞳はウルフのようだ。
「ラン=シュドーに会いに来たのだが、シュトロームに追い返されてしまったんだよ。」
「ざまあ。」
「俺様は諦めないぞ?北の男は狙った獲物は逃がさないんだ。婚約者が既にいるなど知ったことか。」
「王族なのにそっちは気にしないんだっけ。」
「処女性など気にしていたら種族が絶える。それに俺の子なら必ず目印があるからな。」
シルヴァは自身の瞳を示した。
瞳孔が細く、狼のような目。
「それにランはこの国の人間じゃないんだろ?婚約者も。同盟なんてないし、なんなら……」
「物騒なこというな。国同士の交流なら直にできる。こないだの祝宴にも王太子が来てただろ?」
「俺様がけしかけなくてもどうだろうな。そろそろ、奴らが動き出す気配がある。」
シルヴァの声に釣書を持つ手を止め、グレンは目を細めた。
「ああ。『魔王』が復活する頃か。」
「各国手を組んで、戦うんだろう?婚約者とやらは病のようだし、ランを守り切れるかな?」
「お前、どうする気だ?」
「正々堂々カッコイイところを見せるだけだ。惚れさせてやるよ。」
剣の魔法のファンタジー世界には、封印されし魔物の王がいる。
王の目覚めに応じて、魔物は目覚める。
日頃倒している程度ではない。
マリーナ王国の王太子である。
二つ上の姉・マルセルや一つ下の弟・ミレーユは早々に遠い異国へ嫁ぎ、国と国の懸け橋になってくれている。
彼は未婚だったが、隣国との共同プロジェクトが進むにつれ、友好の証として婚姻を結ぶことになった時、王太子ゆえ、他国へ嫁ぐことはできず、従弟のシュトロームに押し付けてしまったことを悔いていた。
マリーナ王国の黒髪に漆黒の瞳。
マリーナ王国は南国で基本的には肌の色が濃く、褐色に近い滑らかな肌を持つ。
叔母のエレナ等王族貴族には他国との混血を政略結婚で重ねたこともあり、色が白い者も多いが、庶民はみなお日様の匂いのする褐色だ。
そして、グレンは王族でありながらも種族の特性が強く出て褐色の肌をしていた。
南の国は昔は野蛮な国だと思われていたから、なかなか嫁の来手がいない。
(そもそも、私は同性の、しかも年上が好きなんだよなあ。どっかにいないかなぁ、加齢臭がするくらい草臥れたおじさんが。今は試験管で子どもを作っちゃうんだから、おじさんでも子どもをもうけられるのになぁ。)
思い起こせば20年前。
頼りになりそうでならない自分の父親より、隣でバリバリやっている宰相のおじさんがしゅき♡だった。
おじさんを組み伏せたい。
この特殊性癖につきあってくれるおじさんが国内にいるわけがなく。
自分が王族であることを気にも留めないようなノーザン王国に(勉学も兼ねて)出向いたのだが、見つからなかった。
ノーザン王国はみんなむっきむきでムキムキじゃないとモテなかった。
第一自分の好みはムキムキじゃなくて、知的な草臥れたおじさんなのだから、なんか違う。
留学の成果は、王族は象徴として君臨し、王制でありながら庶民も貴族も平等に社会の中で仕事をしているシステム。
優秀な人材を身分に関係なく登用するシステムを学べたことと―――――――――
「やあ、相変わらず婚活?」
「うっさいなぁ。遊びに来たんだったら勝手にしてくれよ。そっちだって立場上それほどここにはいないんだろ?」
銀髪の見目麗しい体格の良い男。
シルヴァ=リオン=ノーザン王太子。
腰まで伸びたストレートの髪は光を浴びてキラキラ輝く。
グレーの瞳はウルフのようだ。
「ラン=シュドーに会いに来たのだが、シュトロームに追い返されてしまったんだよ。」
「ざまあ。」
「俺様は諦めないぞ?北の男は狙った獲物は逃がさないんだ。婚約者が既にいるなど知ったことか。」
「王族なのにそっちは気にしないんだっけ。」
「処女性など気にしていたら種族が絶える。それに俺の子なら必ず目印があるからな。」
シルヴァは自身の瞳を示した。
瞳孔が細く、狼のような目。
「それにランはこの国の人間じゃないんだろ?婚約者も。同盟なんてないし、なんなら……」
「物騒なこというな。国同士の交流なら直にできる。こないだの祝宴にも王太子が来てただろ?」
「俺様がけしかけなくてもどうだろうな。そろそろ、奴らが動き出す気配がある。」
シルヴァの声に釣書を持つ手を止め、グレンは目を細めた。
「ああ。『魔王』が復活する頃か。」
「各国手を組んで、戦うんだろう?婚約者とやらは病のようだし、ランを守り切れるかな?」
「お前、どうする気だ?」
「正々堂々カッコイイところを見せるだけだ。惚れさせてやるよ。」
剣の魔法のファンタジー世界には、封印されし魔物の王がいる。
王の目覚めに応じて、魔物は目覚める。
日頃倒している程度ではない。
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