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気分転換をしませんか
「アリア妃。城の中を散歩しませんか。」
ユンスに誘われて、頷いた。
「午後からは、結婚式の衣装を決めるので、お昼ごはんの前には戻りましょう。」
城の中は広い。
側妃がいることも多いから、妃のための離宮も2つあるらしい。
今はそのうちひとつをお母様が使っていて、もうひとつは使っていない。
「キールは、一番位が低い、子爵家の令息が産んだ子だったので、離宮で育ったんですよ。」
ちょうど、オフィリア様がお使いの宮ですね。
「お母様は男性だったんですね。」
「キールは母親似ですよ。性格も。元々、前王の学生時代の同級生で、側近だったようです。本当に愛していたのは、キールのお母様だったんじゃないですかね。側近として抜擢したかと思ったら、娶って。」
「キールが殺したんですよね……。」
「前王が亡くなった時。急だったので、後継者争いがおきました。」
産まれた順なら、側妃の産んだ第一王子。だが、正妃にも第二王子がいる。
分かりやすく、資質に差があればよかったのですが、みな優秀で。
結局、侍女も実家も巻き込んで、派閥で争いになった。
「ここは、図書室。」
ステンドグラスに彩られたそこは、教会のように神聖で、天井までハードカバーの本が並ぶ。
「キールは、一人でいることが多い、物静かな子で、よくここで本を読んでいました。人の本性が見えるから、あまり他の人といたくなかったのでしょう。」
なんだか、分かる気がする。
「そんな中、起きたお家騒動。第二王妃の産んだ第一王子が死にました。犯人は分からない。だけど、第二王妃は、第一王妃の仕業だと思って、第二王子を殺しました。」
「そんなことしたら………!」
「そう、二人の王妃は互いの子を殺し合った。そして、キールの妹姫も殺された。後継者争いに加わらないよう、次はキールを殺すぞという脅しです。」
妹が殺されて、こんな状況で。
キールはどんな思いだっただろう。
「キールの母親のアレックスは決断しました。どちらも国母にするわけにはいかない。そして、キール以外の子を全て排除して、キールを王に立たせると、自分も含めて、キールに後始末させたのです。」
辛いときにこんな話をして、すみません。
ユンスは頭を下げた。
「最後にこちらを。」
植物が育ちにくかったこの国で、透明なガラスに囲まれた巨大な温室。
中央には石碑。
そして、色とりどりの花が咲いている。
「けして、キールは非情ではありません。本性が見えてしまうから。身内で殺し合ったから。人の改心が信じられず、即決してしまうのです。優しすぎるあなたとなら、バランスがとれると思います。キールを宜しくお願いします。」
じっと奥を見ると、キールが石碑の前に居て。
花を捧げて祈っている。
ああ。
そうか。
ここはお墓なんだ。
「キール。」
名前を呼ぶと、驚いた顔をして振り向く。
「一緒に祈らせて。」
二人で祈った。
死んだ人は返ってこない。
ならば、罪を背負ったまま。
王になったのならば、国を良くしよう。
「ユンス、いい仕事するわあ。ようやくうちの子も幸せになれそうね。」
温室に紛れ込んだオフィリアが、木の上から二人を見下ろす。
「それじゃあ、私も母親らしく、お父さまにお願いしに行かなくちゃ。」
クロノス王国の王には、精霊姫が嫁ぐとの約束がある。
精霊にとって約束は大事。
盟約の書き換えをしに行かなくちゃ。
ユンスに誘われて、頷いた。
「午後からは、結婚式の衣装を決めるので、お昼ごはんの前には戻りましょう。」
城の中は広い。
側妃がいることも多いから、妃のための離宮も2つあるらしい。
今はそのうちひとつをお母様が使っていて、もうひとつは使っていない。
「キールは、一番位が低い、子爵家の令息が産んだ子だったので、離宮で育ったんですよ。」
ちょうど、オフィリア様がお使いの宮ですね。
「お母様は男性だったんですね。」
「キールは母親似ですよ。性格も。元々、前王の学生時代の同級生で、側近だったようです。本当に愛していたのは、キールのお母様だったんじゃないですかね。側近として抜擢したかと思ったら、娶って。」
「キールが殺したんですよね……。」
「前王が亡くなった時。急だったので、後継者争いがおきました。」
産まれた順なら、側妃の産んだ第一王子。だが、正妃にも第二王子がいる。
分かりやすく、資質に差があればよかったのですが、みな優秀で。
結局、侍女も実家も巻き込んで、派閥で争いになった。
「ここは、図書室。」
ステンドグラスに彩られたそこは、教会のように神聖で、天井までハードカバーの本が並ぶ。
「キールは、一人でいることが多い、物静かな子で、よくここで本を読んでいました。人の本性が見えるから、あまり他の人といたくなかったのでしょう。」
なんだか、分かる気がする。
「そんな中、起きたお家騒動。第二王妃の産んだ第一王子が死にました。犯人は分からない。だけど、第二王妃は、第一王妃の仕業だと思って、第二王子を殺しました。」
「そんなことしたら………!」
「そう、二人の王妃は互いの子を殺し合った。そして、キールの妹姫も殺された。後継者争いに加わらないよう、次はキールを殺すぞという脅しです。」
妹が殺されて、こんな状況で。
キールはどんな思いだっただろう。
「キールの母親のアレックスは決断しました。どちらも国母にするわけにはいかない。そして、キール以外の子を全て排除して、キールを王に立たせると、自分も含めて、キールに後始末させたのです。」
辛いときにこんな話をして、すみません。
ユンスは頭を下げた。
「最後にこちらを。」
植物が育ちにくかったこの国で、透明なガラスに囲まれた巨大な温室。
中央には石碑。
そして、色とりどりの花が咲いている。
「けして、キールは非情ではありません。本性が見えてしまうから。身内で殺し合ったから。人の改心が信じられず、即決してしまうのです。優しすぎるあなたとなら、バランスがとれると思います。キールを宜しくお願いします。」
じっと奥を見ると、キールが石碑の前に居て。
花を捧げて祈っている。
ああ。
そうか。
ここはお墓なんだ。
「キール。」
名前を呼ぶと、驚いた顔をして振り向く。
「一緒に祈らせて。」
二人で祈った。
死んだ人は返ってこない。
ならば、罪を背負ったまま。
王になったのならば、国を良くしよう。
「ユンス、いい仕事するわあ。ようやくうちの子も幸せになれそうね。」
温室に紛れ込んだオフィリアが、木の上から二人を見下ろす。
「それじゃあ、私も母親らしく、お父さまにお願いしに行かなくちゃ。」
クロノス王国の王には、精霊姫が嫁ぐとの約束がある。
精霊にとって約束は大事。
盟約の書き換えをしに行かなくちゃ。
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