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山田勇吉ははめられた
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「ねぇ、なんかイイネタとれたの?兄さんったら!」
妹を無視して撮影したデータを出版社に送った。
ふふ、ディスクに褒められるぞ~!
意気揚々と東京に帰って直ぐに出社すれば、取締役にも呼ばれ、いよいよ出世か!?
と期待に胸が膨らむ。
そりゃそうだろう。
今をときめく夏目太陽と冬木香月の初スキャンダルだ。
しかも、映画のように2人でできあがって。
憑依型の役者は役に引き摺られるとは聞くが、よもや二人してゲイだなんて。
刺激的な性交の写真だ。言い逃れできない。
いくら美形でも男同士のまぐわいなんて吐き気がするから画像はチェックしていないが、何枚か撮ったうちの何枚かは使える写真だと思う。
兄弟姉妹でも気質が似ていない者たちもいるが、山田兄妹は二人してクズだ。
農家が嫌で上京し、どんな手を使ってものし上がろうとしたクズ。
笑みがこらえきれない。
「山田。お前はクビだ。」
「は?」
わからない。
「なんで、わたしは、大スクープを………」
「スクープ!?!これのことかな!」
テーブルの上にばら撒かれた写真。
そこに映っていた裸の男たちは………!
「………だれだ?」
「秋口小麦と春山豊。夏目太陽と冬木香月のマネージャーだ。親も赦した交際らしい。ホテルではコネクティングルームだったようだから、中で入れ替わったのだろう。お前がホテルで聞いた喘ぎ声は秋口小麦だ。そして、浜辺で撮った写真もな?」
えっ……。どうして?
俺の勘違いだったのか??
「因みに、浜辺一帯は当時撮影のため貸し切りで人払いしていたから、彼らは公然猥褻にも当たらないぞ?むしろお前が不法侵入だ。一般人のゲイカップルのまぐわいをスクープしてどうしたいんだ?お前は?合成でもする気か!?お前の得意技らしいな?」
えっ………前のやつもバレて?
でもあれは、妹がライバルはめたいからって、頼まれて………。
「この、一般人。名字で気づかないか?」
ディスクが俺を睨む。
「秋口………春山…。」
「大手芸能プロダクション、フォール現·代表取締役社長の甥で先代の息子と、世界的アニメ映画監督·春山燻の息子だよ。」
「睨まれたらウチは潰れる。お前は会社を潰したいのか?ん?」
ああ……………俺はもうおしまいだ。
何故か俺のことは、めぼしいところから弱小まで知れ渡っていて、再就職は叶わなかった。
コトン。
ベッドの上で愛しい恋人の肌を楽しみながら、豊は顛末の報告を確認して、スマホをベッドサイドに戻した。
「ふふ、うまくいったね。」
狐のような自分と狸のような彼。
狐と狸を敵に回したら、こうなる。
だが、豊は不機嫌だ。
「最善だったとはいえ、小麦を見られた。」
「僕のポルノなんかそんな価値ないって~。夏目さんと冬木さんを守れたんだから♡」
「しかし、喘ぎ声、香月に似てたな、声……。」
「アニオタはモノマネも嗜んでますゆえ?」
「そんなに好きなら、こっちの業界にくればよかったのに。」
「親の期待がねぇ。」
「今度、薫が挑戦するショートアニメに出てみるか?」
「いいのぉ、ちょい役でもガヤでも嬉しい!」
甘えてくる狸が狐はかわいくて仕方がない。
妹を無視して撮影したデータを出版社に送った。
ふふ、ディスクに褒められるぞ~!
意気揚々と東京に帰って直ぐに出社すれば、取締役にも呼ばれ、いよいよ出世か!?
と期待に胸が膨らむ。
そりゃそうだろう。
今をときめく夏目太陽と冬木香月の初スキャンダルだ。
しかも、映画のように2人でできあがって。
憑依型の役者は役に引き摺られるとは聞くが、よもや二人してゲイだなんて。
刺激的な性交の写真だ。言い逃れできない。
いくら美形でも男同士のまぐわいなんて吐き気がするから画像はチェックしていないが、何枚か撮ったうちの何枚かは使える写真だと思う。
兄弟姉妹でも気質が似ていない者たちもいるが、山田兄妹は二人してクズだ。
農家が嫌で上京し、どんな手を使ってものし上がろうとしたクズ。
笑みがこらえきれない。
「山田。お前はクビだ。」
「は?」
わからない。
「なんで、わたしは、大スクープを………」
「スクープ!?!これのことかな!」
テーブルの上にばら撒かれた写真。
そこに映っていた裸の男たちは………!
「………だれだ?」
「秋口小麦と春山豊。夏目太陽と冬木香月のマネージャーだ。親も赦した交際らしい。ホテルではコネクティングルームだったようだから、中で入れ替わったのだろう。お前がホテルで聞いた喘ぎ声は秋口小麦だ。そして、浜辺で撮った写真もな?」
えっ……。どうして?
俺の勘違いだったのか??
「因みに、浜辺一帯は当時撮影のため貸し切りで人払いしていたから、彼らは公然猥褻にも当たらないぞ?むしろお前が不法侵入だ。一般人のゲイカップルのまぐわいをスクープしてどうしたいんだ?お前は?合成でもする気か!?お前の得意技らしいな?」
えっ………前のやつもバレて?
でもあれは、妹がライバルはめたいからって、頼まれて………。
「この、一般人。名字で気づかないか?」
ディスクが俺を睨む。
「秋口………春山…。」
「大手芸能プロダクション、フォール現·代表取締役社長の甥で先代の息子と、世界的アニメ映画監督·春山燻の息子だよ。」
「睨まれたらウチは潰れる。お前は会社を潰したいのか?ん?」
ああ……………俺はもうおしまいだ。
何故か俺のことは、めぼしいところから弱小まで知れ渡っていて、再就職は叶わなかった。
コトン。
ベッドの上で愛しい恋人の肌を楽しみながら、豊は顛末の報告を確認して、スマホをベッドサイドに戻した。
「ふふ、うまくいったね。」
狐のような自分と狸のような彼。
狐と狸を敵に回したら、こうなる。
だが、豊は不機嫌だ。
「最善だったとはいえ、小麦を見られた。」
「僕のポルノなんかそんな価値ないって~。夏目さんと冬木さんを守れたんだから♡」
「しかし、喘ぎ声、香月に似てたな、声……。」
「アニオタはモノマネも嗜んでますゆえ?」
「そんなに好きなら、こっちの業界にくればよかったのに。」
「親の期待がねぇ。」
「今度、薫が挑戦するショートアニメに出てみるか?」
「いいのぉ、ちょい役でもガヤでも嬉しい!」
甘えてくる狸が狐はかわいくて仕方がない。
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