男として育てられた公爵令嬢は秘匿された王子の寵愛を受ける

竜鳴躍

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その王女には秘密がある。

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私はどうかしてる。

男にドキドキするなんて。

可愛いと思うなんて。


この私が、助け船を出すなんて。





教室に入り、椅子に腰掛けてやっと足を伸ばす。

肩幅を誤魔化すためのボレロ。

ハイウエストのスカートに、膝を曲げて歩いていることを気づかせないための長い裾。


座高が低いので、椅子に深く腰掛ければ気づかれにくいが、そろそろ限界かもしれない。


背筋を張ったままかがんで歩くのはしんどい。

足はかなりムキムキだ。


腕は令嬢のような細腕だから、戦うなら私は蹴りの方がいいだろうな。





私が産まれる前。

父が崩御した。


体調が悪くなって亡くなるまでが早すぎて、毒殺が疑われているが、いまだに事件は藪の中だ。

母は、出産前に『王子なら殺せ』と耳にしたらしい。

さっと身を隠したために、誰の会話かは分からないが、自分の知る声ではない。

母は引きこもり、信じるもの達だけをそばにを置いた。

そして私を姫と偽った。




母が用心深くなければ、私はこの世にはいない。

母は亡くなったが、母の側近たちが私を守り、育ててくれた。



心は男のつもりでいたが、まさか心まで女になってしまったのだろうか。


ああでも、彼はいい。

彼をこの手に抱きたい。

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