9 / 23
本編
最強の妊婦
しおりを挟む
「きーっ!お前もエト人かっ!まとめてやっつけてやる!」
「………でもちょっといい男♡キシュとは大違いだわぁ。」
「こらっ!レベッカ!」
軍人の二人組が何かもめている間も、手下の集団はこちらに向かってくる。
「トラ、やっつける!」
「私がかわいいからって甘く見るんじゃないわよ!」
トラとコトラの拳や蹴りが宙を切り、相手を吹き飛ばす。
「………このっ!!」
ライフルから弾丸が一斉に放たれる。
キンキン!
金属音がして、はじく。残るのは硝煙の煙のみ。
「私がいるからには、攻撃はあたりません。」
「僕だって…!」
カーディナルから矢を放つ。
「はははは、こんな小さな矢…。!?」当たった敵の体がぐらつく。
「獣をしとめる時の麻痺矢だよ…!」探検家のいざという時の必需品。
「ふんふん、みんなやるねぇ。」
「このぉ、クソガキっ!」軍人が剣を振り下ろそうとして。「!!!!?」
手には何も持っていない。
その代わりに、シンの手にその剣がある。
「ごめんね~。手癖が悪くって☆」
「なんだ、あの子たち結構やるな。手を貸さなくてもお節介だったかな。」
金髪の青年は優斗たちを見て、自分が間合いを詰めている二人に視線を移した。
「ふんっ!」
レベッカが拳を胸元でパチンとあわせ、二の腕に青筋を立てて振り下ろす。
キシュが剣を構えて、青年に。
2人で向かっていく。
「動きが荒い。連携甘いね。」
すうっと躱すと、剣の峰で流れる様にさばいていく。
「げほっ。」
「ぐぇええ。」
「守護心マー!ダウンロード!」
青年は、優斗たちの周りの状況を確認すると、守護心を呼び出した。
「愛しのマイマスター、呼び出し待ってたよ!」
軽薄そうな午の守護心が顕現する。
葦毛の髪に、額に白い角。
「移動する!あの子たちも一緒に飛んで!」
「えっ…。」守護心は一瞬嫌そうな顔をして、全員を転移させた。
残ったのは、キシュとレベッカ。ヴィクトールの命を受けていた軍人たちのみ。
「ちっきしょーーーーーー!」
キシュは地団太を踏んだ。
街から遠く離れた荒野の高台に、優斗たちは転移していた。
「あなたも…守護心を。助けていただいて、ありがとうございました。」
優斗は、青年に挨拶と礼をした。
「あたし、コトラ。あなた、エトの剣士よね。守護心も持っているなら話は早いわ。私たちの仲間になって。エト人を開放して自由になるための、旅をしているの。守護心も集めているのよ。」
「マー。お前、無類の女好きじゃん。なんで男、しかもイケメンに従ってるわけ?ちょっとロリっているけど将来に期待、でこのお嬢ちゃんはどうよ。」
「シン。シグマに失礼だ。シグマは女性だぞ。そりゃあ生娘ではないが…、心身美しい人だ。」
午の守護心は眉を寄せた。
「ははは。僕は男みたいだからね、仕方ないよ。よく間違えられるんだ、気にしてないよ。」
「シグマさん、あなたも顔が割れてしまいました。僕たちと一緒の方がもはやいいのではと思いますが…。」
巻き込んでしまって申し訳ない。
「いいんだよ、放っておけなかったからさ。でも、僕。仲間にはなれない。マーも、今は渡せないな。ごめんね。」
「……今は?」
シグマはそっと、胎に手をあてた。
「お腹に、子どもがいるんだ。父親は地球人で…。一緒に住んでたんだけど、子どもが出来たことを告げる前にいなくなってしまって。一緒に生きてはいけないかもしれないけど、子どものこと、どうしても告げたいんだ。あの人を探す旅の途中で、マーの力は必要だから。だからごめんね。」
お腹に子どもが。
それなのに、助けてくれたのか。
驚いだが、エト人はどういうわけか妊娠しても腹が目立たない体質で、丈夫なのだそうだ。
「君たちが行きたい場所のところまで送ってあげるよ。また、どこかで会えたらいいね。」
ガイのいるであろう祠に送ってくれ、去り際の笑顔は確かによく見ると母親の穏やかさと女性らしさが滲んでいる。
胸元の金色のハートのロケットが、揺れて。
僕たちは彼女と彼女の恋人の再会を願った。
