9 / 82
視線と危機と
しおりを挟む
…………なんだろう。
今朝は妙に人の視線を感じる。
こんな地味な平々凡々な男のことをなんで……?
寝ぐせでもついているのかな。
……でも、そんなんじゃない。
たとえて言うならば、肉食獣にロックオンされている草食動物のような…。
1講義目が終わり、妙に遠巻きでこちらをチラチラ見る学生たちを避けて学科室へ向かう。
学科室へ着くと、神妙な顔をした紀里谷先生が俺を隠すように中に入れ、学科室の鍵を閉めた。
「どうしたんですか?先生。」
「これを見なさい。」
先生が見せてくれたのは。アルファ専用の投稿サイト。
俺を襲わせるための、記事。
元々の姿の写真が家出する前のものだから、犯人は分かっている。
兄たちだ。
怒りに震える。
「アルファ同士の情報交換のためのサイトだから、結構これを見ている人は多いと思う。もしよかったら、俺は学科室を出るからここでしばらく身を隠しても構わないし、誰か信頼できそうなの見繕ってボディガードをさせてもいいけど。格が上のアルファと一緒なら襲われないと思うよ。」
「ありがとうございます。」
「それこそ、君が望むなら俺がボディガードをしてもいいんだけど。こう見えても割と格は高いんだ。」
有名国公立大学でその若さで准教授ならそうだと思う。
「でもずっとそうやってご迷惑をおかけするわけにはいきませんし。今日はもう帰ります。今日の講義はないので。」
ふふふ。
兄たちのことだから、間違いなく近くで俺を見張っているはずだ。
俺の無様な姿はナマで見たいはずだからな。
やってやる。
学科室を出て、俺は大学の出口に向かった。
「おい!!!!」
肩を掴まれる。――――――北村。
「お前、狙われているぞ!この大学の奴らは犯罪紛いなことをして将来棒に振るような真似はしないから自制してるけど、外に出たら危ないんだからな!」
はあはあ息を切らせて、どこから走って来たんだ。お前は。
「わかってる。さっき紀里谷先生から教えてもらった。」
「なら!」
「一生隠れて生きるわけにはいかないの。お分かり?」
ウイッグをゴミ箱に捨てて、眼鏡も捨てる。
だってもう意味はない。
ほうっとため息が聞こえる。
だぼだぼのパーカーも片づけて、じゃね。と俺は手を翻した。
―――――――――――ちきしょう。
アイツらめ。ヤクザもんまで呼んでるんじゃねえよ。
大学から駅まで。
俺を狙うやつは次から次へと現れた。
蹴っ飛ばして殴り飛ばして、振り切って。振り切った先にいたヤクザ風の男たちに捕まった。
目隠しされて連れてこられて、抑制剤を取られて閉じこめられた。
ちくしょう。
オメガだと判明してから、抑制剤を飲まなかったことなんて、ない。
ヒートの誘発剤を打たれたと思う。
「………っ。」
体が熱くなる。
俺がヒートで狂うのを、待ってるんだ。
今朝は妙に人の視線を感じる。
こんな地味な平々凡々な男のことをなんで……?
寝ぐせでもついているのかな。
……でも、そんなんじゃない。
たとえて言うならば、肉食獣にロックオンされている草食動物のような…。
1講義目が終わり、妙に遠巻きでこちらをチラチラ見る学生たちを避けて学科室へ向かう。
学科室へ着くと、神妙な顔をした紀里谷先生が俺を隠すように中に入れ、学科室の鍵を閉めた。
「どうしたんですか?先生。」
「これを見なさい。」
先生が見せてくれたのは。アルファ専用の投稿サイト。
俺を襲わせるための、記事。
元々の姿の写真が家出する前のものだから、犯人は分かっている。
兄たちだ。
怒りに震える。
「アルファ同士の情報交換のためのサイトだから、結構これを見ている人は多いと思う。もしよかったら、俺は学科室を出るからここでしばらく身を隠しても構わないし、誰か信頼できそうなの見繕ってボディガードをさせてもいいけど。格が上のアルファと一緒なら襲われないと思うよ。」
「ありがとうございます。」
「それこそ、君が望むなら俺がボディガードをしてもいいんだけど。こう見えても割と格は高いんだ。」
有名国公立大学でその若さで准教授ならそうだと思う。
「でもずっとそうやってご迷惑をおかけするわけにはいきませんし。今日はもう帰ります。今日の講義はないので。」
ふふふ。
兄たちのことだから、間違いなく近くで俺を見張っているはずだ。
俺の無様な姿はナマで見たいはずだからな。
やってやる。
学科室を出て、俺は大学の出口に向かった。
「おい!!!!」
肩を掴まれる。――――――北村。
「お前、狙われているぞ!この大学の奴らは犯罪紛いなことをして将来棒に振るような真似はしないから自制してるけど、外に出たら危ないんだからな!」
はあはあ息を切らせて、どこから走って来たんだ。お前は。
「わかってる。さっき紀里谷先生から教えてもらった。」
「なら!」
「一生隠れて生きるわけにはいかないの。お分かり?」
ウイッグをゴミ箱に捨てて、眼鏡も捨てる。
だってもう意味はない。
ほうっとため息が聞こえる。
だぼだぼのパーカーも片づけて、じゃね。と俺は手を翻した。
―――――――――――ちきしょう。
アイツらめ。ヤクザもんまで呼んでるんじゃねえよ。
大学から駅まで。
俺を狙うやつは次から次へと現れた。
蹴っ飛ばして殴り飛ばして、振り切って。振り切った先にいたヤクザ風の男たちに捕まった。
目隠しされて連れてこられて、抑制剤を取られて閉じこめられた。
ちくしょう。
オメガだと判明してから、抑制剤を飲まなかったことなんて、ない。
ヒートの誘発剤を打たれたと思う。
「………っ。」
体が熱くなる。
俺がヒートで狂うのを、待ってるんだ。
69
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる