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本編
見習い聖女
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「ここがウィッシュだぜ~!!昔は、エトの大聖堂があって、のどかな港町だったんだ!」
シンがくるくると踊る。
―――が、楽しそうな表情も一変し、すぐに陰りを見せた。
「今じゃ、地球人のバカンス先で、エト人は奴隷だけどな。」
見れば、港町で働く人間は、幼い子どもから老人までオトナばかりだ。
しかも、男の。
彼らはみんなエト人で、奴隷だという。
高台にあるホテルは立派だが、彼らの居住区は貧しい。
「大聖堂は打ち壊されたけど、聖女様はまだその廃墟にいる。奴隷が壊れたとき治せる奴がいた方が便利だろ?だから聖女様はそのままいらっしゃるんだ。聖女様もみんなが気になるんだろう。その力を最大限発揮するには守護心ミイの力が必要だ。おそらくスーリ様はミイをうまく匿いながら二人で過ごしてるだろう。ミイもスーリ様のことが好きだ。マスターがここから離れられないのに、どこかへいくはずがない。」
「シンは当たっていると思う。大聖堂の跡地に行ってみよう。」
「うん。」
目の前をずんずん進む、コトラたち。
僕はいつも受け身がちで、情けなくなる。
知らないことが多すぎる。
悔しい。
もっと、もっと。
強い自分になりたい。
ミアの、暗い紫色の髪と瞳。
僕があのくらい強ければ。
きっとリュウも僕たちとともに来てくれたのかもしれない。
私は何も知らなかった。
お父様たちが悪かった。
この人たちを助けたい。
どうして、みんな仲良くできないんだろう。
奴隷なんて間違っている。
だけど、私にはその力がない。
「おねえちゃん、おっぱいおおきい。ふわふわ~、いいなあ。」
教会で子どもたちを集めて勉強会。
働くには幼すぎる子どもたち。
だけど、もうすぐ。彼らも労働に駆り出される。
「こら、女の子の胸を触ったらだめよ!」
「いいんです、お母さんが恋しいのよね?」
小さな子どもたちは恥ずかしそうにもじもじした。
「ミユキが一緒に読み聞かせをしてくれるからたすかるわ。文字も教えてくれるし、計算も。読み書きは出来た方がいいもの。」
スーリさんは子どもたちに食べさせるために、小麦の粉を溶いて、魚介類や植物を混ぜたものを焼いている。
あり合わせでいいし、お腹いっぱいになれるのだ。
「私にできることなんてこのくらいですし。」
そんな平穏に、それは来た。
「やあやあ、キシュさまとレベッカさまがやって来たぞ!」
「奴隷に読み書きは不要!それにここに守護心がいるそうじゃない!!守護心は全てヴィクトール様のもとへ集めるように言われてるのよね!」
ドン、と乱暴に蹴破られて、ぼろぼろの教会の扉は壊れて落ちた。
スーリは、ミィとともに子どもたちを抱きしめる。
「……ッ!やめなさい!!!」
思わず、立ち上がる。
これでバレる。
連れ戻されるかもしれないけど、それで囮になれたら。
私のお願いで見過ごしてもらえたらいいんだけど。
「ミユキさま!」
ヴィクトールの兵士たちがざわついた。
「この人たちは見逃して!おねがい、家に帰るから!!」
「そうねえ…。」
何もない私には、お願いすることしかできない。
シンがくるくると踊る。
―――が、楽しそうな表情も一変し、すぐに陰りを見せた。
「今じゃ、地球人のバカンス先で、エト人は奴隷だけどな。」
見れば、港町で働く人間は、幼い子どもから老人までオトナばかりだ。
しかも、男の。
彼らはみんなエト人で、奴隷だという。
高台にあるホテルは立派だが、彼らの居住区は貧しい。
「大聖堂は打ち壊されたけど、聖女様はまだその廃墟にいる。奴隷が壊れたとき治せる奴がいた方が便利だろ?だから聖女様はそのままいらっしゃるんだ。聖女様もみんなが気になるんだろう。その力を最大限発揮するには守護心ミイの力が必要だ。おそらくスーリ様はミイをうまく匿いながら二人で過ごしてるだろう。ミイもスーリ様のことが好きだ。マスターがここから離れられないのに、どこかへいくはずがない。」
「シンは当たっていると思う。大聖堂の跡地に行ってみよう。」
「うん。」
目の前をずんずん進む、コトラたち。
僕はいつも受け身がちで、情けなくなる。
知らないことが多すぎる。
悔しい。
もっと、もっと。
強い自分になりたい。
ミアの、暗い紫色の髪と瞳。
僕があのくらい強ければ。
きっとリュウも僕たちとともに来てくれたのかもしれない。
私は何も知らなかった。
お父様たちが悪かった。
この人たちを助けたい。
どうして、みんな仲良くできないんだろう。
奴隷なんて間違っている。
だけど、私にはその力がない。
「おねえちゃん、おっぱいおおきい。ふわふわ~、いいなあ。」
教会で子どもたちを集めて勉強会。
働くには幼すぎる子どもたち。
だけど、もうすぐ。彼らも労働に駆り出される。
「こら、女の子の胸を触ったらだめよ!」
「いいんです、お母さんが恋しいのよね?」
小さな子どもたちは恥ずかしそうにもじもじした。
「ミユキが一緒に読み聞かせをしてくれるからたすかるわ。文字も教えてくれるし、計算も。読み書きは出来た方がいいもの。」
スーリさんは子どもたちに食べさせるために、小麦の粉を溶いて、魚介類や植物を混ぜたものを焼いている。
あり合わせでいいし、お腹いっぱいになれるのだ。
「私にできることなんてこのくらいですし。」
そんな平穏に、それは来た。
「やあやあ、キシュさまとレベッカさまがやって来たぞ!」
「奴隷に読み書きは不要!それにここに守護心がいるそうじゃない!!守護心は全てヴィクトール様のもとへ集めるように言われてるのよね!」
ドン、と乱暴に蹴破られて、ぼろぼろの教会の扉は壊れて落ちた。
スーリは、ミィとともに子どもたちを抱きしめる。
「……ッ!やめなさい!!!」
思わず、立ち上がる。
これでバレる。
連れ戻されるかもしれないけど、それで囮になれたら。
私のお願いで見過ごしてもらえたらいいんだけど。
「ミユキさま!」
ヴィクトールの兵士たちがざわついた。
「この人たちは見逃して!おねがい、家に帰るから!!」
「そうねえ…。」
何もない私には、お願いすることしかできない。
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