キシュとレベッカは城に戻り、ヴィクトールとヨシュアに叱咤を受けていた。
「仮にも軍部のエースなのだから、給料分働いてくれないと困るね。」
「すっ、すみません!!!!」
「…まあ、僕の可愛いミアがその分頑張ってくれるだろうが、あまり役立たずでも困る。研究所にジャンが戻っているから、新しい武器でも作ってもらうといい。」
とぼとぼと研究所に向かい、二人が部屋を開けると、ドレッドヘアで褐色の肌の南米出身の科学者がくしゃみを連発していた。
「くしゅ!くしゅっ!!!」
ヴィクトール様達と同じ、移民船のパイロットに選ばれた技術者。
元々はヴィクトール様の財団の支援で大学まで出た、貧しい天才だった。
時々ふらふらとどこかへ行って、この星の鉱物で新しいものを作る彼は、最近も暫く帰ってこなかった。
だが、帰ってきてからは、今度は腰を落ち着けている。
「大丈夫です?」
「ああ、だいじょうぶ、なんかなぁ、誰か俺の噂をしてるのかな。ところで、こっちに来たってことはヨシュアにまわされたんだろ?いいのがあるよ。」
どこいったかなぁ、と探す彼の白衣の胸元で、金色のロケットが揺れた。
「………でもちょっといい男♡キシュとは大違いだわぁ。」
「こらっ!レベッカ!」
軍人の二人組が何かもめている間も、手下の集団はこちらに向かってくる。
「トラ、やっつける!」
「私がかわいいからって甘く見るんじゃないわよ!」
トラとコトラの拳や蹴りが宙を切り、相手を吹き飛ばす。
「………このっ!!」
ライフルから弾丸が一斉に放たれる。
キンキン!
金属音がして、はじく。残るのは硝煙の煙のみ。
「私がいるからには、攻撃はあたりません。」
「僕だって…!」
カーディナルから矢を放つ。
「はははは、こんな小さな矢…。!?」当たった敵の体がぐらつく。
「獣をしとめる時の麻痺矢だよ…!」探検家のいざという時の必需品。
「ふんふん、みんなやるねぇ。」
「このぉ、クソガキっ!」軍人が剣を振り下ろそうとして。「!!!!?」
手には何も持っていない。
その代わりに、シンの手にその剣がある。
「ごめんね~。手癖が悪くって☆」
「なんだ、あの子たち結構やるな。手を貸さなくてもお節介だったかな。」
金髪の青年は優斗たちを見て、自分が間合いを詰めている二人に視線を移した。
「ふんっ!」
レベッカが拳を胸元でパチンとあわせ、二の腕に青筋を立てて振り下ろす。
キシュが剣を構えて、青年に。
2人で向かっていく。
「動きが荒い。連携甘いね。」
すうっと躱すと、剣の峰で流れる様にさばいていく。
「げほっ。」
「ぐぇええ。」
「守護心マー!ダウンロード!」
青年は、優斗たちの周りの状況を確認すると、守護心を呼び出した。
「愛しのマイマスター、呼び出し待ってたよ!」
軽薄そうな午の守護心が顕現する。
葦毛の髪に、額に白い角。
「移動する!あの子たちも一緒に飛んで!」
「えっ…。」守護心は一瞬嫌そうな顔をして、全員を転移させた。
残ったのは、キシュとレベッカ。ヴィクトールの命を受けていた軍人たちのみ。
「ちっきしょーーーーーー!」
キシュは地団太を踏んだ。
街から遠く離れた荒野の高台に、優斗たちは転移していた。
「あなたも…守護心を。助けていただいて、ありがとうございました。」
優斗は、青年に挨拶と礼をした。
「あたし、コトラ。あなた、エトの剣士よね。守護心も持っているなら話は早いわ。私たちの仲間になって。エト人を開放して自由になるための、旅をしているの。守護心も集めているのよ。」
「マー。お前、無類の女好きじゃん。なんで男、しかもイケメンに従ってるわけ?ちょっとロリっているけど将来に期待、でこのお嬢ちゃんはどうよ。」
「シン。シグマに失礼だ。シグマは女性だぞ。そりゃあ生娘ではないが…、心身美しい人だ。」
午の守護心は眉を寄せた。
「ははは。僕は男みたいだからね、仕方ないよ。よく間違えられるんだ、気にしてないよ。」
「シグマさん、あなたも顔が割れてしまいました。僕たちと一緒の方がもはやいいのではと思いますが…。」
