【完結】世の中みんながお前のこと愛してると思ったら大間違いだから!

竜鳴躍

文字の大きさ
83 / 84
マロンとイリス編

お掃除しましょ

しおりを挟む
「マロン殿下!なんでこの方と?高位貴族でなければ、王族は結婚できないことはご存じですよね?まさか、遊びの相手なのですか?」


ギャラリーの金切り声がうるさい。


そこに、ルークを伴だってヒイロ王太子殿下が現れた。


女性たちは色めき立つ。

隣国の王太子もいいわよね…。



「おや、そこにるのは我が妹じゃないか。マリア、卒業おめでとう。平民の振りをして通うのは面白かったかい?」


え―――――。

さあっと、顔が青くなる者が数名。


「ええ。たいへん面白かったですわ。虐げられる者の気持ちがよく分かりました。そして、その構造も。人間というのは、鶏と一緒で誰かと比べて、自分が幸せだと認識しなければ不安になる生き物なのですわ。」


「はは。流石マリア。的を得ている。だが、我々貴族、民を預かる者、上に立つ者は、その集団心理をうまく支配して、虐げられる鶏がいないようにしなければならない。これが難しい。」


「ヒイロ王太子殿下、先ほどはご挨拶できず。」
マロンが礼をする。

「いやいや。早馬で便りが来て驚いた。」

「そして、お返事はいかに。」

「陛下は承知したよ。おめでとう。」


「ありがとうございます。」



「マロン、どういうこと…?」

「マロン殿下の婚約者が決まったんだ。オルガン王国の王女、マリア=トーネ=オルガンがマロン殿下と婚約する。」
イリスの質問に、マルクが応える。


ざわっと会場がどよめく。


隣国の、しかも豊かな同盟国の王女では、反対できない…。



視線がイリスに集中する気持ち悪さを感じて、肌が震える。



「ははは、おめでとう。マロン。そして、今日はおめでた続きだ。マルク。」

アロン陛下がマルクに促した。



マルクがイリスの腰を抱く。


「この度、私、マルク=ビクトリアはイリス=パフューム=フローラ第二王子を妻として娶る許可を得て、婚姻を結びました。」



悲鳴があがる。




「なんで、何故ッ!何故ですか!殿下なら、素晴らしい王になれる!なれずとも、王族として城に留まる道もあるというのに!なぜ…っ!」

白目を赤くして叫ぶ声は、イビリーのもの。

娘のレナは、王女を虐げていたショックで使い物にならない。

当主のマキコマレーは、二人と縁を切るつもりでいる。



「お前みたいなものが、イリスの心を傷つけたからだ!母親が死んだのはお前のせい、王になるのは私が育てた方だと醜い争いをして、幼いイリスは辛かったのだ!解雇にされてもまだ分からなかったようだな!イリスは確かに優秀だ。マロンよりも頭の出来はいいかもしれない。だが、繊細で優しい子だ。争いたくないから、劣った振りをしていたのだ。彼の才能も、将来も、台無しになるところだった!!みんな、お前のような者のせいだ!!!!!」


マルクに抱きしめられて、マルクに言いたいことを言ってもらえて、イリスは嬉しくてその背中に手を回す。

うれし涙でマルクのお洋服を濡らしちゃった。



「そこの娘がうちのマリアを虐めた首謀者らしいね。よくもまあ、水をかぶせたり教科書を破ったり、階段で転ばせたり、酷いことが出来るもんだ。影がついていなかったら、死んでいたかもしれない。世の中には性根の腐った親から生まれてもまっとうに育つ人間もいるというのに、そのまんま親のコピーで生まれたんだね。養父はまともな人なのに、『偽の当主だ、私が本筋だ』って聞く耳持たなかったらしいじゃない。……まあ、つい今さっきマロンから聞いた話だけどね?」

顔は微笑みながら、ヒイロ王太子が凄んだ。


オルガン王国から申し入れをするから、母子で破滅してね。
養父は1つ降爵くらいで許すから。

イビリーとレナはその場で拘束されて連れていかれた。



がくがく震えている他の者は、そのうち何かしらの文が国から届くことだろう。


「イリスは、辺境でのびのびと才能を発揮してもらいますよ。辺境伯家は優秀な妻を娶れて、発展するでしょう。」

マルクの腕の中で、イリスは嬉しそうに輝くばかりの笑顔を振りまいた。




その笑顔に、今更恋焦がれる者もいた。





「……あっ、あの…。」

双子の王子が片付いてしまって、ヒイロ王太子に声を掛けようとする女性に気づき、ヒイロはすかさず近くにいたルークの肩を掴み、抱き寄せて、キスをした。



「残念ですね。私も売約済みです。」






こうして、卒業パーティは終わった。





しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

あの日、北京の街角で

ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。 元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。 北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。 孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。 その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。 3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……? 2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

雪解けに愛を囁く

ノルねこ
BL
平民のアルベルトに試験で負け続けて伯爵家を廃嫡になったルイス。 しかしその試験結果は歪められたものだった。 実はアルベルトは自分の配偶者と配下を探すため、身分を偽って学園に通っていたこの国の第三王子。自分のせいでルイスが廃嫡になってしまったと後悔するアルベルトは、同級生だったニコラスと共にルイスを探しはじめる。 好きな態度を隠さない王子様×元伯爵令息(現在は酒場の店員) 前・中・後プラスイチャイチャ回の、全4話で終了です。 別作品(俺様BL声優)の登場人物と名前は同じですが別人です! 紛らわしくてすみません。 小説家になろうでも公開中。

婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々

月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。 俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。

処理中です...