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スノウ追放される

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その女はやって来た。


黒い髪を靡かせて、唇に真っ赤なルージュ。

誰が見てもウイッチなのに、誰もウイッチと指摘しない。


「お初にお目にかかります。私はアンデルセン帝国の王弟、ピエール大公殿下の娘、ビューティですわ。ジョエル様は聡明で美しいと我が国へも評判が聞こえておりましたの。私、そんな素敵な王子様の妃になりたくて。まだ、婚約者がいらっしゃらないと聞いたものですから、自分から立候補してしまいましたわ。恥ずかしい。はしたないですわね。」


「ふふ、私の娘は本当に気立てが良くて賢くて美しくて。誰に似たのか。娘と結婚した暁にはそちらの国とは縁者になるわけですからね。資金でも技術でも、何でも協力しますよ。この国は豊かな国だが、ますます栄えるでしょう!」




「それはそうと、わたくし。不安なことがございますの。貴方の心を惑わすスノウとかいう男がいるそうじゃありませんの。私不安ですわ。遠くへ追放してくださらないかしら。」


「追放…??いや、彼は私の妹の息子で。」


「いいじゃないですか!不安なんです!」

魔女は胸元から白い羽を出す。



白い羽には見覚えがあった。


アイスノン……………!


「ふふふ、嫌な鳥に纏わり付かれて迷惑でしたわ。港に捨て置いてきましたの。今頃カラスの餌かしら。可愛い白雪姫も溶けてしまわなければいいですわね。」


その言葉に、ジョエルは今は従うしかなかった。



「レオを呼べ、それからケント、任せた。」

ジョエルは落ち着いて二人を呼んだ。









「スノウ。今からお前は王都から追放になった。早く出る支度をしなさい。」

帰宅するなりレオは、スノウにゆっくりと宣言した。


「何ですって!あの王太子っ!」
セレニティがぎりぎりと扇子を曲げる。

「まあ、待て。」


「何も理由なく行動する人じゃないよ。何か理由があるんだね。」

レオは頷いた。

「丁度お前の騎士が帰ってくる。スノウ。無事でいるんだよ。」



家族は抱き合って、スノウは初めて家を後にした。



(何かあったんだ。ジョエル、大丈夫かな………。)



馬に乗り、腰には剣と懐にはお金。

か弱いお姫様じゃないんだ、なんとかなる!


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