巻き込んでしまって申し訳ない。
「いいんだよ、放っておけなかったからさ。でも、僕。仲間にはなれない。マーも、今は渡せないな。ごめんね。」
「……今は?」
シグマはそっと、胎に手をあてた。
「お腹に、子どもがいるんだ。父親は地球人で…。一緒に住んでたんだけど、子どもが出来たことを告げる前にいなくなってしまって。一緒に生きてはいけないかもしれないけど、子どものこと、どうしても告げたいんだ。あの人を探す旅の途中で、マーの力は必要だから。だからごめんね。」
お腹に子どもが。
それなのに、助けてくれたのか。
驚いだが、エト人はどういうわけか妊娠しても腹が目立たない体質で、丈夫なのだそうだ。
「君たちが行きたい場所のところまで送ってあげるよ。また、どこかで会えたらいいね。」
ガイのいるであろう祠に送ってくれ、去り際の笑顔は確かによく見ると母親の穏やかさと女性らしさが滲んでいる。
胸元の金色のハートのロケットが、揺れて。
僕たちは彼女と彼女の恋人の再会を願った。
キシュとレベッカは城に戻り、ヴィクトールとヨシュアに叱咤を受けていた。
「仮にも軍部のエースなのだから、給料分働いてくれないと困るね。」
「すっ、すみません!!!!」
「…まあ、僕の可愛いミアがその分頑張ってくれるだろうが、あまり役立たずでも困る。研究所にジャンが戻っているから、新しい武器でも作ってもらうといい。」
とぼとぼと研究所に向かい、二人が部屋を開けると、ドレッドヘアで褐色の肌の南米出身の科学者がくしゃみを連発していた。
「くしゅ!くしゅっ!!!」
ヴィクトール様達と同じ、移民船のパイロットに選ばれた技術者。
元々はヴィクトール様の財団の支援で大学まで出た、貧しい天才だった。
時々ふらふらとどこかへ行って、この星の鉱物で新しいものを作る彼は、最近も暫く帰ってこなかった。
だが、帰ってきてからは、今度は腰を落ち着けている。
「大丈夫です?」
「ああ、だいじょうぶ、なんかなぁ、誰か俺の噂をしてるのかな。ところで、こっちに来たってことはヨシュアにまわされたんだろ?いいのがあるよ。」
どこいったかなぁ、と探す彼の白衣の胸元で、金色のロケットが揺れた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
.
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!
本条蒼依
ファンタジー
主人公クロスは、マスターで聞いた事のない職業だが、Eランクという最低ランクの職業を得た。
そして、差別を受けた田舎を飛び出し、冒険者ギルドに所属しポーターとして生活をしていたが、
同じパーティーメンバーからも疎まれている状況で話は始まる。
才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった
雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。
天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。
だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。
鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。
一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。
朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。
悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。
目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる