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閑話 孤児院と俺

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「今日こそお前に勝ってやる!」


「いいぞ、かかってこい!」


孤児院に慰問に行くたびにつっかかってくるやんちゃ坊主。

10歳くらいだろうか。
剣筋は悪くない。


小柄な体格だがその分小回りが利き、すばしっこい。


「たぁぁあ!」

オレンジ色に近いハニーブロンドに青い瞳は、どこぞの貴族の血筋かもしれない。

だが、孤児だ。

彼はその身一つで、これから生きていかなければならない。



つきだされる木刀をいなして、芝生の上にふんわり落とす。


「くっそおおおおおおおおお!」


「ははは。ルピ、まだまだだな!」

「絶対に将来、ぎゃふんって言わせてやる!」


「おお。騎士団にでも来い。さすがに近衛は貴族しか無理だが、騎士団ならだれでもなれるようにウチの王太子が頑張るってよ。お前がデカくなるまでには実力主義になってるはずだ。」

「待ってろよ!………なぁ、ところでさ、タイタンはコンヤクシャとかヨメとかいんの?」


「いやぁ?いないな。主が婚約者もいないのに従僕が作るわけにもな。あの調子じゃあ、あと何年か先だな。まあ気にしてない。」


「今タイタンって何歳?」

「19歳。意外と若いだろう。」



「そっか……。19ってことは俺が18とかなったら27?16なら25??」



「ん??」



「お前ら、両性に理解あるんだろ?お前も結婚相手がもし両性でもいいんだろ?」


「まあ、うん、そうだな。」


「待ってろよ!あと6年、いや5年…!婚約者なんて作るなよ!」


すったかたったたーと、ルピが顔を真っ赤にして走り去っていく。





「………一体何なんだ。」



「あらあら。ルピったら。おませさんねぇ。初恋なのねぇ。」

「?」


洗濯ものを抱えたサマンサが建物の影から現れる。




「ルピは両性なのよ。こないだ初潮も来てたから、お嫁さんに行けるのよ。」



やんちゃ坊主だと思っていたら、お転婆だった…。




俺が25のとき16??

幼妻か…?
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